吉田鋳造総合研究所
鋳造所長雑文録
2009/10/22◆2つの興味深い問題提起とその回答。
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全社の話は、さすがに決勝翌日までにまとめ切るのは不可能ですって(笑)。今月中に旅行記側でまとめる予定として、別の話。興味深い提言があったのでね。


●全国社会人/岐阜セカ隊の全国大会『初』勝利。

この件については、weblog警備日誌で誠に興味深い表現====ThisIsTheErrorMessege====で説明を求められた(苦笑)のですが、もちろん「国体は全国大会です」。これでよろしいですか?

というだけじゃいけないですよね。もう少し踏み込んだ回答を。

国体チームというのは“選抜”で構成されている。たとえその結果全員が同じチームから選ばれたとしても、もっと言っちゃうといわゆる「丸投げ」だとしても、あくまで国体というのは単独チームが『単独チームとして』参加する/参加出来る大会ではないというのがぼくの解釈です。もしかして、俺ってどこかで「国体岐阜成年代表=セカ隊」って内容のこと書いちゃったかな?と探したけど、とりあえずは見つからなかった。あ~よかった。

でも、これってあくまで「ぼくの解釈に過ぎない」のかもしれない。
本件に関しては、友人が「日本代表が全員名古屋グランパスの選手で選ばれたら、ワールドカップにグランパスが参加したことになるのか?」と言っていましたが、説明を求められた方のweblogを拝見すると、FC岐阜セカンドと国体成年岐阜選抜を明確に“同じチーム”と捉えられているように見受けられるので、上記の喩えについても、おそらく「その通り!グランパスがワールドカップに出たのだ」と言い切ってくださることでしょう。これはもう『解釈の違い』ですから、議論してどうなるものでもない。

ただ、親密でもない誰かに、相手のサイトにやって来て何かを尋ねたり説明を求めたりされる場合には、もう少し表現を工夫された方が分別あるオトナの行動に相応しいのでは?とは、最後に老婆心ながら付け加えさせていただきます。あ~あ、俺も人間が小さいなあ(笑)。


●天皇杯/松本が浦和に勝った話とその周辺。

名古屋はJFLを大の苦手としている。昨年の岐阜戦も「もし岐阜隊がJFLだったら岐阜の勝ちだったな」なんて冗談も飛ばしたりしてましたが、稲城隊に勝った宮崎佐土原の刺客が瑞穂にやってくるぞぉ~っ……なんてのはめちゃくちゃ小さい話になってしまいました。

とにかくもう、秋田県協会が不憫で不憫で。どう考えたって赤字でしょう。担当者の涙目が浮かんでくるようです。全社準決勝の後で山雅サポの友人と話した時に「一部の秋田県サッカー関係者の中に間違いなくアンチ山雅が出来たから(笑)」と申し上げました。あと、アキチューさんは、駅から八橋までの臨時バスは出さなくても大丈夫なんじゃないかと思います(苦笑)。
で、この『浦和敗退!』の報はNHK・夜の7時のニュースでも映像つきで流され、そのインパクトの強さを印象づけましたが、このニュースのみならず、勝った松本山雅に対して「社会人チームの」とか「アマチュアの」とかの接頭形容がついてました。そういえば、かつて天皇杯でNGが東ガスにサクサクっと負けた(笑)時に、中日スポーツが「アマ選手5人を含む東京ガスに負けた」と書いて、「そりゃアマラオが5人いたら見かけ的にもかなり恐いが守備は大丈夫なのか」と冗談を飛ばしたっけ。

で、この「アマチュアの」について、どうもご不満な向きもありそうな気配。つまり「松本山雅は『アマ』じゃない、実質『プロ』だ」という指摘。

さて。ここでは「プロか/アマか」の二分法が成立していると仮定して、

(日本の)サッカーにおいて、プロ/アマとは何か?

これ、かつてNiftyServeのサッカーフォーラムで議論がなされた記憶がある。ぼくもそれを読んだし、もしかしたら議論に参加したっけか?

A.選手としてのプロ/アマ
JFA公式サイトにプロ契約に関するpdfファイル====ThisIsTheErrorMessege====が公開されている。それに依れば、「統一契約書」で契約している選手だけがプロではないが、「非統一契約」も含めてプロ選手の定義は明確になっている。これは、JFA登録するすべてのサッカー選手に対して有効なもの。だから、その選手が「“球団職員”だから実質“プロ”だ」という言説は意味をなさない。「プロと同様の環境でサッカーをしている」というだけ。

B.チームとしてのプロ/アマ
現在、日本サッカーにおいては「日本プロサッカーリーグ」通称『Jリーグ』があり、このリーグに参加しているチームがプロチーム、そうでなければ「アマ」だ。イングランドではプロリーグ以外のリーグを『ノン・リーグ』と呼称するね。ただ、日本の場合はJFL所属のいわゆる「Jリーグ準会員」をどちらにカテゴライズするかは微妙かもしれない。

C.運営母体としてのプロ/アマ
株式会社やNPO法人など、運営を専門とする独立法人として成り立っていればプロ組織で、そうでなければ運営組織はアマチュア。もっとも、“形態はプロ組織だけどやってることは……”なところはありますけどね。どことは言いませんが(笑)。

だから、浦和に勝った松本山雅は『アマ』なのか?との問には「プロ契約選手もいて、アマリーグに属していて、プロの運営組織がやっている」ということになるのかな。こんなまだるっこしい表現をニュース報道では使えないから、「上から4番目のリーグに所属する」と言ってしまえば済むような気がする。もっとも、こうなると「JFLは本当に“3番目”なのか?」という議論に発展する可能性もありますけど(笑)。


●天皇杯2回戦であった、もう一つのドラマ。

今年の天皇杯は、大分でもドラマがあった。大分×横河武蔵野@大分市陸。両チームに共通のものは、鈴木慎吾。だけではない。13年前にこの2チームは同じ大分市陸でガチンコ勝負をしている。====ThisIsTheErrorMessege====
恥ずかしながら、ぼくはその試合を現地で観ていながら、その事実に真っ先には気づかなかった。これだけ地域決勝を見続けているのに、ぼくも『J』なひと、岐阜なひとになったということなのか。あるいは、この時の地域決勝では「日本電装」という『マイ・クラブ』が存在していたからなのか。それはわからない。大分サポで「天皇杯の相手が横河」と知った瞬間に気づいたひとはどれだけいたのだろう。

何度も書いたような話だけど、もう一度。クラブの歴史は、クラブが存在することでしか増えていかないし、存在していれば歴史は時速3600秒の速さで増えていく。それがどんな歴史であろうと、1年経てば1年分の歴史が積み上げられる。その繰り返しで、サンゴの死骸が島を造るように『伝統』というものになっていくのだ。松本山雅が、リーグ戦のホームゲームとしてアウェー・浦和レッズを招く時が来るかもしれない。何年先、何十年先になるかはわからない。その時に、古株サポが「ずいぶん前だけど、天皇杯でね……」と語る。それが『百年構想』の姿の一例、なのだろう。

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