吉田鋳造総合研究所
鋳造所長雑文録
2013/04/24◆私の趣味はパソコンですか?
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「趣味は農業です」とか「趣味で農業やってます」とかいう表現をよく眼にするのだけど、それって農家の方はどういう受け取り方をされているのかな?と気になっている。
だって、“仕事”ですよね。農『業』って言うくらいだから。農耕で生計を立てること、あるいは生計を立てるための農耕作業、それが「農業」なんじゃないのかな。どうして「趣味は栽培です」「趣味は農耕です」って言えないのだろう。釣りが好きなひとが「趣味は漁業です」とは言わないでしょう。


“趣味”とは『手段の目的化』とも言える。例えば、音楽好きの方が自宅用のスピーカーを選ぶという行為について。目的は「音楽を自分好みの音で聴きたい」。それに対する手段の一つとして「市販で自分好みの音を出すスピーカーを探し出す」というプランもあるのだけど、いっそ「パーツ集めて“自分好みの音を出すスピーカー”を作ってみよう!」ということになって、いざ自作してみたら『自作そのもの』も愉しくなってしまい、失敗を繰り返しつつ自分好みの音に近づけていく。さらに進んでいくと、当初の目的である『自分好みの音を出すスピーカーを手に入れる』はどうでもよくなってきて、スピーカーの自作そのものが目的になってしまったり(苦笑)。
スピーカーの自作の話をしたけど、読者諸兄諸嬢にはパソコンの自作の例がわかりやすいかもしれない。「そんなにパソコンを何台も作ってどうするの?」とハタから視れば思ってしまうのだけど、本人はそれが目的化しているのだからしょうがない。出入りの業者さんにその話をしたら、彼の周囲にもそういう“パソコン自作オタ”はいるそうで、同様の質問をしたところ「ベンチマーク」ときっぱり断言されてしまったとさ(笑)。

ぼくも“趣味人”の一人だってのは自覚してるし、もちろん『手段の目的化』を否定しているわけではない。問題なのは、「手段が目的化することによって、当初の目的は放置され続けてしまう」ことなんだよね。


WindowsXPのサポートがあと1年を切った====ThisIsTheErrorMessege====というのは、IT系では結構重要なニュース。いまのぼくはパソコン2台体制で、メインのデスクトップ機(Windows7)とベッドサイドのノート機(WindowsXP)。ノート機は旧世代のネットブックだけど、旅先用PCも兼務していて、まあまあの性能を必要としている。というのも、観戦行脚と岐阜隊のホーム戦が重なった場合には「旅先で『岐大通』を作る」という作業が発生するからだ。
さすがにOSのサポート終了はウィルス罹患の可能性を考えると怖い。現在のベッドサイド機の性能を考えるとWindows7を入れてどうなるモノでもない。あくまでベッドサイド機なんで大きくカネをかける気はない。WIndows7-64bit機やWindows8機なら新品も揃ってるけど、使い慣れたレガシーなソフトが動かないかもしれない。WIndows7-32bitの新品廉価ノートはもうレノボからジャンクな印象のマシンしか出てないようで、先日じゃからんに買ったヤツは使わせてもらったけどやっぱり結構ジャンクな使い心地だった(苦笑)。さあどうする。考えついたのが、LINUX。

かつて、赤帽====ThisIsTheErrorMessege====くらいしかなかったころにLINUXをちょっとだけ舐めたことがあるのだけど、手が出なくてスゴスゴと撤退。しかし、さすがに当初とはPC事情が異なる。調べていくと、ubuntuとかいう名のLINUX系統はすんなりいろんなことが出来そう。LINUXで動くソフトもだいぶ増えていて、「Windowsで出来ることは大抵LINUXでも出来る」なる頼もしい表現も複数で見かけた。
よし、やってみるか。しかし、いろいろ読み進めていくと、それでも相手は商用OSのWindowsと違ってLINUX。使い勝手はユーザーがあれこれこうして良くしていく必要がある。そもそもUNIXがそういうOSなのだから当たり前なのだけど、「これをああしたい場合には」と検索するとちょっとむずかしい用語で書かれているけれど“攻略法”はホイホイひっかかる。なるほどなるほど、読んでいて愉しい。挑戦したくなる。

ここで「ハタ!」と思ったわけさ。これって『手段の目的化』?

古くからパソコンに親しんでそのまま老けていったぼくのような人間は少なくないはずだ。で、そうした“下り坂世代”のパソコン族にとって、使い慣れたレガシーなソフトからの脱却はそう容易ではない。だって、「パソコンを使う目的」はちゃんとあって、あくまでそれに対する手段としての「パソコンを使う」なんだから。
そうした老けたユーザーからしたら、やはりLINUXは「挑戦を必要とするOS」であり、その上で動くアプリケーションの操作法をマスターするのも挑戦だ。もちろん、挑戦は大事なことだしそれによって得られる成果だって大きい。わかった時の喜びだって大きい。でも、それはあくまで「手段」が「目的」になったことで発生する喜びであって「当初の目的」が果たされた喜びではないんだよね。


結局、Windows7-32bitの中古ノートPCを購入して“二代目ハクリュウボーイ”を襲名させることにした。ただでさえ、サッカー観戦に旅行にサイト維持に『岐大通』製作にと「趣味」を多く抱えている状況で、さらにLINUXやそのアプリのマスターまで「趣味」にする余裕は、ぼくにはないのさ。“二代目”は白毛というより芦毛。時が経つと白くなってくるのかしら(笑)。

タブレット機やスマホの普及でノートPCの需要はガタ落ちらしいね。これからもタブレットに買い換えた方の中古ノートが巷に溢れてきて値崩れするのか、あるいかWindowsXPのサポート終了でぼくのような買い換え層が中古PCに群がって在庫切れを起こすか、ちょっと読みきれないのだけど、勢いで踏み込んだ次第。香港でもイスタンブールでも活躍してくれた“初代ハクリュウボーイ”に深い感謝を捧げつつ、『パクジイ』ステッカーを剥がして移動。うまく貼り直せなくてごめんよ。


結局のところ、ぼくは趣味でやりたいことを実現するために“パソコン操作”にある程度精通しているに過ぎない。だからLINUXや新ソフトに挑戦することは、やっぱりちょっとメインストリームからは離れているのだ。それでも、周囲から見たら「趣味:パソコン」に映るのかもしれないね。

ところで、ソフトの精通だろうがハードの自作だろうがただ使ってるだけだろうが「趣味:パソコン」で通ってしまって全然違和感ないんだけど、ところがこれが「趣味:ガンダム」====ThisIsTheErrorMessege====になると途端に強烈な違和感がニオい立つのは一体どうしたことだ(笑)。

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