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フルムーン@北東北(1)
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伊藤若冲という画家====ThisIsTheErrorMessege====を知ったのは、いつぞやのNHKスペシャルだったか。とにかく『ぶっ飛んでいる』としか形容出来ないような絵を江戸時代に描いていたヤツがいる。美術愛好家でもないぼくとじゃからんが「この画家の絵は観に行きたい!」と強く印象づけられた。その絵が、震災復興支援で東北にやって来る。

これは行かねばっ!

ぼくがじゃからんと知り合った時、彼女は弘前在住だった。岐阜と弘前、結構な“遠距離”だったわけだが、東北に若冲の絵を観に行くのだったら、せっかくなんで2人で弘前に行こう。となると、「そうだ、盛岡競馬行こう。」「そうだ、東北リーグ観よう。」と収斂していくのはどうしようもないことで(笑)、調べてみると盛岡競馬も開催中!サッカーも、2部北地区のブランニュー弘前の試合が!未観戦の岩木山で!

詰んだ。鮮やかに詰んだ(笑)。

岐阜隊はホーム戦だけど、こんなにピッタリ日程が合うプランは捨てられない。というわけで、じゃからんと2泊3日の東北旅行へ。岐阜からだとセントレアは結構遠いし、新幹線乗り継ぎでも移動効率はそんなに変わらない。しかも今回は2人ユニット行動なのだから、と奮発してフルムーンパス====ThisIsTheErrorMessege====を使用する。ぼくらもそんなトシになったということだ(苦笑)。

2013年06月01日

どうせ“行動貧乏性”なのだからと朝イチ名古屋始発の『ひかり』で東京へ。====ThisIsTheErrorMessege====“こだぷら”以外で東海道新幹線のグリーンに乗るのは初めてかもしれない。2人とも4時起きだったんで、朝が弱いじゃからんは睡眠モード。ぼくは朝6時過ぎからビール。たまんねぇなぁオイ(笑)。でも、富士川を渡る際に綺麗に富士山を観ることが出来た。
東京駅では7分乗り継ぎで『はやぶさ』。東日本さんはグリーン利用者に飲み物サービスがあるんだね。11時前に盛岡着。まあ、予想はしてたけど盛岡駅構内は『あまちゃん』だらけ(笑)。レンタカーを借りて、じゃからんが運転。まずは岩手県立美術館へ。

今回の展覧会は、アメリカの『プライス・コレクション』展。その中に若冲の作品もある。震災復興支援ということで、入場料は破格の800円だ。
以前、名古屋ボストン美術館に行った時に初めて観てそのコミカルなセンスにぶっ飛んだ曾我蕭白====ThisIsTheErrorMessege====の作品もあった。けど、やっぱり伊藤若冲の作品に注目してしまう。描かれて200年が経過したとは思えない色の鮮やかさ。そして精巧な日本画をアニメのセルに描いたかのような妙な質感。ちょっと、なんなんでしょ。
問題の『鳥獣花木図屏風』は、やはり異様だった。サイケデリックという形容しか出てこない。銭湯のタイル画のような技法で、背後に海がある水打際にたくさんの動物が描かれているのだけど、白象やラッコやヤマアラシやウサギといった中に鳳凰や麒麟といった実在しない動物がする。ぼくらはその屏風の近くに長い間いたのだけど、10m離れて観るとアタマの中で背後の海の波音が聞こえてくる。5m離れて観ると描かれた動物や鳥の鳴き声が聞こえてきて「南国のパラダイス」のよう。ところが1mの距離で観ると、アタマの中で鳴り出すのはビートルズの「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイヤモンズ」====ThisIsTheErrorMessege====なのだ。どうなのよ、これ。ぼくとじゃからんは、この『鳥獣花木図屏風』を観続けたことで、わかりやすく言うと「ラリった」ような感じになってしまった。危険、実に危険。
でも、ぼくは素朴に疑問を持った。これ、伊藤若冲の作だってどうしてわかったの?この質問に案内係の女性は「研究員に訊かないと……」と答を濁したけど、後に調べてわかった。やはりこの作品が「伊藤若冲の作か」は議論の対象になっているらしい。
その議論を読んだ中に、ぼくが納得できるものがあった。「若冲を好きになって『鳥獣花木図屏風』を知ったひとはこの屏風の作者が問題になるけど、『鳥獣花木図屏風』でぶっ飛んで若冲を知ったひとにはこの屏風の作者は誰でもいい」。なるほど、ぼくらは明らかに後者だ。

再入場可能ということだったので、ぼくらは一度退室して常設展で「普通の美術作品」を観て、もう一度プライス展の部屋に入って、自らの限界が来るまで堪能した。おそらく、ぼくらが生きている間に二度と『鳥獣花木図屏風』をナマで観る機会はないだろうな………。


美術館でシュールリアリスティックな世界に浸って感性のバランスがおかしくなってきたので、これは速やかに現実に戻らないといけない!と向かったのが、盛岡競馬(笑)………嘘です、まだ行ったことがなかっただけです(笑)。
時間の関係で2レースしか打てなかったのだけど、例によって回収率100%の通常進行(泣)。パドックで盛んに流し目送ってくるヤツがいたので、「買って!ぼくを買って!」と訴えているように見えたので1番人気とそいつの馬複を買ったのだけど、流し目野郎は8着かそこら。次のレースは、パドックで3頭いいのがいたら場内放送の予想もその3頭だったんでビシッと3連複で1点勝負かけたら2着3着5着。るみゅーん。
岩手競馬は盛岡・水沢の2場を抱えてるんだけど、水沢の帰りに使ったタクシーの運将が「設備投資が回収出来ずにタイヘン」と言ってたのがわかった。地方競馬では珍しいせっかくの芝コースを持ちながら、この日はメインで1回使うだけ。これでは維持費もタイヘンだ。1着賞金も笠松より若干高い程度。====ThisIsTheErrorMessege====
競馬場グルメは及第点以上。特にラーメンは、じゃからんが食べて「スープに独特のクセがある」と言うのでぼくも注文してみたら、もしかして魚醤を使ってる?安くて量もそこそこあって。酒肴系の焼き物も量の割にはお手ごろ値段だった。

競馬場は市街地の東側にあるので、駅にレンタカーを返す際には市街地の中を通る。となると、先日twitterで写真がまわってきて軽い眩暈に襲われた『盛岡バスセンター』====ThisIsTheErrorMessege====に寄ってみよう。バスセンターの隣に30分100円のパーキングがあるので、そこに停めてセンターへ。いやあ、これはすごい。県庁所在地のど真ん中に位置する交通の要衝で、これ???じゃからんが「直方バスセンターの方がまだ立派」という感想を漏らすくらいの、想像を越えたレトロスペクティブ。これは、いつどうなるかわからないからそっち系がお好きな方は早めの訪問を勧めます。

駅前でレンタカーを返し、新幹線で新青森へ。ここから弘前へは快速『深浦』で川部まで行って、五能線から来る弘前行きに乗り換える。『深浦』はディーゼル2両編成だったけど、うーむこの乗車率だとキツい。実は青森と五所川原はだいたい同じ緯度にある街。青森~五所川原だとバスの方が便利なのだ。というわけで列車は空いていたのだけど、じゃからんがかねてから「ササキノゾミが『かわいい』と注目されるのがどうしてもわからん、津軽にはササキノゾミ級ならゴロゴロいる」と主張していた件が圧倒的説得力をもって証明された。とにかく平均値が高い。イケメン彼氏と一緒で愉しそうに話していた黒髪ロングで清楚なJKを見て、じゃからんは「アレくらいが標準ね」。まいりました。

弘前駅前のホテルに荷物を預け、向かうは『酒場放浪記』にも出て来た居酒屋『土紋』。で、駅から歩いたのだけど、彼女は弘前の街の“悪い方の”変貌ぶりに少なからず衝撃を受けた模様。いわく「街が骨だけになってしまった」。かつては、駅からこんなにはっきり岩木山が見えたりはしなかった、と。地方都市の凋落、ここにもあり、か。

『土紋』着。予約した時に「カウンターかも…」と言われてたけど、小さな座敷区画を用意してくれていた。ここに来て焼酎を飲むわけにはいかない。なにせ『豊盃』が揃っているのだ。いきなり純米大吟醸と張り込んでみると、うわっ何このフルーティな味わい。「今日はもう生魚がなくって」とホタテから何やらの刺身盛り合わせが“お通し”で出てくるという贅沢。津軽名物(笑)の「甘い玉子焼」====ThisIsTheErrorMessege====に、ルイルイも食べた「いがめんち」====ThisIsTheErrorMessege====も。ぼくはとにかく酒粕がダメな人間だったけど、2杯目に呑んだ「おりがらみ」はオリが残っているのにこれがまた美味い。こんこーんと一気に3合行ってしまった。
この店で驚いたことが2つ。1つは、ぼくらは来訪3回目、前回来たのは7年前だと思うけどオカミさんはぼくらのことを憶えていたこと。もう1つは、店内にブランデューのポスターが貼ってあったので「撮っていいですか?」と訊いたらなんと弟さんのご子息が選手をしている!とのこと。名前も伺ったので、明日の試合に出るかもしれない。愉しみ。

という感じで、1日目から実に濃い旅だった。駅前のホテルに戻って轟沈。

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