普段、サッカー、それもJFLとか地域リーグとかといった『下部』の世界に接していると、どうしても“カテゴリー”というものに興味を持ってくる。NHK衛星チャンネルで放送する「将棋の一番長い日」====ThisIsTheErrorMessege====に興味を持つのも、A級順位戦1位=名人挑戦権もそうだけど、残留争いも熾烈だから。で、そうした“カテゴリー”がものすごーく明確にされている格闘技が、大相撲だ。
コジコジじゃからんが「魁皇もそろそろだから…」====ThisIsTheErrorMessege====と名古屋場所を観に行きたいと言ってきた時に、ぼくが出した条件は『最初から最後までいる』だった。序ノ口の最初の取り組みから、中入後結びの一番まで。サッカーで言えば、県3部からJ1まで一気に観れるチャンスのようなもの。“カテゴリー”の違いを愉しむなら、それしかない。ちなみに、彼女が魁皇を好きな理由は「筑豊の顔をしているから」。====ThisIsTheErrorMessege====なるほど、たしかに。
で、9日目のチケを早いウチに予約購入。さすがに祝日だけあって、桝席の前の方は軒並み売り切れ。で、花道上の隅の桝席を購入したのだけど、その後で発生したのがトバク事件。地元出身の琴光喜が出ないとあって、払い戻しも相次いだとか。
8時30分。名古屋地下鉄名城線・市役所駅。外に出ると、聞こえてくる寄せ太鼓の音。ちゃんとナマで叩いているんだね。「相撲を観に来たんだ」という気持ちにさせてくれる。これを聴いただけでアタマっから観戦に来た甲斐があったように感じてしまう。
チケットをもぎってもらい、案内係さんと一緒に中へ。途中、一部で貴重品扱いされている『番付表』====ThisIsTheErrorMessege====を50円で購入。「1人1枚まで」だってさ。で、ぼくらの桝席は入口とちょうと対角線のあたり。歩いていくと、向正面の椅子席にいた岐阜サポ4人衆に発見されてしまう。おいおいおいおい……って、アンタらもアタマっからかい(笑)。
8時40分ころかな。序ノ口が始まる。とにかく、細い!格闘家のカラダになってない。行司も呼び出しの技量も、そして相撲内容も、すべてに『下部カテ感』が満ち満ちている。そんな中で特に印象に残ったのが、天白区出身の『立錦』。名前はたいそう立派だけど、体格や相撲内容から考えると、これは職業選択に過誤があったと言っていいかもしれない。帰宅して名前で検索したら情報が出てきて、うーむ俺より軽いぞ(爆笑)。どうやら春夏2場所でわずか1勝。「1つ勝ってるのか!」と驚いてしまった。この日も普通に負けました(笑)が、勝った『須永』は今場所初勝利。で、実はこの序ノ口のさらに下に“前相撲”というカテゴリーが存在する====ThisIsTheErrorMessege====のだとか。ちょっと、相撲のディープな世界は想像以上に深過ぎる(笑)。
三段目になると、皆さんカラダはだいたい出来上がっていて、「相撲取りです」と名乗ってだいたい問題なさそう。中にはカラダ的には幕下でも十分いけそうな力士もいるのだけど、カラダはOKでも技術とメンタルが。ちょっと立ち合いで負けて押されるとすぐに引いてしまう、というシーンを何度も視た。テレビの相撲中継で解説者がよく嘆いてるけど、よくわかりました(苦笑)。重けりゃいいってモンじゃないのだね。
突っ張りを得意とする力士は減少傾向なのかな。でも、中にはまだ「その技で食べていこう」とする力士もいる。そりゃいにしえの麒麟児×富士桜戦====ThisIsTheErrorMessege====とまでは行きませんが(笑)、張り手が2,3発入って肌の色がかあああっと赤くなるのを見ると、視ているこちらも熱くなる。相撲は、格闘技です。
途中で、昼飯で中座。館内のレストランに降りていこうとしたんだけど、場所がわからなくて正面玄関口のあたりをウロウロ。チケットもぎり担当は「アサシオさん」====ThisIsTheErrorMessege====でした。結局、わからずに案内お姉さんに訊くと、仮設桝席組の下の通路の向こうだと言う。って、覗けば取組前の力士さん達が揃ってテンション上げてるとこじゃないですか!でも、その通路を抜けていくしかないので行ってみる。レストランの入口前のスペースで摺り足前進を繰り返す。彼らは三段目とか幕下とかだから、一場所7番。この7番相撲で結果を出してのし上がって行くのだ。文字通り「カラダで食べている」勝負師の世界。
で、食事でタンタン麺を食べながら思った。いま、こうして食事している間も取組は続いている。ホントに、休憩時間がない。審判交替のわずかの時間分だけ中断する、それだけで、淡々と取組は消化されていく。また、そうしないと間に合わない。だから、序ノ口の最初から結びまで全部ナマで見るのは9時間半もの間トイレ休憩もいかないような状況だから、実質不可能に近い。
取組の前に流される力士の紹介放送。序ノ口でも必ず言われるのが、出身地だ。これ、江戸時代に力士が各藩のお抱えだった名残り====ThisIsTheErrorMessege====だそうだけど、たしかに岐阜出身や東京三多摩出身の力士が出てくるとだと燃えてきたもんな。埼玉出身のじゃからんも同様だったよう。
で、外国籍力士。モンゴルやロシアだけじゃなくて、ハンガリーやチェコ出身もいる。やはり東欧系の方は脚が長い、というか腰が高い。下からぐいぐいやられると厳しいかもね。アジアでは、韓国に中国にカザフスタン。ちょっと意外な気がした。
幕下から十両になると扱いが極端に変わる。土俵入りがある、紹介放送で番付を言う、行司が足袋を履く、髷を結う、塩を撒く。『関取』====ThisIsTheErrorMessege====という表現の重みを実感する。で、十両には噂の『山本山』関。====ThisIsTheErrorMessege====ちょっとデカ過ぎ。彼も腰の高さがちょっと危なっかしいものの、力任せで対戦相手を轟沈。ああいうのを視ると「重けりゃいいってモンだ!」とも思ってしまう(笑)。
このクラスになると、引き技や叩き技にしても、ただ単純に押されて逃げてるわけじゃなくて技術の一つ。それでも、いわゆる“注文相撲”====ThisIsTheErrorMessege====に対しては場内の反応もよくない。当然だけどね。
幕内。土俵入りでの声援も相当なもの。さすがに、この時間帯になると7割くらいの入りにはなった。高見盛の人気は健在。じゃからんが観た何年か前の九州場所では、彼の取組では永谷園からの懸賞がずらーっと出たものだけど、この日は中入後の全部合わせて十数本。初めて懸賞が出た取組には場内から拍手が。
続いて人気は豊真将。じゃからんが「△に似ている」====ThisIsTheErrorMessege====と言っていたけど、さすがにこの時はわからなかったけど帰宅して録画しておいたダイジェストを視ると、確かに似ていた。それじゃあ、『ブレる立ち合い』とか『無回転上手投げ』とか、なんてね。
しかし、やはり人気といえば魁皇だ。じゃからんが「名古屋で“魁皇コール”が起きるとは……。こりゃ今年の秋の九州はどうなるんだか」。しかし、魁皇はバルトに力負け。残念。ぼくらの近くでエストニア国旗を掲げていた日本語ペラペラのロシア系女性はどこかに行ってて不在。「完全アウェー状態」の彼女がどれだけ盛り上がったかも視たかったのだけど。結びは「もしかしたら、貴重なモノが視れるかも……?」とワクワクしてた全勝対決の白鵬×鶴竜戦、白鵬が“器の違い”を見せつけて終わり。
9時間半、愉しかった。けど、独り観戦だと厳しいだろうねえ。贔屓の力士がいると観てても力の入り方が全然違ってくるというのは、自分でもわかった。タニマチ====ThisIsTheErrorMessege====と呼ばれる方々の気持ちも少しだけわかった、かな。
あと、一つくらい珍しい決まり手が視たいと思ってたら、幕下で『頭捻り』====ThisIsTheErrorMessege====が視れたし。昔はもっと頻繁にあったと記憶している『時間前立ち合い』も時天空×日馬富士戦で視れた。十分に満足した大相撲初観戦でした。