吉田鋳造総合研究所
鋳造所長雑文録
2006/05/31◆漢字バトンとその答え。
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今回は別ネタを考えていたのだけど、京都紫光SDたろう氏から『漢字バトン』なるものがご指名でまわってきたので。


1.前の人が回してきた漢字について

まずは個人指定の『急』:これは「いそぐ」ではなく「せく」と読むべきなのでしょうね。40過ぎてから自分の人生は“開く側”から“閉じる側”に入ったという意識が強くなったので、しかも基本的に貧乏性と来たもんだから、いまの自分に相応しい一文字は『急』ではなく『焦』なのかもしれません。

『凡』:小学生の頃は「ぼんれい」と読んでました(←お約束)。どんなにイベントだらけの人生でも「生まれて死ぬ」部分は一緒で、その間の体験は遺伝子にほとんど継承されないという部分ではこの世に生きるひとの人生はすべて『平々凡々』だとも言えます。

『賭』:三原順“X-Day”に「どんなにメリットがあっても進んではいけない一歩があるように、どんなにリスクがあっても進まなければならない一歩がある」という政治家の科白がありますが、リスクとリターンを天秤にかけて選択をしているという意味で人生はすべて『賭け』の連続です。

『酔』:ネットで主体的に情報展開しているひとはみな『自己陶酔』の傾向があるはずです。酔うために必要なのは酒だけなわけじゃない。

2.好きな漢字

『彩』:SteelyDanに“彩(aja)”というアルバムがありましてね…ってそれは無関係ですが。「いろどり」という概念は諸外国語ではどのように表現されるのだろう?という微妙な感じが好きなんですよね。ちなみに“彩(aja)”はsimpleながらすごいcoolなジャケットデザインでした……と、これ書いて思ったのですが、ここでぼくが使った「cool」という概念を表現できる漢字って、あるんでしょうかね。

『織』:士郎正宗“AppleSeed”に「原理は単純を、構造は複雑を極め」という一文があって気に入っています。色糸を組み合わせるだけという単純原理で、緻密な設計をもとに造形を展開する技って、素直にすごいと思います。単純に字面が好きだというのもあります(笑)。

『遥』:英語にすればただの“OverThere”なんでしょう。でも、『遥』にはそれだけじゃないニュアンスが含まれているような気がするんです。しかし、ここまでは女の子の名前に出てくる字ばっかりだなあ(笑)。

『愉』:最近、自分の表現で「たのしむ」の漢字に『楽』ではなく『愉』を当てることが増えました。『愉』の方が“HavingFun”のニュアンスが伝わるような気がするんですよね。

『浮』:現実は急かされた人生を歩んでますが、本当は水草のようにフラフラしながら、それでいて魚たちが集まってくるような、そんな人生に憧れているんですよね。その意味をこめて。

3.大切にしたい漢字

『祈』:所詮、自分の能力で展開できる部分なぞタカが知れているので、その実効性に何の疑問もなくひとびとは祈る。祈っている時点ではひとは祈る対象に対して謙虚になる。どんなに高圧的な人間でも、その部分は変わらない。ということは、ひとは謙虚になろうと思えばなれるってことなんですね。

4.好きな四字熟語

『一点突破』:もちろんその後に『全面展開』が続きます(笑)。ぼくは“策士”になれるほど人心掌握も緻密な設計も出来ないので、プロジェクトのマネジメントを求められると、ついこの方法を採ってしまいます。管理職には向きません(苦笑)。

“好き”というわけではないけど、“気になる”四字熟語として『色即是空』を挙げます。IT全盛のいまの世の中なら、この言葉は「この世はヴァーチャルワールドだ」という意味だと言い切ることも可能、ではあります。“森の書物”に書いてあった話だけど、人間が止まっているものを視認できるのは眼球が小刻みに振動しているからで、眼球の振動に合わせて目の前の物体を揺らせばその物体は見えなくなるのだそうな。あな恐ろしや。
もっと進むと、アニメ“攻殻機動隊”に、女性を襲う加害者の視覚情報を電脳の端子を通じて被害者に送り込む、という極悪非道な犯人が出てくる。自分が襲われる光景を無理矢理に自分自身が見せられるわけで、突き詰めれば『我想う故に我あり』すら成立しない状況になる。ここまで来れば究極の『色即是空』なんでしょうね。残念ながら、そう遠くないと思います。

5.漢字のことをどう思う

『漢字は意味を持つ』とは言うものの、“雇傭”を“雇用”と書いたりする用法がそのまま定着している現状ではあまり意味をなさない。最近のweblogなんか読むと、ついにひらがなですら破壊されているわけだし、文字文化破壊はこれからも進むでしょう。英語圏でもその昔にPrinceが“for you”という部分を“4 U”と表現してましたし。将来の歴史家は苦労するかもしれませんね。

ところで、漢字圏の中国にも“書き順”という文化はあるのでしょうか。恥ずかしながら、鋳造は40過ぎになっていまだに『飛』という字の書き順がわかりません(苦笑)。

6.次にまわす漢字を3つ

抽象的な漢字を回されて苦労したので、こちらも。
『俗』『業』『零』にしましょう。どうだあ(笑)。

7.バトンを回す7人とそのイメージを

これ、むずかしいなあ。
まずは、いつものようにあさい氏。彼の生き方はまさに『粋』という感じがするので、これで。
続いて日立台氏。本人は不本意かもしれませんが、彼には『揺』という印象があるので、これで。
もう一人は岐阜隊太鼓組の鶴氏。そのものズバリで『鶴』でお願いします(笑)。

あとは「我こそは!」という方が持っていってください。

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