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2005地域決勝予選はしご(3)
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出立が早いので清算は前夜のうちに済ませておいた。5時50分にタクシーの詰所へ行く。「肥薩線の真幸駅まで」
地図を見ればわかるのだが、実は京町温泉からだと吉松までと真幸までとでそんなに距離はかわらない。タクシーに乗ってから、昨夜のコンビニで食料は買ったが飲料を買いそびれたことを思い出すが、運転士さんいわく「自動販売機なんてありませんよ」とそっけない。国道を上がっていくうちに霧が深くなり、それが晴れたと思ったら真幸駅の入口だった。15分くらいかかった。タクシーが駅を離れると、ホントに何の音もしなくなった。国道の工事中の赤色灯だけが見える。ということは、もし工事中でなければ駅の明かりしか見えないということになる。ホームから見上げると、ホントに星がものすごく綺麗だ。
列車到着まで10分くらいになって、ようやく遠くから朝鶏の鳴き声が聞こえてきた。やって来た人吉行列車の運転士さんは昨夜の吉松行と同じ方。件の“3大車窓”でまた減速してくれる。昨夜は夜景がバッチリ見えたそこからの眺めは、眼下にそれは見事な雲海が広がっていた。真幸までタクシーで上がってきた時に通過した霧はこれだったのだ。あと10~15分もすると霧が晴れてしまうのだという。この景色は『始発列車の特権』というヤツだ。
しかし眺めがよかったのはここまで。矢岳では再び視界を霧が遮る。矢岳でこれだけ霧が深いと晴れるのは昼近くになるのだそうだ。というわけで、矢岳=大畑間で一瞬だけ“これから降りる大畑駅”が見える場所がある====ThisIsTheErrorMessege====のだけれどまったくわからなかった。ぼくは大畑でこの列車を見送った。
30分ほど駅周辺を散策。自販機などあるはずもなく、駅周辺に人家は皆無。山の裏側に家があるのだそうだが、ヒトの気配なんてカケラもなかった。夜はかなり恐い環境となるだろう。誰もいない待合室で携帯電話でエルゴラを読んだ。大畑で携帯エルゴラが読めるのだ。真幸でも携帯電話が使えた。すごい時代になったものである。
30分後。やって来た吉松行はさっきまでの単行ディーゼルカーではなく、例の観光仕様車両だった。と言っても車両を使っているだけであくまで普通の普通列車。これで一駅だけ戻って矢岳で降りた。もちろん降りたのはぼくだけ。そもそも大畑の時点で乗客はいなかったのだ。

矢岳では1時間半の待ち時間がある。昨夜通った際に、3駅の中で矢岳が一番人家が駅前に多いというのはわかっていた。だから、自販機くらいあるだろうと思っていたのだが、大空振り。駅入口に酒屋があるが閉まっていて気配もない。もっとびっくりしたのは、矢岳では携帯電話が使えないことだ。大畑や真幸で使えたのは、それぞれ人吉と京町の電波を拾っていたに過ぎないのだ。かくして、ぼくは誰もいない矢岳の駅舎で何もすることなく90分を過ごすことになった。
「90分もあるのだから周囲を散策でもすればいいのに」と思うだろう。ところが、この矢岳駅周辺の天候がめまぐるしく変わるのだ。駅近辺は晴れているのにどこからか雷鳴が聞こえる。すると数分後には霧のような雲がやってきて雨が降り出す。雨雲が通り過ぎるとまた晴れ間が広がり、遠く雷鳴が以下同文。まさに『ヤマの天気』だ。こんなんじゃ恐くて外も歩けない。
しかし、忙しい日々を余裕なく過ごしている身としては、何もしないというより何もすることが出来ない時間というのは、非常に贅沢な時間でもあった。しかも携帯電話が使えない情報遮断状態なのだから、ぼくはどこでもないどこかにいるということになる。
そんな時間はゆるゆると過ぎ去り、あと20分で列車が来るという時になって、これまでで一番激しい雷雨が来た。まさかとは思うが、この雨で次の列車が運休になったりしたらどうしよう。到着2分前になり、ようやく踏切の警報音が聞こえた時には真剣に安心した。やって来た人吉行は10人くらいの乗客がいた。全員が観光客だ。大畑に着くと携帯電話の接続が復活して、ぼくがちょうど矢岳に着いた頃と思われる時間に出された「いまどこにいるの」というメールが届いた。転がり落ちるように走って着いた人吉の町は、綺麗に晴れていた。

九州横断特急に乗って肥後大津へ。タクシーを拾って運動公園に着く。昨日の喧騒がまったくもって嘘のような閑散ぶりは、しょうがないよね。陸上競技場で昨日と同様にS氏と委員会議長氏と一緒にルミノッソ狭山と佐川中国の試合を観た。あさい氏も近くで観戦していた。
ぼくが着いたときは後半途中で1-1の同点だったのだけど、その後狭山がキチンと3点取って快勝。正直に言おう。どうしても、このルミノッソが琉球に粉砕される試合運びしか出来ないとは思えない。その思いがさらに深くなったのは、引き上げてきた狭山の選手たちベンチスタッフが迎えた時だった。こう、なんというか、“ねぎらい”的な雰囲気が非常に濃いのだ。ちょっとうるうる来ている選手もいる。それは、「この試合」を終えた選手達を迎えているのではなく「地域の強豪として君臨した“ルミノッソ狭山”の戦い」を終えた選手達を迎えているという解釈も可能な雰囲気に思えた。
正直言うと、ぼくにはもしかしたらそうなるのではないかという微かな予感があった。予感があったから、肥後大津駅からタクシーを飛ばしてやって来たのだ。消化試合のルミノッソ狭山と佐川中国の試合は、全部とは言わないまでも、“ルミノッソ狭山”の試合終了の瞬間は視ておく必要があると思った。もちろん、これはぼくの解釈だ。本当のところは、わからない。

第2試合も消化試合、ファジアーノ岡山とグルージャ盛岡の対戦。しかし、消化試合的雰囲気のカケラもないガチ勝負になったのはありがたい。岡山も盛岡も、残念ながらそれぞれの地域リーグ戦で強化を図るのはむずかしい環境にある。こういう「同じ程度に強い」チーム相手の公式戦というのは強化にはもってこいだ。
試合はガチで面白かったのだけど、脱力したのはグルージャサポ達の応援。野郎組はバックサイドに陣取って野太い応援をしていたのだが、どうやら女性陣はメインスタンドからの応援を選択したらしい。そして、その両方で応援を“かけあう”のだ。バック側の野郎組が浦和サポのように「アレアレアレグルゥジャー」と歌うとメインの女性組からは「なおやっ♪」と選手名の合いの手が入る。かなり眩暈がしてしまった。
金曜に博多で一緒に酒を嗜んだfreemind氏が合流。彼が教えてくれた先には日本代表サポで有名な植田朝日氏がいた。U18観戦のついでだろう。ぼくは逆で、地域決勝観戦のついでにKKウィングに行く。ハーフタイムにfreemind氏がもう一人の有名人をみつけて来た。なぜ?なぜ?なぜ勝野組のゴリ若頭が大津陸上に?朝日氏に「なんでここにいるの」と訊いていたということだから、若頭はU18関係で来熊したわけではなさそう。もしG8からレンタルの平山を視察に来たんだったら、やめたほうがいいと思うぞ。背丈はあるが空中戦に弱い。しかも足もそんなに速くない。
しかし、試合は終了近くにその平山がDFラインを抜け出して決勝ゴールを叩き込んでしまうのだからわからない。盛岡はホントに惜しいことをした。Cグループは視てないので憶測になるが、このサッカーが出来るなら、東北リーグでどこかであと1点取っておけば単独1位====ThisIsTheErrorMessege====になってCグループに組み入れられ、予選通過出来た可能性が高い、ような気がする。ホントに予選で消えるのが惜しいチームだった。しかし、来年は東北枠は1になる。厳しいシーズンになりそうだ。

大津陸上の試合が終わり、ぼくはfreemind氏が借りたクルマでKKウィングに向かう。駐車場に向かう途中でロッソの帽子をかぶった地蔵さんの写真を撮る。しかし地蔵にサンタの赤マントを着せるセンスは宗教的にいかがなものかと。
KKウィングまでは20分くらいで着いたのだけど、会場に近い駐車場はいっぱいで、離れた駐車場からガッツで歩くことになる。なんとか開始5分前に会場入りしたらちょうど北朝鮮国歌が流れるところだった。間に合ってよかった。重厚なメロディーとアレンジ。でも、歌があったらなおよかったかな。ぼくと違ってfreemind氏はキチンとした代表サポ====ThisIsTheErrorMessege====なので、バックスタンドコーナー付近の爆裂飛び跳ね組に混ざるという。ぼくはその上の席に腰掛け、デイパックを開けて真っ青になった。


デジカメがないっ!

どこかで落としたか?最後に赤マントを着た地蔵を撮ったのを思い出した。ということは、大津陸上に忘れたということはない。会場内で落としたか、レンタカーの中か。しかし試合は始まっていてfreemind氏は飛び跳ねているし、駐車場まで片道15分はかかる。あとで総合案内に対処法を訊いてみよう。こういう時の切り替えは早いほうだが、それでも落ち着かないことに変わりはない。
試合の方も全然落ち着かない展開だった。フィジカル的にはおとなとこども。あとで北朝鮮の監督も記者会見で言っていたことだが日本は1対1の争いでことごとく競り負け。前半はスコアレスだったけど、「いつやられてもおかしくない」とはfreemind氏。ぼくもまったく同感。途中から飛び跳ね組に混ざろうかとも思った。ついに鋳造が代表サポに?いやいや、寒かったのですよとにかく。
局面が好転したのはハーフナー====ThisIsTheErrorMessege====が投入されてから。“灯台”でしかないのだけれど、日本は「とりあえずぶつけてそこから」という攻撃パターンを作ることが出来た。あとはコンディションの差が後半になって現れ始めた。日本は中3日だが北朝鮮は中1日====ThisIsTheErrorMessege====なのだ。残り5分になって、ハーフナーの落としたボールを同じく途中交代の安田が拾ってゲット!ぼくは試合終了と同時に総合案内に行くべくメインスタンド側に移動していて、安田の決勝ゴールは目の前で視れた。選手達の壊れたようなはしゃぎぶりが、逆に苦しい展開を物語っているようだった。試合は1-0で終了。アジアユース出場は決めたけど、こりゃ前途洋洋とは行かないみたいだね。さらなる強化を期待します。

競技場の外に出て総合案内へ。「会場内でデジカメを紛失したみたいなんですが、どうすれば…」と言った時の受付の女性の表情を見て、ぼくは一気に緊張が緩んだ。デジカメが届いている!持ち主確認のために「何が写ってますか?」と訊かれたので、「最新の写真はロッソの帽子に赤マントの地蔵のはずです」これでデジカメがぼくのだと確定。8番ゲートあたりに落ちていたのだそうだ。拾ってくれた方、ありがとう!
そして、これからはデジカメは首から下げることにしよう。届けてくれた熊本の方に感謝の意をこめて、ネックストラップはロッソ熊本のグッズにしよう。急遽購入&空輸をお願いしたのはそういうわけだったのです>KK-ういんず!氏。ご協力感謝。

駐車場でfreemind氏と合流し、熊本空港まで送ってもらうことになっていたのだけど、出口渋滞がものすごいので残念ながらここで氏とはお別れ。外に出てタクシーを拾って空港に行った。職場に土産を買い、帰りが遅くなるので空港のレストランでハンバーグ料理を食べた。常滑まで飛んで、岐阜に帰り着いたのは23時前。風呂にも入れずに轟沈でありました。

おしまい。

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