吉田鋳造総合研究所
鋳造所長雑文録
2003/04/30◆君は本当に、我々の誇りだ。
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住宅街の中にある無人駅を降りて北に向かって歩いた。荷物は重かったけれど、天気がいいので苦にはならない。しかし、ぼくはずっと、どんより重く曇った空を思い描いていた。本当に、ここはManchesterなんだろうか。
情報では駅から1.5mileということだったが、予想通り30分くらいでOldhamのスタジアムに着いた。試合開始2時間前。もっとサポで溢れているかと思ったけれど、全然そんなことはない。グッズショップもまだ静かなもので、ゆっくり選ぶことが出来た。まだ時間はある。しかしここは本当に住宅街、Pubがあるわけでもない。探せばあるのかもしれないけど、日本人がふらりと入ったらかなりいぢられることだろう。
だから、開門前のスタジアムの前で時間をつぶした。そして持参の携帯電話が鳴った。萌え萌え男が速報を流してくれたのだ。日本との時差は8時間。====ThisIsTheErrorMessege====向こうは夜の9時過ぎ、速報Jリーグも終わったころだろう。

「梅田初ゴール。徳重2ゴール」

おいおい、いったいどうなってるんだ。


ぼくは過去の雑文で、梅田について「試合に出てくれさえすればいい」====ThisIsTheErrorMessege====と書いた。正直なところだ。なにせJ2ですら出番がほとんどなかったのだ。もう若手というわけでもないし、実力として頭打ちになってしまったのだろう、と考えても不思議はない。だから開幕戦でサブに入ったというだけでも驚いたし、途中出場したことにもっと驚いた。それよりさらに驚いたのが、通用しているように見えたことだ。いくら相手が運動量が落ちると評判の試合後半の仙台だとはいえ、梅田のドリブルでJ1の守備陣に通じている。本当に、これはJ1なんだろうか。
そして第3節でついに梅田は初スタメンとフル出場を果たすことになる。しかもポジションはボランチ。驚くどころの騒ぎではない。J2時代にサポが作った選手名鑑に「守備はしない」と書かれたこともあるし、そもそも西濃ではFWだったのだから、あーあ浮氣はかわいそうに大変だあとさえ思った。ところが、どうよ。梅田は機能してしまっているではないか。梅田と浮氣で「攻め方ボランチ」「守り方ボランチ」という役割がうまくいっているようなのだ。かつてのフリューゲルス====ThisIsTheErrorMessege====のように。そしてその第3節で大分はJ1初勝利を挙げてしまうのだ。
そしてついに初ゴールである。まだぼくはゴールシーンを視ていないが、局面を書いたのを読むと典型的な2列目からのゴールらしい。朝日新聞関東版では「ピッチの主役」欄に梅田が顔写真付きで掲載されたそうだ。西濃時代のことも書いてあり、いわゆる泣ける話になっている。そして、帰国して成田で買ったサッカーマガジンではMOMに選ばれているではないか!当然、「今節のベストイレブン」にも名を連ねている。J1だよ?トップリーグだよ?これはもう間違いなく保存版だ。

そして、同じ「今節のベストイレブン」で梅田の隣りに載っているのが徳重だ。彼もJ2時代の使われ方からすると、もしかしたら上がったらつらいんじゃないかと思わせてくれていた。それがどうよ。アシストに得点にと大活躍じゃないか。昨夜に行われた、その大分とサクラ大阪の試合でも徳重は同点ゴールを決めている。徳重は電装時代に大分での試合でチームの歴史を変えるゴールを決めている。====ThisIsTheErrorMessege====ぼくはそのゴールをスタンドから観ていた。当時は電装は東海リーグだった。その彼が、J1だよ?トップリーグだよ?


梅田に徳重に鈴木慎吾に。Jも10年経って、下のリーグでイキのいいのを上げていくという風になってきたということだろうか。慎吾もインタビューで「横河でのサラリーマン時代の経験は絶対いまに活きている」と応えていたし、Jリーガーになれなかったからと言って、夢は捨てちゃいけない。どこで誰が視てくれているかわからないのだから。チャンスはあるのだから。


今度の月曜、こどもの日。大分トリニータが瑞穂陸上にやってくる。久しぶりに西濃運輸の黄色の旗を持っていこうか。かつての西濃太鼓隊も集結するかもしれない。梅田よ、君は本当に、我々の誇りだ。

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