cyic.co.uk 吉田鋳造総合研究所
鋳造所長雑文録
2018/01/11◆Party Party(コミケ本番編)
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行こうか……会場(いくさば)へ!

当日の朝。連泊なので衣類と実家土産菓子を部屋に置いて、6時にフロントで荷物を回収して、出撃。気分はもう桃瀬成海。====ThisIsTheErrorMessege====そのくらいの気合がないと動けない。

  • キャリーケース(中大1)
  • 折り畳みキャリーカートに載せた本などのダンボール3箱
  • 背負いバッグ
  • ポスターの入った細長い三角筒
これを独りで運ぶ。森下(大江戸線)月島(有楽町線)豊洲(ゆりかもめ)有明。途中、なんども荷崩れを起こす。すでに、キャリーカート付属のゴムロープは2ヶ所で残り数ミリの断裂寸前になっている。戦場に到達するまでが既に戦争だ。駅での乗り換えは問題ないの、エレベーターがあるから。一番大変だったのは、月島で有楽町線に乗る時。若干だけど電車の方がホームより高いんだよね。乗れないかと思った。
有明駅から先に見えるビッグサイトらしき建物。ああ、あれだ、あそこまで保ってくれれば……とキャリーカートに祈りを捧げる。会場手前の交差点、左は一般参加者、直進はサークル参加者。岐阜隊のチケットホルダーに入場証を入れて首から下げ、直進。ちょっとだけ優越感を抱いてしまうが、それは間違い。コミケは、売る側も買う側もみんな参加者だ。

サークル参加者は7時半から入場開始だそうだけど、7時10分に着いたらもう中に入れた。自分のスペースは、ホントにゾーン入口のすぐまん前。これが、これが『お誕生日席』というものか。印刷屋さんからの直接搬入分もちゃんと届いていた。いい感じに緊張してきたぞ。

さて、今回は設営から撤収まで、さらには打ち上げまでワンオペ(笑)。ゆっくりする時間はない。工兵師団の作戦開始だ。まずは、机の上の瓦礫……じゃなかった印刷屋さんの営業チラシの撤去(笑)から。すると、ぼくが今回お願いした印刷屋さんの営業さんがやって来た。商品の確認に来たらしい。年に2回の大イベントだからね。でも、こういう接客は印象がいい。「寒いですから」と使い捨てカイロを置いてってくれた。ありがとう。
さて、これから2時間半で販売スペースを構築しなければならない。とはいえ、こっちは配置図も描いてあるし、建設資材はすべて持ってきているのであとは粛々と……と思っていたのだけど、ここでも誤算。たしかに図面どおりにモノは配置できる。でも、ワークスペースがない。しかも輸送に使った箱やキャリーケースの置き場も必要。これは手馴れていないとかなりの負担になる。

アタマの中のBGMは、映画『パーティ・パーティ』のメインテーマ。けだるいリズムに載せてエルヴィス・コステロが「ぱてぃぱてぃぱてぃぱあーてぃー(ぱらっぱらっぱっぱっぱっぱーっ、ぱらっぱらっぱっぱーっ)」と歌う。アタマを占めていたのはその曲で、心を占めていたのは、とてつもないまでの、『懐かしさ』。これ、高校の文化祭の前日だ。自分の血液の中を30数年前と同じアドレナリンが流れている。不思議な愉しさ。結局、きっちり設営が終わったのは開場の20分くらい前だった。


10時、放送が入り、サークル参加者で拍手。そして、一般参加者の入場だ。整然とヒトの列が会場内に入ってくる。ぞろぞろ、ぞろぞろ、ぞろぞろ、ぞろぞろ、ぞろぞろ………。ヒトの列が途切れない。喩えるなら、それは「濁流」だ。正直言うと、結構コワい光景ではある。まだ来店者もいないので、J2本売り場に行って最低限の買い物は済ませた。これで、あとは自分の売り場に専念できる。以下、時系列にも語れないのでこの日のトピックごとに紹介しよう。

「フランス語、話せますか?」

イヤな予感がしたんだ。コミケには外国のメディアも来ることは知っていたけれど、東5の入口でぼくのあたりを撮影していたクルーが、フローラン・ダバディ====ThisIsTheErrorMessege====に似ていたのだ。フランス。ヤバい。今回は新刊のタイトルもあって、案内はフランス語で統一している。『営業中』『みほん』『売り切れ』『バックナンバー』『少しはずします』。どうする。どうするどうする。
そして、その心配は現実となったのだった。お昼前にやって来たのは別のフランス人。わあああっ、フランス語なんてわかんなーいっ。彼が「フランス語、話せますか?」と日本語で訊くので、「話せません(きぱっ)」と答えると苦笑いして去っていった。よかったあ(苦笑)。他にも、アラブ系かな?のカップルが「ほら、フランス語よ」なんて感じで振り向いていった。ばくばく、ばくばく。

「砂を売っています」

前の雑文に書いた通り、今回は『鋳造』前面推しで告知を展開した。例の『鋳造はコミケにいる』タンバー風(笑)ポスターも大成功、「お誕生日席」ということもあり、通行人の何人かの足を止めることにも成功した。しかし、逆にサッカーを扱っているという情報はほぼ皆無で、こうも鋳造!鋳造!と押していると、工業の鋳造工程を扱っているスペースだと勘違いされても致し方ない。実際、そういう風に思われて話しかけてくる方が10人以上。これは想定外(笑)。しかし、この系統で立ち寄ったご婦人に「鋳造用の砂を売っています」と言われた時には、笑うしかなかったよ。ごめんなさい、仇名なんですぅ〜。

ラーメン・スープはどこで食べた?

この、砂売りのご婦人(笑)の話でわかったのは、コミケでは鋳造工程の同人誌を扱うスペースがある、あるいはあっても何の不思議もないということだ。実際、ぼくも開場前に場内をうろうろした時に、60代近い白髭の紳士がなんとか探偵倶楽部という同人誌を売っていた。「コミック」マーケットという名前ではあるけれど、その守備範囲は著しく広い。広いというか、すべてを呑みこんでいるのかもしれない。

今回はワンオペだったし、やはり購入にみえた方とはしっかり対応したかったのでほとんど買いに出ることはなかった。午後から会場に来たじゃからんによると、『市販のビルド・ドライバー====ThisIsTheErrorMessege====に手を加えてよりリアルな動きのドライバーにする!』なんて同人誌がビルドのコスプレさんによって売られていたそうだ。
だったら、女子スキー・ジャンプの同人誌があってもいいような。イラストで、サラちゃんが箸でハンバーグ食べてたりアルトハウスとヘルツェルがチロル民族衣装で踊ったりヘンドリクソンがお腹の“田の字”を自慢したりチコノワちゃんが赤いちゃんちゃんこ着て火燵でぬくぬくしてるところにお餅と蜜柑が出されたり====ThisIsTheErrorMessege====マルジナーちゃんが森を歩いていると黒帽に杖で魔女姿のイラシュコ・シュトルツに「お嬢さん、道を教えてあげよう」と話しかけられたり寂れた温泉街の場末のスナックでママとチーママをやってるザイフリートベルガーとザイファルトが水割りをかき混ぜながらカウンターで妖しく微笑んだり。あと、2016/17シーズンの札幌大会で優勝した“砲弾むすめ”マーレン・ルンビュ====ThisIsTheErrorMessege====が翌日の軽い練習を終えてのインタビューで「これからアンネケンと2人でラーメン・スープを食べに行くの♪」と言ってたけど、彼女たちが行ったラーメン屋はどこだ?写真1枚を手がかりに「このノルウェー人、ラーメン食べに来ませんでしたか?」と札幌のラーメン屋を探し回るレポートとか。需要ないかなあ、ありそうだけどなあ。ごく一部に(笑)。

兄ちゃんは、そのコスプレは認められないぞ

コスプレ衣装のまま、中に来る方も少なくなかった。もっとも、鋳造はそれが誰のコスプレなのかがわからないので、コスプレに対する評価は出来ない。でも、個人的に唯一「それは認められない」と思ったのが、山吹色のジャージを着た、細い方。どう視てもそれは阿良々木火憐====ThisIsTheErrorMessege====だったのだが、着ていたのが男性だったのだ。それは、それは認められないぞ兄ちゃんは(笑)。あ、あくまで個人的な見解ですから(笑)。
『鋳造総研』にも、どこのサポとは言いませんが男の娘さんが買いに来てくださいました。コミケは「いろいろな柵(しがらみ)からほんの少しだけフリーになる場」なんだね。

「晴海の頃じゃん!」

今回、吉田鋳造プロダクト以外の同人誌を販売した。受託ではなく、ぼくが社会人になったばかりの頃に学生時代の仲間とCABIN SEARCHERS名義で作っていた同人誌「42stns」。各100円で投げ売り。1号と2号ははじめから3部しか在庫がなかったのでサクサクと完売。3号と4号を紹介するときに「こちら(3号)は27年前、こちら(4号)は26年前の同人誌です」。みんな「えーっ!」となる。中には「晴海の頃じゃん!」====ThisIsTheErrorMessege====と驚く古株さんも。表紙デザイナーはいまムサビで教授やってる====ThisIsTheErrorMessege====と言うと、さらに「えーっ!」となる。3号が20冊、4号が16冊売れた。大健闘でしょう。100円という価格設定もよかったんじゃないかな。『ことがら』とセットで買ってくれる方も何人かいたし。

OSとアプリ(ソフト)の関係

会場には結構頻繁にコミックマーケット準備会からの放送が流れていたけれど、印象に残ったのは、その言葉の選びかた。たとえば「何時までに●●してください」という放送は、「何時までに●●してください」と流れる。当たり前だ、と思うだろうか?ぼくには新鮮だった。その後に「ご協力をお願いします」が続かない。全体を通して、こうした放送のトーンは一定だった。
一般参加者とサークル参加者を同じ「参加者」としているのと同様、準備会も「場を提供しているだけ、本当に基本的な運営を行うだけ」だから「ご協力をお願いします」なんて遜ることはしない。と、ここまで打ってみて思った。コミックマーケットというのは『OS』なのだ。その上で、「一般参加者(買うひと)」や「サークル参加者(売るひと)」や「コスプレイヤー」といった『アプリ(ソフト)』が動く。その『アプリ(ソフト)』の活動でどのような障害が発生しようと、『OS』に由来しない/影響しない障害なら『OS』は関与しない。====ThisIsTheErrorMessege====こう考えると、スッキリする。少なくとも、ぼくはスッキリした。

撤収戦の方がずっとむずかしい

なるほど、桃瀬成海嬢が言うように、ここは「いくさば」だ。午前10時の開店から4時間、『ことがら』が時間あたり15〜20冊という快調な売り上げを見せる。ホントに、座る暇もない。水も飲めないからトイレも行く必要がない。しかし、午後2時を境にビタッと売れ行きが止まった。気がつくと、いくつかのサークルではもう店じまいを始めている。スペース利用時間は午前10時から午後4時までなんだけど、フルにがんばるサークルって多くないんだね。
それには理由があるとわかったのは、その後のこと。じゃからんが午後2時前にやってきて、少しずつゴミ処理とかで動いてくれた。しかし、本格的に撤収戦に入った午後3時10分に「これはヤバい」とわかった。設営は独りで2時間半近くかけて出来たけれど、撤収はゴミ分別と移動、設営グッズや残った本の臨時郵便局からの発送手配、などなどを特に心がクタクタになった状態で午後5時までに終わらせないといけない。====ThisIsTheErrorMessege====設営はワンオペでもなんとかなるけど、撤収はワンオペでは無理だ。もし、諸事情で撤収もワンオペになるなら、ワンオペで出来る程度の軽装備で設営に臨まないといけない。これは撤収を経験しないとわからないね。

「一瞬のスキ」とは何か?

じゃからんがゴミ排出の担当になってくれて撤収戦の貴重な戦力に。でも、さすがに彼女に売上金やら釣銭やらをまかせるわけにはいかないので、ぼくがそれらすべての貴重品が入ったデイパックを背負い、残本などの入ったダンボール2箱を載せて、例の壊れかけ寸前のキャリーカートを引きずり転がして、臨時郵便局の列に並ぶ。もう、ホントにフラフラ……。着払の窓口へ並び、荷受状は記入して用意しておいたのであとは貼って出すだけ。控えを受け取って、フラフラと自分のスペースへ。戻ったところで、ふと気づいた。背中が軽い……

デイパックがない!

間違いない、臨時郵便局の着払窓口だ。荷受状を出すときに背中から下ろして、そのまま置いてきたんだ。走った走った、走れメロス級に走ったよ。走ったと思うよ。果たして、デイパックはそのまま着払窓口近くに置いたままだった。別に郵便局の方が拾得管理していたわけではない、持ち去られたらそのままだっただろう。ホントに、一瞬のスキだった。あぶないあぶない。もちろん、じゃからんには怒られました(苦笑)。

マチルダ、さぁーーーーーん!

そんなわけで、箱2つを臨時郵便局に運び終えたところで、前日から激しい酷使に耐えて耐えて耐えたキャリーカートが最期の任務を終えた。コミケ会場では粗大ゴミは捨てられないので、折りたたんで岐阜に持ち帰って処分することに。じゃからんが「大任を果たして最期を迎えたキャリーカートに名前をつけよう」と言う。任務を完遂して最期を遂げた輸送師団……「マチルダさん====ThisIsTheErrorMessege====しかないでしょ!」(笑)。ホントに、よくがんばってくれました。鋳造総研が最後まで戦えたのは、マチルダ輸送隊のおかげだ。マチルダ、さぁあーーーーーーーーーんっ!
撤収作戦終了は午後4時半くらい。独りだったらこんな時間には終わらないよ。じゃからん、ありがとう。そして、正月3日に岐阜に届いたキャリーカート『マチルダさん』は感謝を込めて粗大ゴミ置場行きとなりました(笑)。

親子3代でやってます

じゃからんと都バスで東京駅に出て、そのまま用事がある彼女とはここで別れて、ぼくは日本橋まで歩いて都営地下鉄を乗りついで菊川へ。荷物を置いてザクッと売り上げチェックを終えて、打ち上げだーーー。当初は月島に行ってもんじゃデビュー!と思ってたんだけど、調べると森下近辺にもいくつかお店があるそうな。ホテル近くの店は既に年末年始休業に入ってて、2番目に近い店に電話をかけたら「やってます」と。「こちら、もんじゃはまったくわかりません」と宣言すると「こちらで焼きますから大丈夫ですよ」とのこと。それなら安心、

訪問したのは菊川駅前の『味三』。小学生くらいの嬢ちゃんが前の客の皿を片付けてくれた。昼飯がクロワッサン1個だったのでとにかく空腹。ガツンと“ちゃんこもんじゃ”にした。生ビールが、ミサトさんみたいに「くうううううううううっ!」と叫んでしまうくらい旨い。もんじゃを焼いてくれるのは、ロシア?っぽい顔立ちのお姉さん。お店は年配の夫婦、その子供夫婦でまわしていて、子供夫婦のその子供らしい嬢ちゃんはお手伝い。こういう店がマズいはずがない。とはいっても、もんじゃはここが初めてなのだから他所と比較しての旨いマズいは言えないのだが。で、食べてみてわかったのだけど、もんじゃってキャベツがどっさり入ってて実は結構やさしい料理なんだね。

翌日の大晦日、郵便局に売上金を入れ、用意した釣銭分は銀行口座に入れて、とりあえず終了。あ、売上金をチェックしてたら見慣れない500円玉をみつけて、「すわっ、500ウォン玉を喰らったか?」と焦ったら、地方自治60周年の記念硬貨====ThisIsTheErrorMessege====だった。外貨準備コイン入れで保管しよう。帰宅してからの残り部数と照合した売上金の誤差はちょうど1,000円のマイナスでした。お釣りで多く渡しちゃったかな。


こうして齢53にして『初コミケ参加がサークル参加』の無謀な挑戦は、いろいろあったものの成功裏に終わったと言っていいでしょう。12月30日の朝、設営準備中に血液内にあふれ出たアドレナリンは、翌日の夜くらいまでは退くことがなかった。とにかく「めっっっちゃくちゃ愉しかった!」としか言いようがない。じゃからんは「鋳造、かかり過ぎ!」と心配してくれたし、白河女史は「生き生きしている鋳造が見れた」と言ってくれたし、隣のスペースだったFC大阪サポの皆さんも「鋳造がすごい愉しそうだった」と言ってくれた。やっぱり、ぼくは現場が好きなんだね。あ、それから『今年の』の冬コミに出す予定の新刊のテーマとタイトルはもう決めたからね〜(爆笑)。


このコミケで販売した新刊『ノンリーグ・フットボールについて私が知っている二、三の事柄』ほかは、同人誌販売サイト「チャレマ」の『吉田鋳造総合研究所』ヴァーチャル・ショップはこちら====ThisIsTheErrorMessege====で取扱中。また、2月に開催の『ヨコハマフットボール映画祭』併設の『フットボール文化祭』でも委託販売の予定です。

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