cyic.co.uk 吉田鋳造総合研究所
鋳造所長雑文録
2004/11/02◆その後の9月26日(後編)
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ぼくが草津で観戦したその夜に新潟で地震が起きた。発生翌日の日曜には長野と新潟で北信越リーグの試合が予定されていたが、当然だが延期になった。

実はこの時点で北信越リーグ1部はとんでもないことになっていたのだ。順位表と残り2節の対戦カードは以下の通り。

順位チーム勝点得失
点差
13節
10/24
最終節
10/31
金沢SC2581322長野JSC
JSC2581320上田金沢
長野
ELZA
2581317金沢上田
上田
GENTIAN
2581314JSC長野
松任FC16444-7テイヘン富山
テイヘンズ9237-6松任日精
日精樹脂6138-24富山テイヘン
VALIENTE
富山
5129-31日精松任

上位4チームは残り2節とも直接対決ではないか。番組担当はまさにグッジョブだったわけで、延期分も含めて次の土日に上位4チーム分は2節連続開催で一気にケリをつけることになった。一方、下位4チームの対戦となる2会場は地震の影響もなく、第13節はそのまま24日に行われた。松任がテイヘンズに勝ち、日精樹脂が富山に勝った。
最終節。上位4チームは上記のように直接対決の大一番。下位のうち、テイヘンズ×日精樹脂は入替戦回避====ThisIsTheErrorMessege====を賭けたこれも直接対決の大一番。唯一、まったく順位に関係なくなったのが松任×富山の試合だ。最下位の富山は13節の敗戦で最下位が確定し、一方の松任はもうとっくに5位が確定していた。まさに『戦いは松任FCと関係ないところで進んでいた』。ぼくは、その確定している5位と8位の試合を観に、朝7時過ぎの電車で岐阜を出た。9月26日に天皇杯を戦った、もう一つのクラブを観に。


米原からの『しらさぎ』====ThisIsTheErrorMessege====は思いのほか空いていた。この列車は松任停車なので好都合。しかし、駅前から競技場のすぐ前まで行く病院行のバスは全然時間が合わず、ぼくは南松任行のバスに乗って終点まで行き、バス停前のコンビニで弁当を買って10分歩いて会場に向かった。前回ここを訪問したとき====ThisIsTheErrorMessege====金沢SCの陰謀で鮮やかに空振りしてしまったわけだが、今回は競技場からサポのコールが聞こえてくる。ひと安心。
メインスタンドには松任サポが十数人。いやいや、ずいぶん増えたものだ。ここのサポは勉強熱心だし、なによりサポが作詞作曲という完全オリジナル応援歌を持っているらしい。松任がゴールを決めた時のコールにプロ野球のエッセンスを加えているのも逆に新鮮な印象。これだけでも、Jクラブのサポに十分胸を張っていい。が、松任サポのオリジナル志向は歌だけではなかったのだ。富山のゴールキックや、あるいは攻められているとき。通常ならブーイングをかますところで、彼らは

「キィィィィィィィィィーーーーーーーッ!」
「イィィィィィィィィィーーーーーーーッ!」
・・・・・。これって、もしかして、猿の鳴き真似?

たしかに、彼らが作ったサポーターズマスコットも猿である。「サルッパ」と名前までついている。どうやら松任サポはあくまで“猿”でいくつもりらしい。その心意気や潔し。しかし、最初にその声を聴いたときにぼくに思い浮かんだのは「出たなショッカーの怪人め」というフレーズだったことは記載しておく。

試合の方は、松任が富山を圧倒する展開となった。中盤は完全に制圧と言っていい。もちろん、失点の香りは少しはするのだけど、松任敗北の香りは全然まったくしなかった。惚れ惚れする中盤を後ろから仕切るのは、天皇杯ザスパ戦で存在感を思いっきり振りまいた小柄なMF寺内。彷彿とさせるのは、ザスパで同じようなポジションで同じように仕切っているトリの姿だ。もし天皇杯にトリが出ていたら・・・という気にさせてくれる。
中盤はほぼ制圧しているのだが、最後のクロスの精度が悪かったり、シュートに思い切りがなかったりでなかなか点が入らなかったが、それでも結果は5−0。数多くのチャンスをモノに出来なかったFW高橋がロスタイムにようやくゴールを決めたときはぼくも嬉しくなった。そう、ロスタイムにもサポはこんな替え歌を歌っていた。

♪松任の勝利はぁー、いまは、もう、見えてーいーるー、
あのっすばーらしいっゴールーをーもーおーいーちーどぉーっ♪

ぼくがこの歌を聴くのは初めてだ。だって、ぼくが松任の勝利を観るのが初めてなんだから。


試合が終わって選手が挨拶に来た。これで松任FCの今年の公式戦は終わり。コールリーダーが、わずか20人前後のサポに向けて「ありがとうございました!来年も応援よろしくお願いします!」と叫ぶ。守護神サトルはこの試合を最後に退団。彼には彼の、クラブにはクラブの歴史は続いていく。
ぼくは思った。すでに順位も確定しているクラブの、昇格だとかの付加価値なんかどこにもない、4部リーグの最終戦。しかし、この瞬間このスタンドには、間違いなく、「スポーツで、幸せなくに。」の一断片が確実に存在した。
松任に行ってよかった。心からそう思う。宇都宮さん、見てくれていましたか。

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