吉田鋳造総合研究所
鋳造所長雑文録
2009/10/06◆三ツ沢のこと、コザのこと。(後)
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SCENE:5
9月26日 沖縄市コザ運動公園陸上競技場

試合開始10分ほど前にスタンドに戻ると、具志川空港線の車内で濃い話をした彼と再び会った。YSCCの練習着らしくものを着ている。「暑い時は便利だよ」と彼は言う。ぼくらは一緒に観戦することになった。JFL:琉球×TDK。

序盤からレキオの動きが鈍い。仁賀保が出足のよさで中盤を優位に。でも、これはレキオの『策』のように思えた。日陰にあるメインスタンドはともかくとして、風はあるもののピッチは確実に30度超えのはず。たとえ仁賀保に先制されても、後半には確実に脚が止まるだろうからそこから仕掛けても十分届く、とレキオ側が読んでもまったく不思議はない。ところが。
14分に仁賀保の池田が左サイド深いところからふわっとファーに上げたなんてことはないクロスをGKが風の影響か目測を誤ってかぶってしまい、落下点にあったのが松田正俊のアタマ。ラッキーな形で仁賀保が先制すると、その数分後にも中盤でファールをもらった仁賀保が素早いリスタートでFKを送るとラインを抜け出した松ヶ枝が1対1を冷静に決めて2点目。しかもさらにその数分後にはイラツキからかプレーが荒くなったレキオは林田が黄色2枚でSentOff。いかに「暑いの、スキ。」なはずのレキオも2点ビハインドで10人ではキツいわなあ……と思ったのだけど。
後半開始早々に今度は仁賀保の真行寺がSentOffされて10人同士になると状況は一変。ゴール前のパス交換から左側を抜け出して中に戻すとレキオの松田が押し込んで1点差。数分後にはCKをヘッドで叩き込んで同点。やはり前半をかなり抑え目に入ったレキオの判断は正しかったのだ。しかし、その数分後にはイケイケで前がかったところでちょっとした後ろの隙を突かれて仁賀保のカウンターが直撃。再び松田正俊にキッチリ決められて再び仁賀保がリード。
ここから先がちょっと理解できなかった部分で、結局レキオはベンチに4枚入れたFWを1枚使っただけ。林田退場で前半に秦を下げて田上を入れているが、あと1つある交替枠を残したまま。いわゆる『大作戦』====ThisIsTheErrorMessege====をするでもなく、仁賀保に逃げ切りを許してしまった。

とにかくレキオの攻撃は「サイド攻撃は仕様にない」あるいは「今日はサイド攻撃封印デーですから」とでもいうように、徹底した中央崩し。暑くて集中が切れるはずの仁賀保はサイドからどかんどかんやられるだけで守備ラインは確実に消耗したと思うのだけど。観ていて実に欲求不満の残る采配にぼくらには思えたのだけど、普段からレキオを観ているサポさん達にはどう映ったのかな。

と、レキオの悪い部分が見えたというか「この順位は納得だなあ」という試合内容だったのだけど、よかった点は試合の外。いやあ、チアさんが『オトナ』なのさ(笑)。かなりエロ目なコスチュームにスタイル。ハーフタイムに一緒に踊りを披露するのはご存知“ぐしけんくん”なんだけど、その表情もエロいチアさんにニヤけているようにも見えてしまう。
選手交替の場面もある意味“衝撃”だった。スタンド前に選手名が書かれたプレートをチアさんが持ってきて、両手で高々と差し上げて観客に披露。そのまま差し上げた状態で選手ボードのところまで持って行き、交替選手のところにぶら下げて、スタンドに両手を振って去っていく。まさに『ラウンドガール』の行動。
もう一つ。試合中に突然“ぐしけんくん”とチアさんがスタンド前に一列に並ぶと、場内アナウンスで入場者数を発表。彼らは深々と礼をし、そして戻っていった。

もしかして、これが“榊原さん”効果、か。ここまで「興行」的な仕掛けで来るとは知らなかった。やはり百聞はなんとやら、だね。
『あり』だと思うよ。エロいチアさんも含めて(笑)、異業種からの参入による文化摩擦は面白い効果を生んでいる。それがサッカー界とどんな軋轢となるかは別問題。ま、間違っても「子どもたちに夢を!」なんてコピーは使えないだろうけど(笑)。

試合が終わってスタンドから降りると、件のエロいチアさん達と“ぐしけんくん”が並んでお見送り。“ぐしけんくん”とパンチを合わせて、またいつか。次は北中城の県陸かな。行ったことないのでね。

YSCCな彼とは園田まで話しながら歩いてお別れ。なんか、千葉全社でまた会うような気もする(笑)。チェックインして少し休憩。


SCENE:6
9月26日 「コザ」の夜

今回は那覇『カンプノウ』====ThisIsTheErrorMessege====への挨拶はなしにして、コザに拘ることに。

まずはゲート通りを散歩。いやあ、まるっきり違う。なぜ、なぜクルマが左側を走っているんだ?と疑問に思ってしまうくらい、違う。英語の看板が、ファッションやデザインではなく「必要だから」。正面は勇名を馳せるカデナ・ベースの第2ゲート。かつて、第1ゲートだかの前で写真を撮って見張りの米兵さんがすっ飛んできたことがあったっけ。そんなアメリカナイズな街並の中に、地元民向けの商店街の入口がひっそりと開いていたりする。不謹慎かもしれないが『占領軍』という単語が浮かんでしまうような光景。

次はステーキ、ということで有名な『四季』へ。テンダーロインのL。見るからにレキオなにぃにぃが目の前で肉を切って焼いてくれる。昼飯をロクに喰ってなかったんで、ライスおかわり自由の恩恵に。箸袋をひっくり返すと、なぁるほどそこには「How to Use “Chopsticks”」。たしかに、隣の米兵さんらしき一団のお嬢さんは、2本の箸を“鷲掴み”といった感じで食べにくそうではある。で、会計のときに真剣にびっくりしたのだが、1ドルが88円しかしないのっ!というのは日本人の見方で、米兵さんからしたら「1ドルが88円にしかならない」だ。お店の女将さんも「まだ消費に直接は影響ないけど……」と心配そう。しかし、この店以外にもレジに円=ドルレートを掲げているところがあって、為替レートが経済に直結している街ならでは、ではある。

喰うモン喰ったら、次は呑み。といっても、中の町に並ぶ店は雰囲気的に手が出せない。結局、胡屋交差点の『島ごはん』にしたものの、さっきのライスおかわりが見事に効いてきて、しかもオーダーしたゴーヤかき揚げがデカいの何の。====ThisIsTheErrorMessege====恥ずかしながら喰いきれず、オリオンの生2杯でこの場はギブアップ。店を出ると、交差点のライブスペースで地元出身の若い女性がミニライブ。足を止める米兵さんカップルもいる。申し訳ないが、ちょっと趣味合わず。CDを買う気にはならなかった。演奏が終わったところで一度ホテルに戻る。

BS『Jタイム』を視てから一眠り。22時半に起きて、沖縄そば屋『宮古そば・愛』へ。20時から営業の「夜の店」……にしては、坂出丸亀の無名な一般うどん店みたいな作り。さすがに先ほどの『島ごはん』でかき揚げを残しておいてここで大盛りを喰うほどのケダモノではないので、中盛りを(爆笑)。ホントにあっさり目のそばで、締めにはちょうどいい感じ。

コザの夜、予定終了。喰うモン喰って再びホテルに戻り轟沈。岐阜に戻ってから、コジコジじゃからんからも、通称『隠れ家』のマスターからも

「鋳造、喰い過ぎっ!」

との指摘を受けました。やむを得まい(笑)。


SCENE:7
10月2日 岐阜の自宅

この雑文を書きながら、いろいろと思い返してみた。新横隊の件。正直言って、新横系掲示板で交戦したことはぼくの中では既に過去のことで、「再建基金」の方からアクセスがあるとは思ってもいなかった。

でも、もしいまこの時に、当時の新横隊のような事件が仮にあったとして、ぼくは「ルールはルールだ!」と強く主張するだろうか。しないんじゃないか、と思う。おそらく。
それは、ぼくも10年という歳月を経て丸くなったというか老けたというか、もあるだろう。けど、もう一つぼくの中で当時と違うところがある。10年前になくて、現在はあるもの。『マイ・クラブ』だ。

現在、岐阜隊は経営的に非常に厳しい環境にある、というのは報道もされて周知なところ。クラブ存続も危ないかもしれないし、『J』にいることも困難かもしれない。万一そうなった時でも、「特例の特例で超法規的にそこをなんとか」とは、おそらくぼくは言わない。でも、「特例の特例で超法規的にそこをなんとか」という言う人達の心境は、いまは理解出来るつもりだ。だから、もちろん肯定はしないけれど、おそらく否定もしない。そんな感じ。

岐阜隊には岐阜隊の過去に根ざした複雑な人間関係があり、入り組んだ利害の対立がある。新横隊にも新横隊の過去に根ざした複雑な人間関係があり、入り組んだ利害の対立があるのだろう。そしてそれは、実はどのクラブにだってあることだろうし、それらをすべて含有して、クラブの『歴史』は紡がれていく。

そんな風に新横隊とサポはこれまでの10年を生きてきたし、今後も生きていくのだろう。そして、それは岐阜隊にとっても。

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