吉田鋳造総合研究所
鋳造所長雑文録
2013/06/04◆岐阜隊のグチくらいしか書くことがない
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結局、5月は雑文を書かなかった。
公私ともに多忙でね。それに、岐阜隊があまりにアレなもんで、PCに向かって文章作る元気が『岐大通』の製作だけで枯渇してしまう、というのもある。

『岐大通』は「サポの声を届ける紙」。とはいえ、紙面が「次こそは勝利を掴み取ろう!」「苦しいけどみんなで応援しよう!」ばかりだと、読者である一般観客の皆さんは「自分達の忸怩たる思いがサポグループと共有できていない」とさらにストレスを感じてしまうのではないか?という考えで、ぼくは敢えてストレス発散型の文章を載せるように心がけている。とはいえ、ホントはそんな文章が書きたいわけではない。当たり前だ。

4月下旬の山形戦から3バックに移行した、ことになっている。しかし、あれを3バックと呼んでいいのかどうか。『サッカーは数字がするものだ』とばかりに潔いまでのシステム原理主義者であらせられるスギヤマ師匠が加茂ジャパンについて書いていた「3バックといっても、両WBが守備的MFより後ろに構えるのならそれは“超守備的MF”と呼ぶよりは“DF”と呼んだ方がわかりやすい。5バック、それはカウンターサッカーの典型的布陣で、監督が『ぷれ~す!』と笛を吹いても踊ることすら出来ない」というような表現がどうしても浮かんでしまう。
実際、5-4-1でボール奪取ラインを自陣Pエリア付近にまで下げてのべったりこん、カウンター仕掛けるにも前線でわずかの時間のキープも出来ずにまた守備に。こんなサッカーを見せ続けられると、さすがにキツい。応援する/しないは別にして、岐阜の試合観戦が“イベント”ではなく“タスク”になってしまっている感じは否定できない。『岐大通』を作り続けて6年目。岐阜のしょっぱいサッカーを「デフォだ」と慣れた目線で扱えるぼくですらタスクなんだから、一般の有料入場のお客さんの心証はさもありなん。
第3節の群馬戦がポイントだったなあ……と思う。勝たなきゃいけない内容で勝てなかった。いい内容で結果が出なかっただけの試合もいくつかある。でも、「この試合が出来るのなら……」が続かないのが今年の岐阜隊の実にしょっぱいところだ。続かないどころか、数試合に一度しか訪れない。初勝利の松本戦の4試合後が大健闘の吹田戦、その4試合後が10人になってから圧倒した福岡戦。なるほど、「戦える」エネルギーがチャージされるのは4試合後のアウェー札幌戦か。実にわかりやすい(苦笑)。


このままでは来季はJ3へ一直線の自由落下。でも、もしかしたらそれでもいいのではないか?という考えだってある。J2で戦えるだけの戦力がなく、そしてJ2で戦えるだけの戦力を揃えるカネがない。J2にいることそのものが無理なミッションではないか。そして幸いなことに、来年からはJ3が始まる。落ちてもJリーグだ。
サッカーに精通している人々にしたら、J3だってJFLだって3部、岐阜は3部落ちだとわかる。けど、例えばサッカーのことはよくわからないけど薫田社長を初めいろいろな方の営業努力でスポンサーになってくださった地元の企業の方々にしたら「Jリーグから落ちた」と「落ちてもJリーグ。来年に2部に戻れるようにがんばります」では受け取り方が違うよね。

もちろん、逆の考え方もある。来年からのJ3がどういうリーグになるのかわからない。ただでさえ露出の少ないJ2から増えるはずもなく、ここは全力を挙げてJ2に残留すべきだ、と。だったら、なんらかの大きなイベントを仕掛けないといけない。気がついたら岐阜隊の戦力が整ってJ2で結果が残せるようになってました、なんて「眠っている間に小人たちが」みたいな御伽噺はあり得ない。岐阜隊が時間をかけて成長している間に他のチームだって成長しているのだ。

インパクトのあるイベントとして真っ先に思いつくのが監督の交代。ぼくは“聖域”ではないと思っている。昨年のシーズン末にぼくは行徳監督の継続指揮を歓迎した。それは倉田時代・木村時代になかった“2年目の上積み”に期待したからなのだが、実際は上積みどころか退行している状況。それがケガ人の多発や獲得した外国人を含む新戦力がJ2のレベルではなかった見込み違いという「監督の指導能力ではない要因」によるものだとしても、現状に変革を与えるにはそこくらいしか手がない。

クラブとしては、経営面によるライセンス剥奪=Jリーグにすらいられない事態を避けるために費用投入的バクチが打てないという状況なのだろう。クラブ存続を第一義に置くその考え方は間違っていない。残留出来るように経営度外視で戦力投入して残留は出来たが集客は伸びず経営パンクしてライセンス消滅では話にならない。ただ、クラブ存続を第一義に置くには「J3にいても経営支援はそのまま続きますよ」というビジョンの前提がいる。

と思ってここまで書いたところで、朝日新聞からドドーンと出て来た、県による復興予算流用疑惑。かつて巨大掲示板で“ウラガネーゼ”と揶揄された岐阜県のカネに対する意識の低さがまた問題視されてしまう。
岐阜サポの立場からすると「おい岐阜県っ!支援イベントはありがたかったけど、なんでそんなカネを使ってくれたんだ!こっちにトバッチリが来るじゃないか!」と怒り飛ばすのが筋なんだろうけど、ウチの社長と県との関係を考えたら、その論理は通じにくい。「知ってたんだよね?」とか「『あのカネ使って』とかクラブからお願いしたんじゃない?」とか、周囲からいらんコトを邪推されてしまう可能性は否定できない。
そして問題は今後だ。増資にしてもなんにしても、公金を岐阜隊に入れることに対する抵抗はこれまでより確実に増える。クラブライセンス維持に向けた債務超過解消の障壁は上がったと考えていい。さてさて、困ったぞ。


ぼくの個人的な見解では、現在のFC岐阜は「J3ときどきJ2」が妥当な規模のクラブだと思っている。手を打つなら迅速に徹底的に。手を打たないなら降格を受け入れ1年で戻れるようにエネルギーの蓄積を。もうあと何試合かでシーズンの半分が終わってしまうのだ。

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