cyic.co.uk 吉田鋳造総合研究所
鋳造所長雑文録
2009/05/07◆『ゴールズFC』という物語を推進させるエンジン
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『物語を推進させるにはエンジンが要る』と書いたのは高橋源一郎だった====ThisIsTheErrorMessege====と思うんだけどなあ……なんてことを思いながら、5/3の夕方に北陸道を単車でかっ飛ばして帰ってきた。


世間がGWと呼ぶ5連休は、ぼくは3日目と4日目が出勤なんでそう遠くに出掛けることも出来ず。とはいえ、この混雑====ThisIsTheErrorMessege====では仕事を組んで別の日に休んだ方が正解かもしれない。渋滞中にクルマのエンジンを切るわけでもないだろうし。やれやれ、こうして地球は暖かくなっていくのだね。

で、連休1日目は長良川で岐阜×稲城だったし、5日目は休みだけど蹴球無関係の予定が既に入ってるんで、となると「どこかに観に行く」となると2日目の5/3しかない。最近はネットでほとんどの情報が手に入る。ほう、そうかそうか、福井と石川か。これはハシゴが出来るし、単車でGo!とぼくも地球温暖化に貢献(***sigh***)。1000円渋滞がまったく読めないんで早めに出たんだけど、通行量は多いものの流れは悪くないので杉津PA====ThisIsTheErrorMessege====で長めの休憩。『鉄』なひとはつい眼下の細い道====ThisIsTheErrorMessege====に注目してしまうが、一般的には夕陽の綺麗なポイントで恋人たちのスポットで売り出し中みたい。で、長居したにもかかわらず、1時間以上前に福井県立大に着いてしまう。天皇杯の福井県予選、パナソニック福井×奥越FC。昨年の県リーグ2位と3位の対戦。悪くない。

試合は2−0でパナソニック。内容的には妥当かな。「狙っていく姿勢」という部分に差があったように見えた。後半早々の、右SBが上がっていって普通ならクロスを上げるくらい深くまで持っていって直接撃った先制点は見事でした。パナソニックには胸スポがいて驚いたし、パッと視は豪州人かな?という外国人選手もいて、少々びっくり。昨年の県リーグも、優勝のKSCに勝ち点1差だったようだし、もしかしたらチャレンジリーグで会えるかもしれない。

35分ハーフの試合だったんで、こりゃあ金沢まで高速を使うほどでもないな、と一般道を使うも、それでも開始1時間半前には金沢市街に入ってしまった。目当ての餃子屋====ThisIsTheErrorMessege====は冗談のような混雑で、適当に入ったラーメン屋で腹をなだめ、第2目的地・北陸大学に向けて坂を上がる。


全社石川予選・準決勝。ツエーゲン金沢×ゴールズFC。ぼくは、このゴールズというクラブを既に3つの名前で観ている。松任オレンジモンキー→松任FC→フェルヴォローザ石川白山。これで4つ目。松任FCと石川白山の間に「フェルヴォローザFC」という時代もあったそうだけど、その名前では観たことがない。フェルヴォローザのRise&Fallについては、当事者でなく取材もしていないぼくが経緯を書ける立場でもないので、興味のある方はご自身でネット環境とかで調べてください。石川白山時代までその名を残し続けていたサポーターサイト『橙猿広場』も先日閉じたようだ。運営会社も変わり、名前もゴールズに変わった。かつて、サルッぱ達が「ツエーゲンだけには負けられない」ではなく「ツエーゲンだけには勝つしかない」とまで歌った対決の構図は消えたのだろう。かつて松任オレンジモンキーを観た者====ThisIsTheErrorMessege====として、その対決構図の残渣がもしあるのなら、見ておきたいと思った。

北陸大学フットボールパークは太陽が丘団地の南端にある。住宅街への配慮で、鳴り物はもちろんコールまで禁止なのだそうだ。人工芝ピッチは2面あるが、観戦スタンドのある西側は大学リーグだかで使用中。全社準決勝は東側のフェンス越し観戦になる。ツエーゲンサポの一部は北側斜面に上って俯瞰で観ている。実際、コールを飛ばせない環境なんだから、近くに張り付く必要はないかも知れない。
試合開始。コールがないので選手の声がよく聞こえる。ぼくはゴールズ側のG裏にいたからか、とにかくGKのコーチングがよく聞こえた。彼がコンダクターなのだろう。そして、彼の抱くゲームプランはすぐにわかった。「サンド!サンドして!」「前、向かすな!」「はっきりしよう!セーフティに!」そして、味方DFが指示に従わずにセーフティにいかずにボールを奪われ2次3次の攻撃を受ける状況になっても、味方に対して厳しい言葉を出さない。「このチームは自信を失っている」とぼくは思った。そんな状況下で必死になってチームをまとめ1つになって闘おうとしている。実際、そうでもしないとツエーゲンの攻撃に対することは出来ない。特に右サイドの13番はゴールズの左2枚で面倒見ても御しきれない。S君の情報に依ればゴールズの10番はいいボールを入れて来る====ThisIsTheErrorMessege====のだそうだけど、この日は完全に守備に忙殺されていた。結局、ゴールズ守備陣は28分持ち堪えるのが精一杯。さんざんやられっぱだったゴールズ左サイドをやはり13番に突かれて、マイナス気味の低いクロスに9番がダイレクトで合わせた。

後半。前半のほとんどがこちら側半分で行われていたのだから、後半は当然だけどほとんどが向こう側半分で行われる。ぼくは途中でゴール裏を離れた。行くところは1ヶ所しかない。タッチライン側の一部で叫び続けている、ゴールズサポの裏側へ。

男性数名に、女性2〜3名。叫び続けているのは男性1人。フェルヴォローザのタオマフを首に巻き、ゴールズのTシャツを着ている。コールが出来ない中で「行けー!」「いいよいいよ!」「早く戻れー!」などと声を枯らす。しかし、「行けー!」の声にも選手は反応できない。ツエーゲンのDFラインにつっかけていくのは1人だけ、単騎でどうにかなるレベルではない。最終ラインから組み立てられて蹂躙され、必死にクリアーしてFW1人がつっかけに行き、DF深くでまわされて自陣に戻る。以下同文。結局、「前がかりになったところ」ではなく「動けなくなったところ」を独走でぶっこ抜かれて叩き込まれて2−0で試合終了。ツエーゲンが危なげなく勝利して決勝に進んだ。ゴールズの選手が挨拶に来る。「最後まで、ちゃんとやろう」。大健闘のGKは女性ファンから握手を求められていた。


ぼくはゴールズサポの裏側で少々恥ずかしい思いを抱きながら観ていた。ぼくも、いまはわずかではあるが岐阜隊という「『J』の文脈」に引っかかっている人間で、だからだろうか、いまのゴールズに勝手に「悲劇的要素」を重ねてしまっていた。フェルヴォローザがゴールズになったことで「物語を推進させるエンジン」はなくなってしまったのではないか、と。そんなことを考えていた。

だけど、そんなことはなかった。

そりゃサポの人数は激しく減った。かつて天皇杯でザスパと戦い、2006年の仁賀保では全国大会で勝利を挙げた====ThisIsTheErrorMessege====時のメンバーはほとんど残っていないだろう。しかし、声を枯らせて叫び続けていたゴールズTシャツの彼をはじめ、2失点目に天を仰いで苛立ちの声を挙げた兄さんら、ゴールズに残った彼らにとって物語は終わってなんかいない。というより、「『J』を目差す」というのはクラブの紡ぐ物語のエンジンではないというところに立ち位置をキチンと見出しているのだろう。現在、日本に数多くある第1種のサッカークラブ、そのほとんどが『J』を目差してなんかいないという当たり前の現実。フェルヴォローザ改めゴールズFCは、その現実の中で物語を紡ぎ続けている。

もっとも、冷静にみれば別の“現実”もある。現在、ゴールズはリーグ戦3連敗。この日の試合では、圧倒的戦力で襲い掛かるツエーゲン相手に必死になって体を張るゴールズの選手達は、前面に激しく気持ちが出ていた。しかし、この戦いが出来て、なぜリーグでは3連敗なのだろう。
この日の戦いぶりが、もしツエーゲンを相手にしてのアドレナリン効果によるものだとするなら、残念なことだ。どんな相手にも、強い気持ちで立ち向かい、局面を切り開いていく。ゴールズFCというサッカークラブの「物語を推進させるエンジン」は『Jを目差す』でもなければ『ツエーゲン金沢の存在』でもなく『常々の闘いでの“勝利の喜び”』であるべきだと思うし、そうあってほしい。「やれば出来る」ことをこの日のゴールズは示していたはずだ。


試合が終わって、こんなことを考えながら単車を走らせて帰ってきた。途中、『米原→関ヶ原が事故渋滞6キロ』との表示が出て、これは長浜で降りるのが得策と考えたらビンゴでした。金沢・北陸大から岐阜の自宅まで3時間半。その分、翌朝までかなり疲れが残ったけどね。

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