吉田鋳造総合研究所
鋳造所長雑文録
2014/01/04◆いつかはクラウン。
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設備屋から総務屋になったことで年末年始はどかんと休みになった。永年勤続のイスタンブール旅行の時でさえ9連休なんてなかったわさ。そうなると、普通の年末年始休暇として使うのはもったいない。よし、泊りがけでスキーに行こう。

そうなったら、やはり本場に行きたい。行くなら野沢か白馬。野沢はぼくが初めて滑ったゲレンデ====ThisIsTheErrorMessege====で、あまりいい思い出がないためにその後29年に渡ってスキーに行かなかったという因縁の地。リベンジにはもってこい。麓には何種類もの温泉があるから夜も愉しめる。しかし、残念なことにプランを立てている段階ではあまり雪がなくて。
それじゃあ白馬だ。ぼくもじゃからんも夜行バスで行くだけの体力はもはやないが、名古屋発では白馬だと朝発スキーバスツアーなんて便利なモノがある。選択の余地はないではないか、と12月中旬に申し込みに行ったら、バスは空いているが宿がすべて満室だとさ。そりゃそうだわなあ。運よく、ネットで白馬の宿だけは抑えることが出来たので、だったら列車で行けばいい。旅費は当然高くなるけど、帰りの乗車券を帰省の乗車券とくっつけてしまえばいくらかは安く出来るし。

さて、白馬と言っても広い。のだけど、確保した宿は八方だ。八方尾根で滑りたいではないか。その時点では八方尾根がどういうところだかまったく知らないで言っている(笑)。せっかく白馬に行くのなら、と勤務最終日の夜に名古屋を出て長野泊。28日朝に長野を出て、八方尾根で2日間みっちり滑るという知らないことは実に恐ろしいというプランを立てたのだった。白馬といえば松本から大糸線でタラタラという印象しかなかったのだけど、いまのゲートウェイは長野====ThisIsTheErrorMessege====なのね。ああ、ゼンパク====ThisIsTheErrorMessege====があればなあ(笑)。


と、そんな感じでワクワクしながら雪情報をチェックしていたのだけど、そもそも八方尾根とは?とネットで情報を集め始めたぼくは八方尾根に関するいくつかの格言を知ることになる。

「八方尾根ではスキーは“娯楽”から“競技”になる」
「八方尾根はスキーヤーの心を折る」
「八方尾根のコースのレベル表示は他のゲレンデより1段階低い」

要するに、八方尾根で“初級”と書かれているコースは他のゲレンデでは“中級”レベル。“中級”と書かれているコースは他では“上級”レベル。なもんだから、「自分は“中級”だ」と思って八方に行くと「こここここ、これが“中級”?」という状態に追い込まれ、「自分では“中級”だと思ってたのに……」とスキーヤーの心が“折れて”しまうんだと。『なんちゃってパラレルターン』のじゃからんはともかく、『なんちゃってシュテムターン』の鋳造の手が出る相手ではないではないか。知恵袋系サイトでも「初級?悪いこたぁ言わないから栂池に行きなさい」とみんな書いてある。
さらに調べてみると、なんと八方=岩岳=栂池は無料のシャトルバスが運行されてるじゃないか。長野~白馬のバスは八方・栂池経由の白馬乗鞍行だし、1日目は栂池で2日目は八方、なんだったら宿だけ八方で2日とも栂池という選択肢だってあるのだ。よし、初日は栂池だ。以前からじゃからんは「スキースクールに入りたい」と言っていたし、栂池で午後の2時間コースのスクールにも入ってみることにしよう。

12月28日

28日朝、7時40分くらいに長野駅東口へ。バスは8時過ぎの発車、明らかに朝イチ長野新幹線の到着待ちだ。だったら、その前にバス停に行っておかないと。果たして、新幹線到着と同時にスキーヤーが続々とやって来る。既にスキーウェアの方々も少なくない。八方で6割くらいの客が降りて、栂池で降りたのは数名。
バス停近くの「内川スポーツ」さんにレンタル+リフトセットのクーポンを出す。ありがたいことにここで着替えさせてもらうことも荷物を預かってもらうことも出来た。大変助かりましたありがとう。じゃからんは御礼も込めて帰りにゴーグルを買っていった。
さて、ゲレンデへ。なるほど~こりゃ確かに初級向け、下層部はほとんどが緩斜面で『なんちゃって』なスキーヤーの練習にはピッタリだ。中上級者はゴンドラに乗って上層部に行ってしまうし、天気があまりよくないこともあって下層部で何度も往復。
午後からスクールに申し込む。『なんちゃって』レベルなので『初級』コースを選択。受講者はぼくら含めて8人いて、小学生5人にあとは30代くらいの男性1人。なんでも、仲間に誘われて栂池にやって来たものの彼らはみんな上級者だったんでついていけず、午後は別行動にしたのだとか。なかなか合理的な行動が出来るひとだ。

小学生チームは前日から栂池に来ているようだけど、面白かったのは1人の少年が最初の教習課程で「この先生、昨日のよりずっとわかりやすい!」と見抜いたこと。それはぼくも受講してわかった。ゴールは『緩斜面でパラレルターンが出来る』ことなのだけど、そこへの導き方がすんごい的確。言われるままに1つずつ課程をこなしていったらホントに『なんちゃってパラレルターン』の入口のドアノブに手をかけることが出来ちゃった。とにかくターンでは内足がジャマになるから、そのジャマな内足を使わないようにするために外足をどう使うか。結局はそこなんだよね。
なもんで、嬉しくなったぼくらはスクールが終わったら少し休憩して「テッペンまで行っちゃおう!」とゴンドラに乗って行ってしまったのだけど、その時点で午後4時。天候は吹雪に近く、どんどん暗くなっていくし上部コースには照明なんてないし、テッペン側には緩斜面なんてないし、最後は麓まで降りるのが精一杯のテイタラクでした。

スキーギアを返却し、最終のシャトルバスで八方の宿に着いたのは午後6時過ぎ。風呂に入ってから食堂で晩飯。上級者の皆さんがお酒も入って盛り上がっているなかで、ぼくら2名は食べる食べる(笑)。2人でご飯をお櫃3杯空けてしまうなんてどこの部活生だ(笑)。「すみませ~ん、おかわりを…」とカラのお櫃を持っていくと、鋳造ストライクゾーンほぼ真ん中の美人の仲居さんは「スゴいですねえ~」と笑いながらマジで驚いていた(笑)。


さて、翌日をどうするか。じゃからんと作戦会議。2人とも既に筋肉痛が出始めているし、2日目も栂池で構わないということで意見は一致。もし、宿が栂池だったら速攻で決定だったろう。しかし、ここは八方だ。スキーヤーの“聖地”。『いつかはクラウン』みたいな(笑)。せっかく八方に泊まっているのだから、やっぱり背伸びしたいじゃん。八方尾根には行きたいじゃん。そこで、「天気で決めよう」ということになった。晴れなら八方尾根、そうでなかったら栂池。と決まったところで2人とも轟沈(笑)。

12月29日

まだ暗いウチに目覚めた。朝風呂にゆっくり浸かって、スマホの天気予報サイトをチェックする。よし、1日中“雪”だ。眺望は期待できない。2日目も栂池だな。そして6時過ぎに窓を開けてみる。

「はい?」

そこにあったのは、ほぼ雲がない空の中で朝焼けに赤く染まる白馬連峰の山々と、かかって来い!とばかりに準備万端の八方尾根のゲレンデだった。あのっ、あのっ、1日中“雪”じゃないんですか?
嗚呼、なんということだ。天は我らを見放したか(笑)。2日目も栂池にするのを「天気のせいにしよう」というぼくらの企みはパウダースノーのように粉々のすみざりーん。願いは却下されたのだ。


7時半から朝飯を食べ、8時過ぎの村内循環バスに乗って名木山ゲレンデへ。宿のマスターもこっちが初中級だと言ったら「じゃあ名木山ですね」と即答だったし。ヘッドのアンテナショップでギアを借りて、いざ出撃。手近なトコでまず1回リフトで上がってみて、そこからの景色は、じゃからんと2人して「うわあああああああああ」と声に出してしまうようなモノだった。斜面の向こうに八方の街を見下ろし、その向こうに飯綱・戸隠がでーん。これは来てよかった。ちなみにこの名木山ゲレンデ、案内図では“初級”になってますけど、嘘です(笑)。やっぱり、栂池の“初級”とはレベルがまったく違う。ここをひたすら往復して鍛えるのも手なのだけど、ぼくもじゃからんも体力的に午後はキツくなることはわかってるので、元気があるうちに上まで行ってしまおう!とロングリフトに乗って兎平まで上がってしまったわけだ。

で、思ったんだけどさ、八方尾根の“中級”は“中級”と“中上級”にわけた方が親切なんじゃないだろうか。たとえば、“中級”表示の黒菱第2なんかは“初級”表示の麓の名木山とそんなに変わらない感じだったけど、同じ“中級”表示の兎平はもうタイヘン(苦笑)。これが“中級”って、嘘でしょ嘘だよね嘘だってば嘘だとおっしゃい。だって、だってだって上がったトコは長野五輪アルペン競技・ダウンヒル====ThisIsTheErrorMessege====のスタート地点じゃん。この時にぼくのアタマの中に浮かんだ言葉は

「ボーゲンかましてよかですか?」

すいませんね、ベタで(笑)。ぼくは裏コースをボーゲンでベタ降り、じゃからんはコケて板がはずれてしまったけどハメ直す場所がなくて担いで降りることに。とほほほほ。
さすがに世界に名だたるHAPPO-ONE、外国人観光客も大勢いたんだけど、アメリカ人のティーンエイジャー風の女のコが「わあああああ!わあああああ!おーまいがあー!おーまいがあー!」とものスゴい声で叫びながら落っこちて来る。恐るべし(笑)。
さすがにこの兎平で遊び続ける体力はぼくらにはなかったね。林道コースを通って休みつつ麓まで降りることに。じゃからんは途中で中級コースにチャレンジもしてたけど、ぼくには無理だった。ただ、ネットにあった八方尾根のインプレはホントにその通りだと思った。林道コースを下りるんだったら八方尾根である必要はない。やはり八方尾根はスキーの腕をある程度まで上げてから訪れた方が圧倒的に愉しめる。


午後2時に終了。板を返して、村内循環バスで宿に戻り、追加料金を払って風呂に入らせてもらう。いやああああ、極楽。4時過ぎのバスで長野に戻り、特急電車で帰ってきた。もう少し優しいコースで練習して、腕を上げてからもう一度来たい。

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