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道楽三昧群馬の入替戦(2)
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翌日。早起きして葛生に行った。こんな機会でもないと葛生になんか来ない。東武佐野線の終点。石灰石の産地で、かつて東武が貨物輸送もしていた頃はここからというよりこの先からガシガシ貨物列車が出ていたらしい。葛生の先の上白石とかいうところはトワイラ====ThisIsTheErrorMessege====系鉄チャンにはたまらんポイントだそうだ。朝早い葛生は仙台で鉄チャンしていた人間には、この光景は「利府だ、まるっきり利府だ」。とても大手私鉄の終点とは思えない、ひなびた小さな駅。
で、この駅から浅草行電車が1日1本あるってのも驚き。いまは特急になった「りょうもう」。せっかくなので、葛生から「りょうもう」に乗ろう!ということになった。葛生から館林まで特急料金500円。しかしやっぱり、ここから浅草まで直通があるってのは、どう考えても、ヘン。それでも「浅草まで」と買っていく数人の主婦グループがあった。
新潟在住のP君は佐野で降りた。彼はこれから宇都宮で餃子三昧、それから会津鉄道で若松に抜けてバスで帰るそうだ。相変わらずの魔人ぶりである。ぼくは館林で降りて小泉線に乗り換えた。釣掛モーターのうなり声を堪能して、終点の西小泉へ。駅前の看板は予想通りのポルトガル語。====ThisIsTheErrorMessege====駅前にクルマで乗り付けた親父も日本人の顔立ちをしていない。この路線、実は熊谷まで延びていた可能性があった。詳細はこちらのサイト====ThisIsTheErrorMessege====を参照のこと。
で、当初は東小泉に戻って電車で太田に出るつもりだったのだけれど、西小泉駅前に太田行のバス停を見つけてしまった。しかもあと数分でバスがやってくる。こんなところで路線バスに乗れるとは思わなかったので電車はやめてバスにした。車内は中学生っぽい女の子が大勢いて喧しい。でも途中でおばあちゃんが乗ってくるとすぐに席を替わってあげていた。終点・太田駅に着くと、彼女らは開店間近の駅前のショッピングビルへ一目散。休日の愉しみというわけか。
太田駅は高架工事中だったけれど、なんか別にいいんじゃないの?という感じの駅前広場の寂れ方。市民生活が鉄道駅を基点に動いていないということなんだろうな。駅の時刻表が縦書き漢数字なのには真剣に驚いた。とても大手私鉄の表示方ではない。これじゃまるっきり汽車駅だ。新桐生方面赤城行普通も時間1本。なんだかなあ。
新桐生で降りてタクシーに乗り、市街地へ。桐生市民の先輩から聞き出した、うまいうどん屋「第三山本」に行く。確かに店構えは相当に怪しい。まさに讃岐における「針の穴場」だが、ここも朝は営業していない。11時近くに行ったのだけどまだ開店準備中ですということですごすごと退散。昼飯は西桐生駅前のラーメン屋でつけ麺を食べたのだけど、悪くない味だった。
桐生からはJRで前橋へ。直線距離では上毛電鉄の方が近いはずだが所要時間が圧倒的に違う。しかも今日の目的地・敷島公園方面のバスは中央前橋駅を通らないのだから仕方がない。車内で流浪の社会人サッカー野郎・S君と合流した。前橋からはバスで敷島公園へ。群馬県営サッカー場。天皇杯1回戦も開かれる。長良川メドウみたいなものか。しかしすごい客の数だ。1000人近くの客がいる。とても地域2部=県リーグの入替戦とは思えない。早起きして発作で駆けつけた盟友Sun'sSon氏と3人で観戦した。
メンツ的にはどう考えたって草津に分がある。なにせゴールを守るのは、ワールドカップの試合でベンチにいたこともある男====ThisIsTheErrorMessege====だ。他にもJ経験者が多数。しかし、図南には群馬の誇るファンタジスタがいる。実際、最初ぼくはどっちにもつかずに中立で観戦のつもりだったのだが、彼の存在を確認してからはべったり図南寄りになってしまった。鳥居塚伸人だ。コスモ四日市時代に中盤に君臨し、コスモ解散後は札幌に移籍しトップリーグにも出場した。ぼくにとっての「ヒーロー」の一人だ。
試合開始。意外な展開。個人技に勝るはずの草津は鹿島みたいに中盤制圧サッカーをするかと思っていたのだが、中盤省略でロングボールを多用。最前線のリャン・キュサ====ThisIsTheErrorMessege====頼むぞサッカーを展開した。観ていて愉しいのは圧倒的に図南のサッカーだ。やはり鳥居塚のところから決定的なボールが何本も出てくる。やはりこの男はこんなところでくすぶっているタマではない。しかし、結局はゴール前の勝負強さから梁圭史が先制点を叩き込む。バックスタンドに陣取った草津サポは大騒ぎ。草津の人口規模がどの程度かわからないけれど、地元民だけであれだけのサポが組織できたのなら大したものだ。草津名物「湯もみ」====ThisIsTheErrorMessege====の板まで用意してあった。もっとも、応援で使えるシロモノではないけれどね。
草津リードで折り返し。しかし、ゲームをコントロール出来ているわけではないし、内容的には図南の方が上のような感じだったのでこれはわからないと思っていたら、後半の終わり近くにクロスボールをヘッドで落としたところをフリーで叩き込んで図南が同点に。この時、草津の選手を集めて指示を出していたのはプレイヤー・マネージャーの奥野====ThisIsTheErrorMessege====だ。普段は見慣れない光景。ピッチに監督がいるから出来る芸当ではあるが、逆に言えばそこで選手を集めて支えないといけないくらい草津側はショックだったと言うことだ。ここで畳みかけるパワーがあれば図南は逆転も可能だったかも知れないが、結局は延長戦でも決着が付かずにPK戦へ。

こうなると、「ワールドカップの試合でベンチにいたこともある男」の存在感が威力を発揮する。もしかしたらワールドカップで日本代表のゴールを守ったかも知れない男だ。いつもより厳しいコースを狙わないといけないというプレッシャー。しかも最初に蹴ったのは鳥居塚だ。彼はファンタジスタではあるが重大な欠陥があって、とにかくPKがヘタなのだ。ぼくは彼がPKを蹴るシーンを何回か観ているがおそらくはずした回数の方が多い。この日もそうだった。結局、小島は一度も自らがセーブすることなく図南の自滅でPK戦は決着。草津の昇格・図南の県リーグ降格が決定。鳥居塚はどうするのだろう。おそらく子供達のコーチもしているだろうから移籍することはないだろうが、県リーグに埋もれさせるには惜し過ぎる選手だ。しかし、岐阜から観に行った甲斐のある試合だった。正直に言うが、この日の図南が東海1部昇格の我が春日井クラブと戦ったら春日井はひとたまりもないだろう。漢字4文字で言うところの木端微塵というヤツだ。


帰りはSun'sSon氏のクルマで前橋駅まで送ってもらったおかげで、予定通り長野経由「しなの」乗り継ぎで名古屋まで帰ることが出来た。このルートなら東京に出るより数千円も安く済む。かくして喰いまくり・鉄チャン・サッカー観戦のまさに道楽三昧の旅行は無事に終了。

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