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【2010春の『のびのび』】10年ぶりの北山村
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平成22年4月9日 金曜日

2009年度・春の『のびのび』。有効期間があと2日しかないのに2日分残っている。しかし、ありがたいことに勤務シフトの関係でその2日が連休ときたもんだ。4年前と同じようにW杯イヤーってんで熊野本宮大社にカラス様を拝みに行くというのも考えたのだけど、翌日は「いつどこにいなければならないか」が確定しているので無理。で、近隣の地図を視ていて気づいた。「そうだ、北山村行こう」。
前回行ったのは10年前で、思いっきり奥が深い紀州の奥地にアテられて帰ってきたのだけど、その10年の間にその奥の深さが国際的に承認されてしまった。====ThisIsTheErrorMessege====うん、北山村訪問は悪くないアイディアだ。『のびのび』で行けるなら、ね。と、ちょっと真剣になってプランニングしたら……なんだ行けるぞ。その日のうちに帰っても来れるじゃねーか。


朝早い電車で名古屋から亀山へ。ここで紀勢線に乗り換えるんだけど、ホームは高校生でごった返していました。ああそうか、新学期が始まってるんだもんね。伊勢市行普通は4連もあったけど、すぐにいっぱいに。もっとも、津でほとんど降りてしまったけどね。阿漕ですれ違った亀山行は5連だった。なるほど、『のびのび』という切符が何故出来たのか====ThisIsTheErrorMessege====、わかります。
ちょっと早起きして動き出したので多気で1時間近い待ち時間がある。なんてったって全列車が停車するんだ、駅前はそこそこ栄えているだろう、多少は枯れてても駅前喫茶の1軒や2軒はあるだろう……というぼくの予想は全はずれ。なんじゃ、この枯れっぷりは。枯れた、のではない。はじめっから商店街なんかない。そんな感じ。一応、駅前のメインルートを歩いてみたけど、開いているのは床屋さんと駅真ん前のヤマザキショップ。床屋さんも新聞を読んでいる。喫茶店は開いてないんじゃんくて、喫茶店が見あたらない。ぐはああああああっ。
こうなったら、ヤマザキショップで買い出しするしかない、と入ると、レジカウンターには鉄道写真がいっぱい。店のおばちゃんがマニアさんには見えないんで訊いてみると、タビテツ====ThisIsTheErrorMessege====で紹介されてから紀勢線を撮りに来た写真族のマニアさんが置いてってくれるんだとか。と、おばちゃんが嬉しそうに見せてくれたのは10年以上前の号。なんか、時が止まっているかのようだ。
地元・多気のワンカップ酒====ThisIsTheErrorMessege====を買って、駅へ。ホームには、アメリカ人とおぼしきマニアさんが、ローカル列車とか駅の電光到着案内とかを珍しそうに撮っている。彼は『南紀』に乗っていった。で、ようやくぼくの乗る普通列車がやって来た。
ここから熊野市まではたらんたらんと向かう。ぼくの席の通路反対側の女性は、ちょっとセンスのいいバッグをお持ちで旅慣れた感じ。わざわざ普通列車を選ぶような感じには見えない。本を読んだりウトウトしたり。ぼくも、ワンカップを呑みきってしまったらもはやすることがない。紀伊長島で30分停車したりするのだけど、駅前に何があるというわけでもなく。というわけで、ひたすら窓の外を眺めて過ごしたわけだけど、やっぱり「違うなあ…」と思ったのが天気。天下に名を轟かす多雨地域だけあって、この日もずーっとしとしと雨だった。なるほどねえ。熊野市に着いてぼくが荷物を持つと、件のセンスのいい女性も立ち上がった。降りるのかな?と思ったら、ぼくのいた海が見える窓側の席に移動しただけ。彼女も『のびのび』族なのかも。そうは見えないけどなあ。

ここから山に入っていくので、なにか食べておきたい。と、駅のスナックスタンドへ。天ぷらそばを頼む。ちょっと出てくるのに時間が掛かって、あれれ?と思ったら、天ぷらを切らしてたようで揚げたての天ぷらを出してくれた。ちょっと嬉しい。
逆に「なんだかなあ」と思ったのが、駅前の『観光公社』を名乗る建物。ネット情報が古い可能性もあるので一応確認…と中に入ると、職員はお年寄りが3名。ぼくが入っても気づかないのか無視してるのか。ようやく声をかけてきたひとに尾川行バスについて訊くと

「そのバスは、もうない」

即答。ちょちょちょ、ちょっと待って、なくなっちゃったの?!ただ、その即答の仕方が少々怪しかったので室内にあった案内ビラを探してみたら、なぁんだちゃんとあるじゃん尾川行。しかしこの爺さんは「ああ」と一言、謝るでもなし。で、バス乗り場を訊ねると「えーと、えーと」。ぼくはすぐにそこを出た。あの案内能力で世界遺産のガイダンスが出来るとは思えないので、おそらく、窓口担当が昼休憩だとかで不在だったのだろう。とはいえ、なんだかなあ。

1日3本の尾川行。尾川というのは、ぼくが目指す北山村の対岸、三重県側の地域でこちらも負けず劣らず山深い。バスはハンパない山の中の狭い道に容赦なく入っていく。加工木材を積んだ大型トラックとすれ違うのも一大事。新大峪トンネルを抜けて神川に降りて、熊野市を出てだいたい1時間。ようやく七色ダムが近づいてくる……渡るの?ダムを渡ればそこは和歌山県・北山村だ。とはいえ、ここでバスを降りても七色の集落は村の中心部というわけでもないし、北山村中心部までのアシはない。このまま予定通り乗っていこう。すると、動き出したバスの窓から2台の別のバスを見かけた。1台は奈良県下北山村のバス。もう1台は…和歌山県北山村?あれれ、そんなバスあるの?北山村公式サイトのバス時刻表には載ってないぞ?と驚いている間にぼくの乗ったバスは先に進み、奥瀞橋を渡って再び三重県熊野市に戻ってしまった。結局、予定通り「大沼口」で熊野市バスを降りて、数分歩いて橋を越えると北山村だ。
帰宅して熊野市バス公式サイトの路線図を調べると、たしかにこの区間だけは北山村・七色の集落に入ることになっている。====ThisIsTheErrorMessege====これはチェックが甘かった。そして、七色で見かけた北山村バス。村に入って最初のバス停には時刻が載っていて、それは村の公式サイトにも載ってない、月水金のみ運行の村内ローカルバスなのだった。しかし、ということは週に3日、七色のバス停には三重・奈良・和歌山の3県に属する地域運行バスが集結するのだね。秘境系バスマニアさんには面白いポイントかもしれない。

さて、とにかく10年ぶりの北山村。今回は1時間弱しか滞在できない。その時間内に「北山村ならでは」のことをする。考えていたのは“じゃばら”====ThisIsTheErrorMessege====だ。加工品はネットでも買えるけど、せっかくだから現地で買いたい。鍋物大好きな鋳造としては、出来れば『じゃばらポン酢』====ThisIsTheErrorMessege====を希望なのだが。
外から村役場を覗くが、さすがに観光課があるようには見えない(苦笑)。その先にJAがあった。JAなら!と入って訊いてみるが「ここでは取り扱ってない」とのこと。「おくとろ温泉ならある」というけど、そこまで行く時間はないし、村役場のある大沼集落の何軒かのよろずやさんを訊いてまわると、3軒目で『じゃばらポン酢』発見!おばちゃん曰く「先日入ったばっか」だそうで、めでたしめでたし。残る時間は喫茶店でコーヒーを飲んで過ごした。役場の近くには旅館も喫茶店もあるよね。業者のひととか、困っちゃうもん。
最後に、やっぱり村役場に寄ってみた。村営バスの時刻表に「村役場」がなかったからだが、応えてくれた方の話だとそれはそう大きな問題ではないらしい。「手を挙げれば停まるから」。ま、たしかにそりゃそうだ。単純明快。それでも、一応は役場近くの『村民会館』バス停で15:23発の熊野市行バスを待つことにした。なにせ、鉄道駅まで行く「終バス」だ。これを逃すととんでもないことになる。村を出る公共交通は翌朝までない。やって来たバスを写真に撮り、さらに手を挙げてバスに乗る意思を表示し、置いといたデイパックを持ち上げると……目の前をバスが通り過ぎていく。

「お、おーい?!」

ギャグか?いや、もしかして、マジ?本気と書いてマジ?手を振りながら、叫びながらバスを追いかけるが一向に停まる気配がない。ちょちょちょちょちょ、ちょ。ちょっと。ちょっと!すると、バスの後ろを走っていたクルマがクラクションを鳴らしてくれた。ようやく停車するバス。やれやれ~。なんとか乗り込んで「バス停でバス待ってて通り過ぎるとは思わなかった」と笑いながら運将にやんわりとクレームを入れるけど、返事は「写真撮ってるだけだと思った」と一言、終わり。熊野市駅前の出来事もそうだし、もしかして熊野エリアの人間は『謝る』ということを知らない?!……なぁんて(笑)。1つや2つの個別例で「何よりの証拠」なんて断定的に一般化してはいけませんね。ま、とにかく乗れてよかった。
公式サイトの時刻表では、北山村バスは三重県に入ると客扱いをしないように読み取れるけど、実際にはそんなことはなくて。まあ、こうした山間部の輸送に“テリトリー”の厳密な適用をしたって意味がないのだろうね。


熊野市駅前まで戻ってきた。さて、帰りも時間がかかるんで晩飯を用意しよう。“さんま寿司”なのだそうだけど、夕方の4時では売っている店もなさそうで。駅前のコンビニに行くと“めはり寿司”====ThisIsTheErrorMessege====があった。帰宅途中の女子高生が「めはり喰いたい、めはり喰いたぁーい」と嗜みのカケラもない表現をしてて、逆に好感(笑)。他にもちょこちょこと食料を買い込み、なにせ『のびのび』利用なので普通列車に乗って北に向かった。熊野市で南行きと北行きの普通列車が離合するダイヤなのだけど、北方面に乗ってくる高校生はだいぶ少ない。たしかに、熊野市駅から北はすぐに厳しい地形になる====ThisIsTheErrorMessege====からね。朝が早かったんで、コンビニで買った食料を喰いきったらあとはもう寝るだけ(苦笑)。多気からは『快速みえ』でサクサクと帰ってきた。

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