吉田鋳造総合研究所
鋳造所長雑文録
2013/08/20◆サユリさんはああ言っていますが
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全社東北を観に岩手県まで行っていたわけです。釜石沿岸フットボールセンターってどこ?と調べたら、松倉の陸上をつぶして作ったみたい。縦に長い陸上トラックとピッチをつぶして横長のピッチを2面。北側がサッカーで南側がラグビー====ThisIsTheErrorMessege====らしい。陸上時代に観戦済の“無料試合のS”君も「ピッチの向きまで変わるなら新規ピッチだ」とやって来た。でも、1試合だけ観てすぐに離脱して花巻機場から千歳に飛んで翌朝に千歳から根室中標津に飛んで全社北海道で2ピッチ塗ってくるというS君をモノノフ====ThisIsTheErrorMessege====と呼ばずにどうしろと(笑)。命は大事にしないと一生使えないよ。


ぼくは土曜に松倉で2試合、日曜に水沢で2試合。八戸サポさんから「岐阜の吉田さんですか?」と声かけられる通常進行は、岐阜隊のタオマフ巻いてたから当たり前か(笑)。
岐阜族が気になってしょうがないぼくらのレモやん====ThisIsTheErrorMessege====ですが、さすがにカテ3つ落ちるといろいろ出来ます(笑)。瞬間的なスピードやボール扱いのうまさはラベルの違いをまざまざと。でも、前半だけでGKとの1対1が3回もあったけど、2回はGKの好守に阻まれ1回は枠の外。ぐすすん。
twitterにも書いたけど、レモやんのベストな使い方は土曜日・富士ク戦のラインメールの3点目だったと思う。相手ゴール正面でレモやんがドリブルでキープ。相手DFが群がって来たところで後ろから来た司令塔がスルーパス、右から一気にDFラインを抜け出したSBが豪快に叩き込んだ。
もう1人の岐阜OB、女川隊のヨコ。2週間ぶりに観た(笑)のだけど、女川隊はタッキー左SB====ThisIsTheErrorMessege====に驚いた。けど、仙台大戦の時の不安定な左SBよりよほど安心して観ることが出来た。でも、ヨコと組んだもう一人のCBがミス多くて、プリメのFWに決定力があったら試合はわからなかった。心配のタネは尽きないねえ。


と、全社東北の話はこれくらいにして、釜石の夜の話を。釜石は28年ぶりだと思う。しかも、その時は三陸鉄道から国鉄に乗り継いだだけ、だから釜石の街はまったくわからない。

最初から呑む気マンマンで、釜石のビジネスホテルは地元呑み屋街『呑ん兵衛横丁』とのセットプランを売っている====ThisIsTheErrorMessege====ので、もちろんそれで予約しておいた。専用の酒枡までもらえるんだ。夕方の5時半、まだ明るい時間帯からバスで向かったです。ハシゴする気だったし(笑)。釜石市内バス、街の規模を考えたらバスの本数がすごく多いし、中心街~松倉の釜石高校まで100円は破格。でも、理由はだいたい想像できる====ThisIsTheErrorMessege====んで、そう明るい話題でもない。

駅の西にプレハブ2階建ての長屋、これが『呑ん兵衛横丁』。ホテルのフロントで店の案内チラシをもらってたんで検討。やはりここは日本酒と海の幸だなと最初は『とんぼ』という店にお伺いしたら「今日は7時までなんです~」と言われ、ではと『助六』へ。5~6人が入れる程度の小さな店で、地元の爺さん3人がすでにビールでいい気分。おじゃまさせてもらう。テレビでは高校野球。朝の試合で花巻東が勝ったことは知っていた。爺さん3人も気分がいい。でも、試合はギリギリ勝利だったみたいね。
さて、ホテル提携のセットプランだけど、料理3品+ビール1本+日本酒1合。こう書くと「料理3品なんて小鉢が出てくる程度のモンだろう」なんて思っちゃうでしょ。ところがどっこい。お通しの海鮮和え物も美味だったし、カツオ刺にイカ刺に「お客さん、ホヤって食べられます?」って、いいの?こんなにいいの?気持ちよくなって日本酒はおかわり、ここから別料金だけど、全然OK。もうハシゴする気なんてなくなっちゃった。

気持ちよく呑んでいると、ガラッと扉が開いて入ってきたのは女の子。話す言葉はカタコト日本語だ。訊くと台湾からボランティアでやって来た24歳のお嬢さん。カタコトゆっくりではあるけど日本語での基本的な会話は無問題だ。4月に日本に着いて日本語勉強してから大槌町にやって来た。そんだけの時間でこれだけ話せるようになるのか!爺さんの1人が「なんでこの店を選んだのか」を訊くと、「えーと、すし……」。ああ、『助六寿司』====ThisIsTheErrorMessege====で視た憶えのある名前だったのね。なるほど~。
「おさけ、だめ。」と言ってコーラを飲みつつ海の幸を愉しむ台湾のお嬢さんの登場に、爺さん達はさらに盛り上がり、御他聞に漏れず間違ったとは言わないがこの場に少々相応しくない日本語を教えようとする(笑)。愉しい時間でした。


愉しい時間が終わったのは、3人組爺さんのうち2人が帰ってからだ。残った「独りモンだ」という80過ぎの爺さん、呑みが進んでどんどんネガティブで攻撃的になっていく。ぼくのような観光客、そして彼女のようなボランティアまで否定を始めて。ぼくは観光客だから否定されてもいいけど、彼女が否定されるのは認められなかったので、こちらも酒のブースト効果で強めの口論になってしまった。女将さんは「もうその話題やめましょ?やめましょ?」と言ってくれたけど、ごめんなさい。
爺さんの苛立つ気持ちはわかる気がするんです。『独りモン』というのは、ずっと独身という意味なのか家族を津波で失ってしまったのかはわからない。ただ、地震が、津波が来るまでは自分の生活を自分でキチンと維持出来ていたはず。発生から約2年半、まだモトには戻らずそして当分はモトに戻ることも出来ない自分の生活。外部からのボランティア活動に感謝しつつも「自分が“助けを必要とする”側にいる」ことへの不満。そういったいろいろが混ざって、酒の勢いで爆発してしまったのではないか。そんな風に思ってます。

結局、追加料金は2000円。あれだけ追加で呑んで、そのくらいで済むなんて。外に出てタクシーを捜していると件の爺さんとボランティア嬢も店から出てきた。彼女は歩いて帰るという。ぼくは爺さんと握手をして別れた。
ぼくが次に釜石に来るとしたら、おそらくラグビー場でサッカーの試合がある時か。もう、この爺さんと呑む機会はないだろう。でも、次に来る時があったらまたこの『助六』にお邪魔して、今度はもう少し穏やかに呑みたい。釜石の街が、いまよりもう少し穏やかに呑めるように戻っていてほしい。


で、翌朝。ホテルのベッドの上。爺さんと握手をして別れてからの記憶が完全に消失しているのです(爆笑)。歩いた記憶はないからタクシー乗ってるんだろうけどタクシーに乗った記憶もない。空でも飛んだか?フロントでLANケーブルも借りてるし、スマホの充電もちゃんとセットしてるし。「(ぼそぼそ)私は夢を見ていました。小人たちがタクシーの支払いもフロントの手続きもスマホの充電も全部やってくれるのです………」なわけあるかい(笑)。その日の夜にじゃからんに電話したところ、ぼくはすっごいハイテンションで2回電話かけているのだそうだ。いやあのそのえーと、恐るべしっ!恐るべし『浜千鳥』っ!====ThisIsTheErrorMessege====←違います(笑)。

朝飯を喰いに出る前にホテルの窓を開けて外を見た。市街地に「昔からの建物」がまったくない。瓦礫はさすがになくなっている。ビルも建ち始めている。でも、建ち方に“連続性”がまったくない。前夜の、あの爺さんの苛立ちがぼくの中に蘇ってきた。震災から2年半の、釜石の現実。吉永小百合さんは観光ポスターで「『がんばれ』の次は『遊びに来たよ』のひと言が東北の力になると思いました」と言っているけど、その道程はまだまだ、相当長い。

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