cyic.co.uk 吉田鋳造総合研究所
鋳造所長雑文録
2010/03/03◆金属ナトリウムを水の中に放り込む。
▲home ▲index

最初にお断り。今回は明確に好き嫌い(というか「嫌いなモノ」)について書きます。だからここで「嫌いだ」と書かれたモノが好きな方は、「鋳造ごときと好き嫌いが同じでなくてよかった〜♪」と喜んで下さい。そして、「私は、私が嫌いなモノが好きなヒトも嫌いだ」とかどこにも書いてませんし思ってもいませんから、勝手に誤読しないでいただけると嬉しいです。


「好きなモノが一緒より、キライなモノが一緒の方がいい」と書いたのは橋本治だったっけ?……じゃないや吉野朔実だ。『瞳子』の最後のセリフだ。で、ぼくとコジコジじゃからんは、嫌いなモノが結構共通しているので、話が合う。

『世界に一つだけの花』が大嫌い。

『アザミ嬢のララバイ』が「掛け算の順番がわからない算数が苦手の小学生を教える家庭教師の歌」====ThisIsTheErrorMessege====だったり、『あなた』が「妄想する1級建築士の歌」====ThisIsTheErrorMessege====という比喩が有効なら、『世界に一つだけの花』は「相対評価から逃避するユートピア賛歌」だと思う。
花屋の花だってバケツの中で優劣を競っている。「花は喋らない」というだけだ。もちろん、優劣の基準は消費者の視点で違う====ThisIsTheErrorMessege====だろう。そして、売れ残った花屋の花はバケツの中で枯れるか、枯れる前に廃棄される。完全な『優勝劣敗』の世界ではないか。


ちょっと話変わってバンクーバー。アスリートはとにかく上の順位を目指す。1位が取れればいいに決まっているが、そりゃ世界の中の自分の実力だって冷静に評価しているだろう。世界20位あたりのひとは入賞を目指すだろうし、入賞圏内はいけると思ってるひとはメダルを目指すだろうし、メダル圏内で勝負出来るひとは金を目指すだろう。そこには「2番じゃいけないんですか」なんて思想は存在しないはずだ。

世界で2位。3位。ベスト8圏内。すごいことだと思う。でも、明確に1位が狙えるところにいて2位で終わって、悔しくないわけがない。相手が世界でも日本国内でも同じ。かといってその悔しさを「表彰台でメダルをはずしてしまう」などの行為で顕してしまうのはどうかと思うけど(苦笑)、浅田さんが「悔しい」と発言したのは、もちろん自分自身に向けてのことだとぼくは受け取った。でも、その「悔しい」の一言で海の向こうの半島の南側の国ではヒステリックな反応があったらしい。なんだかなあ。

でも、そんな「あと1歩で届かなかったアスリート」に対して、「そんなことないよ、よくやったよ」と涙で励ますのは、終了のすぐ後まで。どこが届かなかったのか。なぜ届かなかったのか、反省と分析が始まる。まさに「それを認め/そこから学び/2度と繰り返さない」====ThisIsTheErrorMessege====ために。そういう細かな『総括』がもし行われてないのだとしたら、その競技団体に未来はない。

で、そんな日本国内に蔓延する「そんなことないよ、よくやったよ」に対して、「それならいつ金メダル取るんだよ」という冷静な視線が、海の向こうの半島の南側の国の記者さんからもたらされた。実は以前からこの記者:朝鮮日報の鮮于鉦====ThisIsTheErrorMessege====さんが気になっていて、この機会にネットで検索したら“半島の南側”発というだけで金属ナトリウムを水の中に放り込むような反応====ThisIsTheErrorMessege====が起きる予感して、ちょっとビビったけど、でもこの記者さんの「日本は、今は涙が多すぎる」という指摘は納得できる。思いっきり上から目線なのは悔しいけど、今回は上から目線されてしょうがない結果だったのだから受け入れよう。「悔しい!」を克服したいなら、勝てるように対策を練ろう。「悔しくなんかないさ、『世界に一つだけの花』でいいんだ」というのなら、何もしなくていい。最後まで売れ残った花は、一輪だけ『バケツの中』で咲き続けるだろう。枯れるまで。

アスリートは勝負師だ。増田明美だったかな?「『血がサラサラになるよ』って言われて野菜ばかり食べてたらたしかに血はサラサラになったけど、自分の中から「闘争心」がすっかりなくなってしまった。アスリートにとっては致命傷なのでやめました(笑)」とインタビューで応えていたのを思い出す。
たとえば、その競技をやっているのが世界でたったひとりだったとすると、その時に「さらに技術向上を目指そう」「さらにいいタイムを出そう」とか、ひとは思うだろうか。思うことが出来るのだろうか。

アスリートに対して『世界に一つだけの花』を贈るのは、冒涜以外のナニモノでもないのだろうなあ。


さて。問題は、このままだと得点0の失点9くらいで鮮やかに消えていきそうな南アW杯のサッカー日本代表に関して、たとえそうなっても「涙が多すぎる」どころか「もはや『涙すら出ない』」んじゃないだろうかという危惧が拭えないことだったりするのだが(苦笑)。今夜のバーレーン戦をテレビで視て、やはりそう思わざるを得なかった。そろそろ、サッカーファンも金属ナトリウムを水の中に放り込むくらいの『闘争心』が必要のかもしれない。

▲top