吉田鋳造総合研究所
鋳造所長雑文録
2010/04/21◆ついに『メドウ』にJがやって来た
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『岐大通』の原稿用に自力でちょっと調べてみたんだけど、やはりフルキャパ3000人台のヴェニューってのは初めて====ThisIsTheErrorMessege====のよう。というわけで、ついに『長良川球技メドウ』でJリーグ公式戦を開く時が来てしまったのね。
札幌・福岡と連勝。それでも、A4両面で構成される『岐大通』では、表側の面にはこの2試合の歓喜のコメントではなく『メドウ』を持ってきたかった。やっぱ“特別”ですって。果たして、『メドウ』でJが出来るのか。たとえば、他のクラブでもホームスタジアム改修などで今年の岐阜と同じような問題が生じたときに「だって、何年か前にJリーグは『メドウ』でOK出したじゃないですか」と言われるよ。おそらく、間違いなく。


到着したのは開始3時間前。事前入場の列と一般の列====ThisIsTheErrorMessege====の整理は、甘めに採点しても「あとちょっと」。最後尾に立つプラカード要員は2人用意して「事前入場・最後尾」「一般・最後尾」とわけておけば整理もしやすかったでしょう。あと、ぼくは『岐大通』の配布があったんで東ゲートに貼りついたんだけど、入場待ちの列をゲートから正門側に作ったのは、観客導線的観点ではシミュレート不足かな。事前入場組が席を確保してから売店に向かうとき、一般入場の列とどうしてもクロスしてしまう。
結局、『岐大通』は800部用意して試合開始90分前に配布完了。客の出足は良かった。やはり『メドウ』ということで、皆さん“不安”だったのでしょう(苦笑)。で、思ったのが「これ、雨の時はめっちゃくちゃ混乱するぞ」。印刷部数は、対戦相手や直前のチーム状態というよりは天気予報次第、ということになりそう。

で、配布を終えてメイン自由席に上がると、あらためて「………………はぁぁぁぁぁ。」と溜息が出てしまう。何がって、「芝が」。いやいや、ここまでひどいとは思わなかった。この日は晴れてたからまだいい。雨の時はどんなになっちゃうんだろう。「はじめての2部」を経験するチャイバ隊関係者なんかは、スタッフも選手もサポも、「『2部に落ちる』って、こういうことか……」と深い深い嘆息とともに納得させられる、ような気がする。そんな感じ。

荷物を置いて、売店へ。いつも贔屓にしてる串焼き屋さんは西ゲート側にあった。やはり東側売店と比べると圧倒的に空いている。====ThisIsTheErrorMessege====これ、ホームゲームごとに東西を入れ換えないと、ずっと西で営業させられたら厳しいよ。逆に言うと、ホーム観客も西側売店まで行けば空いてるよということ。クラブが出した案内pdfでは正面門付近は一般立入禁止エリアとも読み取れるけど、それは選手バスがいる時だけ。そうでない時は正門前を通って逆側の売店にも行けます。


さて、試合。開始前は「この芝は我々に有利。ヴェルディのつなぐサッカーは出来ない」と楽観的な見方だったけど、真逆でした。このピッチだからこそ、選手ひとりひとりの“ボールを扱う技術”の差がモロに出る。この芝状態だから、浮き玉気味のパスを長短キチンと出せる、そのボールをちゃんと止める技術のあるヴェルディの選手達。対して、ボールを動かすことに精一杯のウチの選手達。前半終了時に発した観戦仲間の一言がすべてを象徴していた。

「どうするよ。」


公式記録はわからないけど、前半のウチのシュートはゼロかもしれない。どうしようもない。「相手が強いから」ではなく「自分たちが何も出来ない」この歯がゆさ。さて、どうするか。
ハーフタイムに喫煙所で意見交流をしたのだけど、ぼくは、前半のデキなら正吾を下げてキドン&コーイチの2トップにして艦砲射撃戦に行くのもアリだと思った。だって、ウチらの技術レベルじゃどうせつなぐことなんて出来ないんだもん。それは「白黒つけようじゃないか」という意思表示でもある。
後半10分、正吾→押谷。ぼくは正吾ファンですけど納得です。そして、押谷のボールコントロール能力はやはり岐阜の選手の中では1枚上だ。ボールを軽く扱ってるようにみえて、それは軽く扱っても失わないから。もちろん、失ったシーンだってあるけど、スローインから受けたボールからいきなりミドルぶっ放したシーンは、おそらくこの試合で相手GK土肥をビビらせた唯一のシーンだったかと。
逆に、ぼくをビビらせたのは田中秀人。中盤の底の選手がチャンスと視て上がる。バウルのタックルをかわして突破。いいよいいよ。しかし、肝心なところでフィニッシュを選択せずに横パス。誰にも繋がらずにチャンス終わり。正直、チャンス終わりでまだよかった。もしこの横パスをカットされたら、どんなカウンターがやって来たことか。

東京ヴェルディ。J'sGoalで安藤さんが「岐阜の守備は出来ていた」と書いてたけど、ぼくは「守備が出来てた」というよりは「ヴェルディのフィニッシュが順位に相応しくどうしようもなかった」ゆえの膠着だったのかなあ…と思う。ちゃんとフィニッシュのアイディアがチームとして出来ている状態ならば、後半なかばには0-3になっていたような流れだ。

終了後の感想戦で意見交換したけど、「この試合は勝てん、引き分けでOK」と途中で見切った岐阜サポはぼくの周囲には多かった。監督も記者会見でそう応えている。だったら、「選手に気づいて欲しかった」という前に倉田監督は『メッセージ性のある選手交代』は打てなかったのかなあ…と、とにかくそれが残念。失点後、すぐにキドンを投入したけど、『メドウ』を支配していた空気は「でもねえ………」という倦怠感にあふれたものだった。試合終了。


試合前に、運営側スタッフの“呟き”として「今日、どれだけ“ダメ出し”が出来るか」という表現も伝え聞いた。これ、“プロの仕事”としては厳しく言えば『失格』なのだけど、やむを得まい。いくらシミュレーションを積んだとしても、やってみないとわからないことはたくさんある。問題は、これをどう活かすかだ。

ぼくはmixiの日記に勢いで『切り替えるな』と書いてしまったけど、いまでも間違ったことを書いたとは思っていない。なぜなら、この試合で視野に出てきた問題は『切り替え』ることでは解決しないからだ。この次も、そのまた次も、ぼくらは『メドウ』でホームゲームを行う。

試合が終わって、話し込んでいる武装組のところに行った。『ジャブなグチの言い合い』をするつもりで近づいたぼくを、“太鼓隊”の一人が「いまマジメな話をしてるんで」とキッパリ拒絶。そして、太鼓や鳴り物が使えない環境でいかにコールやチャントを揃えていくか、テンポを整えていくかについて“声出し隊”と深いミーティングを続ける。

正直、『嬉しかった』。

彼らだって、この試合に関してグチの8つや9つや13や14は言いたいだろう。でも、それよりも前に現場で問題点のすりあわせをしておくことが重要だという認識だったのだ。それぞれの日常生活を抱えているサポ組が、次に揃うのは次のホーム戦。そこで調整を計ったって、間に合わない。
サポは鳴り物禁止でリードが取れない中でコール/チャントをどうするか。チームはピッチがボコボコでドリ突破が出来ずパスもつながりにくい中で戦術をどうするか。運営部隊はフリーエリアが少ない中で観客導線の円滑化をどうするか。


試合終了後の記者会見で倉田監督は「全員が悪かった」と言った。その“全員”には御自身も含まれているのだろう。PDCAサイクル====ThisIsTheErrorMessege====の「D」は終わった。どれだけ深く「C」が出来るか。そして「A」に活かせるか。簡単に『切り替え』てしまうにはあまりに惜しい、教材にあふれた『メドウ』の“開幕戦”だった。

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