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夏の北海道Lはしごツアー(2)
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かつて一度行ったことがあるのだ。その時はまだ普通のダートコースがあり、いわゆる“内馬場”にばんえい用の直線コースがあった。いま、岩見沢はばんえい専門である。
ばんえい競馬。一応説明しておこう。輓馬が曳くから輓曳競馬。テレビで視たことある方もいるのではないか。1トンはある馬が重い橇を曳いて競うレースだ。途中に丘が2ヶ所あり、そこを越えるタイミングが勝負。ゆっくり行けばもちろん負けるが、馬の呼吸が整う前に仕掛けても坂の途中でギブアップしてしまう。どこかの雑誌に「世界で唯一『とまれ!』という応援がかかるレース」。納得である。

岩見沢駅には橇を曳く輓馬の銅像がある。要するにそういう街なのだ。しかし、もう午後3時なので岩見沢駅から競馬場直行のバスは終わっていた。競馬場近くのかえで団地までバスで行き、歩くことにする。岩見沢の中央バスにバスカードが導入されていなくて、これもまた小さな驚き。全部で12Rあるのだけど、10Rの締切10分前だ。ケンでもいいけど、朝に千歳駅で買った道新スポーツの競馬欄と張り出されたこれまでの結果を照合すると、結構予想が当たっている。そして結構いい配当になっている。これは狙いではないか?と◎から○をはずして▲△△に3点買い。そしてコースまで出てみる。
かつて通常のダートレースがあった頃は馬が走ったであろうコースのスタンド前部分が「エキサイトゾーン」とか言って、観客が自由に入れるようになっていた。つまり、本当に馬と併走しながら応援できるようになっている。10R。ゲートが開いて一斉に最初の坂。ここは一気に登り切る。立ち上る白い砂煙。今日の水分含有率は0.2%で、すなわちバリバリのパワー馬場====ThisIsTheErrorMessege====である。そして第2の坂の手前にどの馬も停まって一息入れる。「止まれ!」の応援が飛ぶというのは、この時だ。さあ勝負。上り坂から再び砂煙が上がる。上り切れずに動けなくなる馬もいるが、なんとか上りきれば一気に下って、あとは直線。
ここがまたばんえい競馬のポイントであって、直線が意外と長いのである。坂2つ越えて疲れ切った輓馬にこの直線は厳しい。ペース配分を間違うと、坂を先頭で越えてもここでガス欠してしまう。後ろからジョッキー====ThisIsTheErrorMessege====が激しく声をかけながら鞭をビシビシと馬の尻に叩き込む。サラブレッドみたいに繊細な神経の馬だとパンクしてしまうだろう。今回は3レースだけだったので専門紙は買わなかったのだけど、前回来たときは「ベルジアン」やら「ペルシュロン」やらといった、聴いたことのない血統が載っていて驚いたものだ。
馬がゴールラインを切る。それでもジョッキーは鞭をやめない。曳いている橇の最後部が通った時がゴールタイム====ThisIsTheErrorMessege====なのである。さて、馬券の方は僅差ながら▲→◎の順に決まって、あら馬連は当たりじゃないのさ。しかも18倍。これで残り2R全部はずしても黒字で帰ることが出来る。そうなれば、ここ最近のP負けを取り返すチャンスだ。大きく入れてやろうじゃないのさ。

スタンドの上層部にテレビカメラが出ていた。知らなかったのだが、GYAOがばんえい競馬のネット中継をやっているのだね。一般のファンを交えてだかの、次のメインレースの予想コーナーのよう。
11Rの前にパドックを視てみる。うぐぅ、中央や笠松のパドックと比較すると、すべての馬が超太め残り。当たり前だ。面白いのは、レースではジョッキーは橇に乗っているのにパドックでは馬に跨るのだね。売店に行ってみたが、腹一杯であまり喰えないし串カツとかもなかったので生ビールを1杯だけ。11Rでは3頭ボックスで厚く勝負したところ、1着3着4着。とほほ。最終12Rは、軸にした奴が先頭で第2の坂を下り終えるも、例の最終直線でバテバテになってしまい次々に抜かれる有様。余裕で1着に来たのはパドックでぜえぜえ言ってたいかにも体調の悪そうな馬で、はうぅばんえい恐るべし。でもわずかだけど黒字だからいいもんねーだ。
でも、3R打ってみてわかったことは、ここは明確に“鉄火場”ではないということ。迫力ある馬の走り(歩き?)を視ることが出来るテーマパークで、家族を連れてきたお父さんも馬券を買って愉しむことが出来る。そんな感じだ。鉄火場の機能だけでは生き残れないが故の選択だけど、悪くないと思うよ。鉄チャンならトロッコも視れて愉しめる====ThisIsTheErrorMessege====し、ありきたりの観光名所を回るくらいだったら、夜のビール園宴会の前にばんえい競馬って旅行プランとしては十分ありだと思うのだが。

帰りは直行バスに乗れる。岩見沢から旭川方面の列車には時間があったので、バスターミナルをぶらついた。各方面にバスが出ていて、交通の要衝だというのがわかる。それでもご多聞に漏れず駅周辺の空洞化はどうしようもないのだろうなあ。「ポスフール経由」「イオン三笠経由」などと謳っている。札幌行バスが15分ヘッドで出ていて驚くが、鉄道運賃より安くて札幌中心街経由なら、納得。もう一つ驚いたのは、このバスターミナルを出る最終バスが近隣の団地ではなく、三笠経由幾春別行====ThisIsTheErrorMessege====だったことだ。

岩見沢から旭川までは“オホーツク”を使う。自由席に乗ったのだがさすがに乗車率が良い。網走まで行く最終だし、岩見沢で降りる客がいなければ座れなかったくらいだ。いい加減眠くなってきたけど、旭川を寝過ごすのは致命的====ThisIsTheErrorMessege====なので必死になって起きていた。
今夜の宿は旭川駅のすぐ近く。チェックインだけ済ませ、荷物も置かずにバス停探し。旭川は駅前バスターミナルがなく、路線バス乗り場が散在していて、旅人には大変利用しづらい。ネットで調べておいたアサヒビル前から医大病院行の旭川電軌バスに乗る。全国でも例のない「クレジットでバスに乗る」システムだが、どのカードでも使えるというわけではないらしい。
さて、なんでわざわざ郊外の医大病院まで行ったかというと、そこから徒歩10分ほどのところに回転寿司『トリトン』があるからだ。北海道で展開するチェーン店だが、旭川で回転寿司ならここは評価が高いらしい。周囲に海がないのに回転寿司?いやいや、旭川は各地から海産品が集まってくるので、それほどレベルが落ちたりはしないらしい。銀鮭にイカにサンマ。ヒラメやボタンエビなんて高めの皿にも手を出してみる。イカの鮮度は十分に及第点。正直言ってこないだの富山より圧倒的にうまかった====ThisIsTheErrorMessege====のだが。
がふがふ食べて、再びガッツで歩いて医大病院。寿司屋の前にもバス停はあるが本数が少ないのだ。医大からのバスは1条4丁目が終点。それってどこですか?なんて質問をするから地元民でないとすぐにバレてしまう。「夜は呑みに行かないんですか」と発車待ちのバスの運将氏。まるでタクシー運将氏みたいだ。3条5丁目や6丁目あたりが呑み助街なんだそうだ。バスは9時前に終点につき、バス運将氏は最初から最後まで一人だけの乗客だったぼくに「いい夜をどうぞ」と最後までタクシー運将氏のようなことを言ってバスは回送になった。ごめんね、9時過ぎにはホテルの部屋にいたいんだ。途中のコンビニでクラシックと豆を買う。ホテルに向かう道すがら、ガラス張りのビルのロビーからはシャープなジャズのメロディが聞こえている。旭川は大都会だ。ホテルの部屋でJリーグタイムを視て、風呂に入り今度こそ轟沈。

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