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九州で道楽三昧(2)
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土曜の朝、仕事絡みの夢を見て6時前に目覚める。なんとかならんかなあこの早起き癖。7時にチェックアウトし、フロント前の喫茶店で朝飯。結構キチンとしたものが出てきた。水道町まで歩いて路面電車で熊本駅。辛島町から駅に向かうルートの情景はどんどん街外れといった感じになっていく。いくら城下町としてしっかりしていたとはいえ、これはちょっと極端。松山だって市街地とJR駅の途中はもう少し賑わっている。もし宮城野貨物駅のところに仙台駅が出来ていたら熊本と似たような感じになっていたのだろうか。それはそれで想像すると面白いものではあるが。
熊本からは三角行きのディーゼルカーに乗る。三角に行くのなんて18年振り。ヒマなので車内では昨夜買った「攻殻機動隊2」を読むが・・・士郎正宗さんよお、これはないんじゃない?ヤンマガに連載されていたものと作品がまるっきり違うではないか。トグサやバトーやサイトーはどこに行ったんだ?私はガンアクションとしての「攻殻」が好きだったので、うぐぅ。読み散らかすことが物理的に不可能な濃密な世界は相変わらずだが・・・・・。

三角駅は趣のある駅舎なんだけど、そのすぐ前に展望台みたいなものが建てられていて景観だいなし。ヒマを持て余しているタクシーの運転手が何人か声をかけてきた。フェリー乗り場まではすぐだ。島原行きの切符を買う。それほど待たされることなく船は出港した。三角は天然の良港だ。天草五橋の1つの下をくぐり、ものすごく狭い海峡を通り抜けると有明海に出た。あとはどうという景色ではなかったので船内で「瞳子」を読んでいた。
島原外港はとても近代的なターミナルだった。ちょうど、熊本からの高速フェリーも着いたところだった。かつてゲロ袋オハユニ氏が見たという「海の国道57号」の看板はどこにもなかった。三角港でも見当たらなかったような気がする。バスターミナルに下りると、島原駅行きの市内バスがすぐに来た。タクシー利用も考えていたのでこれはすごくラッキー。湊広馬場でバスを降りて数分歩くと、

島原鉄道の南島原駅があった。以前、鉄道雑誌でこの駅を空撮した写真を見て以来行きたかったところだ。新旧混ざったディーゼルカーがゴロゴロ言っている様は鉄道マニアの血を沸騰させるに十分。模型派のマニアなら一度は再現したくなるシチュエーションだろう。諫早までの乗車券を買う。いまどき珍しい常備券だったので嬉しい。南島原始発の列車は新型の車両。趣はないが、1時間以上の旅程で非冷房車に蒸し上げられることを考えたらよかったのかもしれない。島原鉄道では座る席によって車窓がまるで違う。ずーっと普賢岳を見ていることになるか、ずーっと海を見ていることになるか。もちろんぼくは後者を選んだ。有明の海は穏やかだ。そんな長閑な光景を楽しんでいると、吾妻が近づくにつれて見慣れた建造物が見えてくる。あれが諫早湾の堤防か。政治的な思惑についてはコメントしないが、これについては得したヤツより困っているヤツの方が多いような気がするのだが・・・。そんな感じで列車は諫早に到着した。島原鉄道は諫早駅も無人扱いでかなり驚いた。運転士さんに切符を記念に欲しいというと快諾してくださった。ありがとう。
乗り継ぎにあまり時間がないので仕方なくマックでハンバーガーを買った。そして改札へ。ここから初めて周遊きっぷのゾーン券を使うことになる。駅のベンチでハンバーガーとポテトを食べていたら、駅に住み着いている鳩や雀が寄ってきた。ぼくの方をモノほしそうにじーっと見ているような気がした。試しにポテトを1本投げてみると、あっという間の取り合い。どうやら乗客から餌をもらうのに慣れきった連中のようだ。
大村線の列車は少し遅れてやってきた。車内は男子高校生がいっぱい。携帯の着信メロディーを鳴らして喜んでいるのは、都会の電車では考えにくい光景。携帯はマナーモードで、なんて車内放送も入らないし。彼杵駅が近づくと、車掌が嬉野温泉行バスの乗り継ぎ時間を案内したので驚いた。
彼杵駅はなんの変哲もないローカル駅。駅に直付けの形で嬉野温泉駅行きバスが止まっていた。すぐに発車。国道34号をたらたらと上っていくと嬉野町の市街地に出た。でもあまり温泉街という感じがしない。街中のバスターミナルが「駅」だった。駅と名乗るくらいだから、武雄温泉からJR鉄道線の連絡乗車券も売っている。さすがに硬券が用意されているなんてことはなかったが。建物は西肥バスのターミナルも兼ねている。佐世保から県境を越えてやってくるわけね。佐賀県側からは祐徳バスもやって来る。で、西肥バス窓口のおばさんに外湯の場所を尋ねた。彼女は外湯という言葉の意味も知らなかったが、公衆浴場ならここのそばに一軒あるだけだと教えてくれた。
嬉野温泉唯一らしい外湯は立派な建物だった。入浴料¥500。お湯は重曹泉のせいかちょっとぬるぬるしている。温度はぬるめ。時間があるので30分ばかりゆっくりとつかっていた。風呂上りに牛乳を飲んで、再びバスターミナルへ。JRバスの武雄温泉行きはもう止まっていた。運転士氏に武雄温泉の場所を尋ねる。駅の1つ手前で降りろ、という。ちなみに温泉街から駅までは1km近くあるそうだ。帰りもまたバスをつかまえることになりそう。

嬉野から武雄までの道のりに語るべき点はない。ただのローカルな田園風景が続いているだけだった。市街地に入り、温泉入り口のバス停で降りた。運転士氏に教えられたままに歩いていくと、竜宮城の入口を作ろうとしたとしか思えない門があって、その奥が武雄の公衆浴場だった。観光地ずれしている予感がして少々がっかり。でもここまで来て入らないわけにはいかない。中は2つにわかれていて、元湯が¥300で蓬莱湯が¥400。蓬莱湯は新しいですと宣伝してあったので、ここは当然安くて古い方を選択。入ってみると、観光地ずれなどなんの話だといった感じの趣のある建物に浴槽。要するに、昔はバリバリの観光温泉だったのだけど、その建物がそのまんまいまでも使われているのだ。なるほど。で、またお湯が熱いんだこれが。ぬるめと熱めの2つの湯船があったのだけど、ぬるめの方に入ったらさっきの嬉野とは比べものにならないくらい熱い。ぬるめでそれだから、熱めの方は推して知るべし。試しに入りましたよ一応。これまで入った中で一番熱かった山形かみのやま温泉の公衆浴場よりはぬるかったけど、すでに嬉野で結構へろへろになっていたので、この武雄の湯は堪えた。風呂上りにエネルゲンのペットボトルをがぶ飲みし、なんとか動けるくらいに回復した。これは効くね。時間があったらまた訪れてみたい温泉だった。再びバスに乗って駅まで。1区間だったけど、重い荷物+温泉でへろへろのカラダを考えたらバスは正解。どうせ周遊きっぷだからカネもかからないし。

武雄温泉から鳥栖まで特急「みどり」。JR九州の車両のカラーリングセンスにはいつ見ても感心するね。優秀なコーディネーターがいたんだろうなあ。40分の車内でビールのロング缶を開ける。冷房がきつくて、ちょっと車内でつらかった。鳥栖が近づいてくると、スタジアムも見えてくる。駅ではJ2名物となりつつある「かしわうどん」を食べた。なるほど、鳥そぼろがいい感じ。¥290はかなり良心的と言えよう。駅から歩いて数分のホテルでチェックイン。重い荷物から開放された。夕立が来そうなので折り畳みの傘を持って、いざ、スタジアムへ。
鳥栖駅前にはローソンがある。試合開始1時間前にしてローソンチケットがまだ有効らしい。カードが使えるのでここで購入。それから駅に行って「かしわめし」弁当を買おうとしたのだが売り切れだった。跨線橋の向こうにスタジアムの大きな姿。予想通り雨が降ってきた。バックスタンド2階席に荷物を置いて、売店で旗とタオルマフラーを買い、NIFTYの仲間の集合場所に行く。しばらく談笑。そこでぼくが何気に「明日は長崎の松山町の市営競技場で九州リーグを見るんだ」と話したところ

知人「競技場って、陸上ですか?」
鋳造「ええ」
知人「じゃあ、それは松山町じゃないですよ」
鋳造「・・・・・へ?
知人「松山町にあるのは球技場。陸上競技場は別です」
鋳造「でもだってええと、長崎の地図には松山町に陸上競技場って」
知人「あそこはボロボロでサッカーの試合なんか出来ないですよ」
鋳造「・・・・・(事態が把握できていない)」

なんでもこの知人は松山町の球技場で九州リーグを見たことがあるそうで、その際に周囲のひとが陸上競技場はとても行きづらいところにあると話していた、というのである。とひょーん。
しかし、沈黙が金なのは認めるが、雄弁も時として金になることがあるのだ。この時にぼくが明日の予定を話さなければ、当日の昼過ぎに松山町でそしてぼくは途方に暮れる状態になっていたはず。まさに「在家靠父母、出門靠朋友」====ThisIsTheErrorMessege====ということか。とにかく明日は早めに長崎入りして陸上競技場の場所をつかまなければ。

試合開始が近づいたので一旦知人らと別れ、バックスタンドへ。ここの売店でかしわめしを売っていたので、シューマイとビールとあわせて購入。2階席に上がる。ここからの眺めは最高だ。スタジアムとしては仙台の方が完成度は高いと思うが、日本にピッチの眺めとしてここより優れたスタジアムがあるのだろうか。試合は、鳥栖が1-0で勝利。京都の方が試合を支配しようとしていたし、またそれだけの技量もあるはずなのに、組み立ての肝心なところで鳥栖DFの出足に負けカウンターを喰うという、西京極での水戸戦と同じ流れ。失点も同じく、2列目からの飛び出しにあっさりDFの間を抜かれてGKと1対1という、ああだから京都はこの戦力で大宮に走られているのねという事態を再確認する結果となった。3000人超の観衆が最後の京都の猛攻に挑むDFを支えようと必死の声援を送る様は、来てよかったと思わせるものだった。
試合終了後、件の知人らと再び合流し、郷土料理を喰わせてくれるという店に連れて行ってもらった。しかしまあ、知らない料理名というか素材名というか、わかるのはムツゴロウだけ。めかじゃ====ThisIsTheErrorMessege====とかわけ====ThisIsTheErrorMessege====とか海茸====ThisIsTheErrorMessege====とか、なんのことやらさっぱり。話では、佐賀の海産物でも唐津や呼子ではまともなものが獲れるとのことだから、有明海の奥の深さということなのだろうか。最後に出てきたのが、わらすぼ。どう見てもエイリアンの子供としか思えない。これをマヨネーズにつけてかじる。いやまったく、有明海おそるべし。適当に酔いが回ったところで解散。ホテルに戻り、インターネットに接続するが、長崎市の公式サイトにはなぜかつながらない。では、と長崎市陸上競技場で検索すると、長崎新聞の記事アーカイブに突き当たった。曰く

[1999年7月22日(木)]
長崎市営陸上競技場のスタンド撤去、多目的広場に
 スタンド撤去で広々とリニューアル。長崎市松山町の市営陸上競技場で、400メートルトラックを取り囲んでいたスタンドの解体作業がほとんど完了した。同市柿泊地区に昨年、本格的な競技施設として新しく市営陸上競技場ができたこともあって【以下略】。

柿泊?聞いたことのない地名だ。では、と地図サイトで長崎市柿泊を検索。浦上から山を西側に越えたところらしい。これならタクシー利用で行けないところではない。明日も早起きだ。安心したところで速報J2もスーパーサッカーも見ずに寝てしまう。

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