印象に残っているテレビドラマの一つに未来テレビ局ネットワーク２３という近未来ＳＦドラマがある。どれくらいの近未来を描いているかというと、番組の冒頭に

いまから２０分後の未来……

と出てくるくらいの近未来。その「いまから２０分後の未来」では、世の中は荒廃しきっていて、街には街頭テレビがあふれ、ひとびとはテレビに支配されているという。当時は一部で話題になったドラマで、『登場人物』のひとり“マックス・ヘッドルーム”はその後日本のＣＭにも登場し「ぜろぜぇーろぜろわんしょっぷ♪」と歌っていたから、憶えているひともいるのでは。

いまから２０分後の未来がそんな風になってたら、すごいというか怖いというか。でも、もしかしたらそうなっているのかもしれない。未来のことなんだから、誰にだってわからないさ。

昨年から今年にかけて、ぼくは一部から“生き急いでいる”と言われるくらいにそこら中に出掛けてサッカーを観てきた。秋から職場のシステムの大変更があって身動きが取れなくなるということは以前この場に書いたし、そのプロジェクトの影響で現在残念ながら自律神経に異常を来していることも書いた。自身の年齢の問題もある。ハードな移動からの回復にかかる時間が著しく長くなってきて、だから、かつてだったら土日の連休が確保出来たら金曜夜から日曜夜まで動き回ったものだけど、さすがにそんなことは出来なくなって来た。もちろん強行することだってあるけど。
ウチの職場は第１土曜日は出勤だ。しかも月の上旬というのは恒常的に忙しい職種でもある。だから、第１土曜の翌日の日曜はよほどの事情がない限りおとなしくすることにしている。７月はその「よほどの事情」で日帰り“連戦沖縄”という無謀を仕掛けたのだけど、その無謀はやはりかなりの無謀で、その翌週末は自宅でうだうだとＰＣの設定で浪費していった。

で、８月の第１土曜である。８月はＪ１はお休み、ＪＦＬもお休み、地域リーグも基本的にお休みだ。というのも、この時期に国体予選や全社の地域予選や天皇杯の県予選を一気に片づけてしまうからだ。もともと選抜チームには興味がない鋳造は国体予選はまったく観に行く気にならないのだけど、全社予選や天皇杯予選は違う。
そうなると、ターゲットは観戦地図で最後まで緑色を維持しそうな青森県だ。なにせ陸自八戸が降格してしまったので、地域レベルにいるのはアステールだけ、となると地域リーグで使用される競技場は観戦済みの五戸ひばり野陸上しかあり得ない。観戦会場を増やそうとすれば、唯一かつ最大のチャンスは天皇杯予選なのだ。

昨今は各県協会も公式サイトを持つようになって、以前では考えられないくらい情報が得やすくなった。ありがたいことです。のだがしかし、許せんことに青森県協会は公式サイトを持たない数少ない協会の一つだ。これじゃあ情報が入ってこないではないか。
そこで県在住のじゃからん嬢に調査をお願いしたところ、準決勝も決勝も“五戸ひばり野”と判明。立派な県陸上====ThisIsTheErrorMessege====があるんだからそっちも使えよなあ、と部外者はわがままなもんだ。ひばり野じゃあ行ってもしょうがない。今年も青森は緑ゾーンのままだ。と諦めていた。ところが。

２７日朝、“無料試合のＳ君”よりメールが。

「８／７の青森予選準決勝は、五戸ひばり野“サッカー場”らしいですぜ」
ななななな、なんとでございましょう！ひばり野には“サッカー場”もあったのか！観戦ピッチを増やす絶好のチャンス到来！

しかし、いまから航空券を手配しようにも割引運賃などないので常滑＝青森は片道３万円もする。しかも、上に書いたように前日の第１土曜は出勤日、しかもしかも実はその前日の金曜夜は当直なのである。精神も肉体も財布もすべてをこの８月７日に捧げろ！２０分後の未来はどうなっているかわからないのだ！と宣告されているようなものなのである。はうぅーっ。

ごめんなさい。ぼくは行きません。

開店１０分前に並んだ人気のラーメン屋では、２０分経てばうまいかどうかは不確かだけどたぶんラーメンは食べられる。ぼくらは２０分後の未来は２０分前の過去とそんなには変わってないだろうという前提のもとに行動する。
世界はリニアに変化する。たしかにぼくの人生は明らかに下り坂だけど、今回が青森県で２回目のサッカー観戦をする最後の機会になってしまうかもしれないけれど、でもやはりもう１度か２度はチャンスがあると信じたい。

北関東在住の“無料試合のＳ君”は現地に行く方向で調整に入ったらしい。いいわねいいわね近いひとは……なんてね。かくいうぼくもこないだの日曜は。Ｓ君が新幹線往復で何万円もかけてやって来た大垣の試合を、単車を20分走らせるだけで観戦したのだけど。人生なんて、終わる頃にはだいたいプラスマイナスゼロになってるんだよな。たぶん。