吉田鋳造総合研究所
鋳造所長雑文録
2006/09/05◆バリ封を突破して天皇杯滋賀予選の決勝
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前日の夜まで、岐阜予選に行こうか滋賀予選に行こうか迷っていた。もしMi-O====ThisIsTheErrorMessege====が勝ち上がっていたら問答無用で滋賀だった。もし近江八幡近辺に魅惑のB級グルメがあったら問答無用に滋賀だった。しかしどちらも該当せず。来週からまたバタバタと遠征になるし、土曜日も仕事してるのだから午前中は自宅でのんびり過ごしてゆるゆると岐阜予選かなあ、との意向を固めつつある時に“無料試合のS”君から「鋳造の観戦ピッチ数に肉薄したぞ」なる挑戦状メールが来たのだ。そうかそうか、よしわかった。ならば明日は滋賀に行かねばならぬ。岐阜予選はテレビ中継もあるしそれでよかろう。B級グルメで遊ぶのがダメならルートで遊ぼう。となると、ここは“バリ封”で知られた石榑峠だ。他にない。


日曜日。いい天気なので朝早くから布団を干したりしていて出発が遅れてしまう。東から石榑峠に入るなら大安町、となると岐阜からだと巡見街道が便利だ。普段は早朝通ることが多いが今日は出遅れ、交通量が多い。と言ってもタカが知れている。時間がないので西藤原====ThisIsTheErrorMessege====阿下喜====ThisIsTheErrorMessege====も寄らずに峠の入口に直行。ちょうど単車隊の一行が降りてきたところだった。手を挙げて挨拶すると応えてくれる。チャレンジャー同士のエール交換と受け取ろう。

峠道に入る。確かに狭く、うねうねと粘着質に消耗させるカーブが延々と続く。しかし、たしかにキツくはあるがバリ封するほどの道ではないなあと思いながらひたすら坂道を上っていくと、突如としてバリケードが現れた。本当に幅2m以上のクルマは通れないようにコンクリートの固まりが道を塞いでいるのだ。こりゃすげえや。
しばし感心してから、峠にアタック。うわあ、こりゃ無理だ。確かに制限かけるのもわかる。カーブもキツいし急坂だし狭いし。ぜえぜえひいひい上っていくと先にNTTの中継所が見えたと思ったらサミットだった。ここにも幅2mのバリケードがある。このわずかな区間だけが封鎖ゾーンなわけだが、ぼくは東→西のルートでアタックして本当によかったと思った。というのも、構造上スクーターには“エンジンブレーキ”というものがないので、ひたすらブレーキングだけで坂を下りることになる。乗鞍を降りるだけでもぜえぜえひいひいだったのに、あんな急坂を下りるなんて冗談ではない。スクーターで挑もうというよいこのみんなは東からアタックしようね。
峠を越えると滋賀側は勾配もカーブも緩い道が続く。ある程度降りたところに湧き水があった。『京の水』というそうで、有名なのだろう、ポリタンクを数個も積んだクルマが何台も給水待ち。割り込んで1杯だけ呑ませてもらおうとも思ったけど、待ち人の間が結構殺気立っていたのでそのまま下ることにする。時間もないし。永源寺のあたりはこんにゃく料理店が多いという話だったがこれもスルー。八日市・近江八幡と過ぎて、コンビニで昼飯を買ってからなんとかビッグレイクの場所を探し当てた時は開始15分前だった。やれやれ。

ビッグレイクにはサッカーピッチが3面あるが、AとBが人工芝。で、スタンドがあるのはB面だけ。会場の入口側が滋賀FCサイドどいうことだが、サポさんがいるのに驚いた。まだ県リーグ、ということは6部所属だが結構気合いが入っている。しかしとにかく凄かったのが掲揚塔にはためく滋賀隊の旗。『滋賀FC』と書かれた縦型の幟をそのまま4枚横に貼り合わせたものだったのだ。す、すげえ。またクラブ旗がないのだろう。だったら、せっかくだから幟を4枚貼り合わせたこのデザインで旗にしてしまってはどうだろう。インパクト強烈だと思う。冗談抜き。
で、滋賀隊サイドがいっぱいだったのでぼくは真ん中ちょっと反対側に座ったら、そこはなんと成蹊大応援団のすぐ後ろだった。お前らもっと端っこに行ってやれよとも思うが、ぼくが後から来たのだからしょうがない。しかし、書生応援団の後ろなんぞに座って昼飯を喰ったらNHK滋賀で日立台クルプニ事件====ThisIsTheErrorMessege====を起こす可能性がかなり高いので、すごすごとさらに奥に移動する。

天皇杯滋賀予選決勝、滋賀FCとびわこ成蹊スポーツ大の試合。試合はテクニックに勝る成蹊大がペースを握る。というか序盤からハーフコートマッチに近い。15分、滋賀隊DFがゴール近くでファールを犯し黄紙が出る。この時のセットプレーが凄かった。壁に攻撃側の選手が入るのは珍しくないが、本当に蹴ったボールが通過する直前に頭を下げたのだ。蹴ったのを目視してから頭を下げたのでは間に合わない。主審の笛が鳴った時にカウントダウンしてタイミングを合わせたのかも。そしてボールはその空いた壁の隙間を綺麗に通り抜けていった。GKが一歩も動けないのも当然のファインゴール。そしてその2分後、同じ滋賀隊DFがファールを犯し赤紙退場。これで試合は見えた。と思っても怒られまい。前半なかば過ぎには成蹊大2点目。これで確実に試合は見えた。と思っても怒られまい。
しかし、その直後に縦一発のパスが通って滋賀隊が1点返して試合はわからなくなる。確かに成蹊大の攻撃は綺麗過ぎるきらいはあったが、10人の滋賀隊ががんばるのだ。運動量もさほど落ちることなく、前半は1-2で終了。
後半も、支配するのは成蹊大なのはしょうがないとしても滋賀隊は相手に決定機を作らせずに時間が過ぎていく。やがて後半半ば、10人の限界か、Pエリア左隅あたりにぽこんと出来たスペースに走り込まれて成蹊大3点目。これで本格的に試合は見えた。と思っても怒られまい。
しかし残り5分くらいで捨て身の攻撃を仕掛ける滋賀隊はゴール前のもつれからコロコロとボールを転がし入れて1点差。この段階だと正直言って10人対11人という感じでは全然なくなっている。滋賀サポは大いに意気上がるし成蹊応援団はまったく余裕がなくなっている。しかし点差はそのままでロスタイム突入。もうどうしようもない、今度こそ試合は見えた。と思っても怒られまい。終われば出口は混むだろうし外から見ようと会場外へ出ると、急に成蹊大ゴール前で選手の声が大きくなった。ままままさか?と振り返ると、滋賀隊の選手が相手ゴールライン近くまで切り込んでマイナスのパスをゴール前に出すところだった。詰めたFWが流し込んで同点。なんだなんだ、コイツら1人少ない中で73分戦って3点取りやがった!とんでもない展開で試合は延長に入る。
再びスタンドに戻って延長戦を観戦。しかし、滋賀隊の武運は最後までつきあってはくれなかった。延長後半。攻める成蹊大、交錯した滋賀隊キャプテンが脚を押さえてうずくまる中、逆サイドに振られて綺麗なミドルをぶち込まれる。ついに成蹊大勝ち越し。その後、滋賀隊も攻撃を仕掛けるものの、スコアがこれ以上動くことはなかった。

試合が長引いたので滋賀隊を迎えることなくぼくは会場を後にしたが、滋賀サポや関係者はもちろん、中立で観ていた人々も滋賀隊を拍手で迎えたことであろう。正直言って滋賀隊のパフォーマンスは6部のそれではなかったと断言したい。再び武運がつけば来年は関西2部で会うことが出来るかもしれない。
一方の成蹊大。セットプレーはかなりのもの。1点目と似たような場所からのFKでは、今度は壁の中の選手の動きをGKに気にさせておいて壁の上を越えて右隅を狙ったり。これはバーに弾かれたが、アイディアは他のクラブでも活用できそう。ただ、試合を勝ち切る力に問題があると言われたらそれまでかも。

ぼくは県道2号→国道8号と走りついで岐阜まで帰った。走りながら考えたことがある。ぼくは先日、岐阜のとある店でサッカー関係者の話を覗う機会があった。その時の話とこの日の試合とを勘案すると一つの教訓が得られる、と。それについては、11月下旬あたりに書く機会があるかもしれない。


朝飯もちゃんと食べたし観戦中にコンビニ弁当もちゃんと食べたのに、大垣を過ぎたあたりで尋常でない空腹感に襲われたぼくは、穂積のドンキーで午後5時半だというのにレギュラーバーグディッシュ300g+ライス大盛り+豚汁をケダモノのように喰ってようやく帰り着いたのだった。帰ってから、録画しておいた岐阜予選をざっと視た。岐阜隊は3-1で勝って本戦進出を決めた。それでも、ぼくの心に一点の曇りもなかった。本当に、滋賀予選を観に行ってよかったと思う。

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