吉田鋳造総合研究所
鋳造所長雑文録
2004/09/28◆宇都宮さんにはそう見えましたか
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実はこの雑文では、アド街浦和編をきっかけに書くつもりでいたし、昼休みやら何やらを利用して原稿もかなり書き上がっていた。でも、今回はどうしてもこの話題について触れざるを得ない。宇都宮徹壱氏====ThisIsTheErrorMessege====がスポナビに寄せた天皇杯2回戦・松任FC×ザスパ草津の観戦コラム====ThisIsTheErrorMessege====だ。


ここ====ThisIsTheErrorMessege====に書いた通り、ぼくも同じ会場で同じ試合を観ていた。だから、宇都宮氏がこの試合について、松任FCというクラブについてどのように書いてくれるか、とても愉しみにしていた。で、読んでみて「残念だ」と思った。失望はしていない。ただ、残念なだけだ。

ぼくが残念に思ったのは、氏が「成功しているクラブ側からの視点」で書いているように思えることだ。例えば、第1部では石川県のサッカー事情を語る際に、新潟の状況は刺激にならないのか?と疑問を投げかけている。確かに、新潟が仕掛けた時は北信越リーグだった。いまの松任FCとポジションは同じではあるが………。
そして、第2部で語られるザスパ草津との比較。登場する選手の勤務先をいちいち並べ立てるのが鬱陶しい。ならば松任の選手だって勤務先を書きなさいな。橙猿広場====ThisIsTheErrorMessege====の選手名鑑には勤務先が書いてあるぞ。

この、ザスパをめぐる報道で必ずついてまわり、そしてぼくを含む一部の社会人サッカーファンを苛立たせるのが、「彼らは働きながらサッカーをしているのです」という表現だ。そんなの、JFL以下では当たり前の環境なのに、ザスパの選手であるが故に“特殊なこと”として語られる。
草津温泉が仕掛けたことを否定する気はまったくない。トップリーグやセカンドリーグで活躍の場を失った選手達に環境を提供し、その影響を活かして新たな観光資源を掘り起こすというのは、まったく悪くないアイディアだと思う。しかし、そこで語られるべきはそうした“仕掛け”であって、いまの選手達はあくまでただの社会人サッカー選手。前歴が他の多くのクラブの選手達よりちょっと華麗なだけだ。

宇都宮氏が自身のコラムの中で図らずも書いてしまっている。『それが今では、ファーストリテイリング(ユニクロ)をはじめとするオフィシャル・パートナーやアシスト・カンパニーにも恵まれ、Jリーグ入りを目前にしているのである。』
そう、彼らは恵まれているのだ。その恵まれた環境が、自分達で仕掛けた結果だとしても、恵まれていることに代わりはない。
宇都宮氏が暗に書こうとした(と思われる)ザスパ成功の要因である“仕掛け”は、確かに各地で起きつつある。グルージャ盛岡だってきっとそうだ。でも、そうした“仕掛け”をせずにまさに地域密着、手弁当でこつこつ生き続けることを前提にしているサッカークラブだって、ホントにホントに、たっっっっっっくさんあるのだ。


試合が終わって、松任の応援を仕切っていたリーダーが「これからも応援よろしくお願いします!」と叫んでいた。大きな拍手を浴びていた。北信越リーグはまだ終わっていない。残り3試合、松任FCはまだ残留を決めていない。最終節はホームゲーム、松任開催だ。しかし、今日集まった観客の何割が来てくれるだろうか。松任FCが戦っているフィールドの現実。

この観戦を、このコラムをきっかけにして、宇都宮氏には是非とも北信越リーグを観戦してほしいと思う。ベルリンまで3部だかのクラブを視に行くんだったら、日本の4部くらい問題ないでしょう。


今回の雑文は、自分でもまったくうまく書けていないと思う。普段からうまく書けてないけど、今回は輪をかけてうまく書けていない。でも、これはこのタイミングで出さないと意味がないと思うから、このまま出します。

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