吉田鋳造総合研究所
鋳造所長雑文録
2003/08/30◆冷えた発泡酒がないなんて
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好みの問題だから放っておいてくれて一向に構わないのだけど、フジテレビは朝のバタバタの時間帯の番組「めざましテレビ」のテーマになんでまたTUBEなんて暑苦しい連中の曲を使うのかどうしても理解できない。

むかーし昔、NHKが朝のニュースを改変して「NHKニュースワイド」を始めた際のテーマ音楽はYMOだったはずだ。しかしこれが実は結構不評で「朝のバタバタした時間帯はもう少し穏やかな音楽にしてくれないか」という要望が多数寄せられたらしい。違ったかな、ずいぶん昔の話だから。それ以来、NHKは現在の「おはよう日本」に至るまでイージーリスニング系の音楽で統一しているはずなんだけど。


TUBEが暑苦しいなんて書くと怒られるのかな。でも、ぼくにはどうしても暑苦しく聴こえてしまう。もっとも、ジョン・ハッセル「第4世界の鼓動」====ThisIsTheErrorMessege====と比べれば、TUBEはまだ潮の香りがする分マトモかもしれない。
ジョン・ハッセルは高校生の頃に1度聴いたことがあって、今回とあるルートでもう一度聴く機会が生まれたのだけど、根本的な「暑さ」の質が違う。TUBEが「暑いっ!」なら、ジョン・ハッセルは「あぢいぃ~~~~」だ。それも照りつける太陽じゃなくて、鬱蒼としたジャングルの中のような高湿度の世界。窓を開けても空気がビクとも動かないような、扇風機を回してもなま暖かい空気が動くだけのような、べったりと湿ったクソ蒸し暑い中で聴けばその世界にどっぷり浸ることが出来る。浸ったからといって快感は得られないのは間違いないところだけどね。


ぼくにとって夏の音楽と聞いてます浮かぶのは、中島みゆき『あたいの夏休み』。ええそうですとも、ぼくは暗いんです。ぼくが学生時代の曲だから、かれこれ20年近く前だろうか。とにかくビデオクリップが秀逸====ThisIsTheErrorMessege====で、みゆきの根本的な性格の悪さというか悪戯心というか「映像で伝えることなど何もない!」という矜持というかがいかんなく発揮された快作だった。
シングルとアルバムではアレンジが違う。これはおそらくプロデューサーの違いと言い切っていいもので、シングルのプロデューサーは後藤次利、低音の効いた音作りは「フォークのみゆき」のイメージを払拭する鮮やかな仕事ぶり。一方、アルバムの方は甲斐よしひろが担当、ギターが若干前に出てビートはおとなしめ。ぼくは前者の方がずっと好きだ。
職場の人間と一緒だろうがなんだろうが、ぼくはカラオケにこれがあるとだいたい歌ってしまう。そして上司の目の前で「やっと3日もーらえーるのーがなつーやぁーすみっ♪」と大声で歌ってしまい心証を悪くして人事考課がボロッカスになって給料が上がらない、と。性ですなあ。


あと、これはほとんどの人が知らないと思うけど、ムーンライダーズの『冷えたビールがないなんて』も、ぼくにとって夏の定番。キリンビールのCM用に作られたそうだけど、そのCMそのものを視た記憶がまったくない。ボツった可能性もあるね。アルバム「ムーンライダーズの夜」収録のバージョンは、あんたらトシいくつだ?って感じのバリバリのロック。でもギターソロに続いてヴァイオリンのソロが入るあたりが、ライダーズだねえ。この曲も、「暑い夏にはビールを呑んでいい気分!」という前向きな感じじゃなくて「あぢぃぞビールはねえのか」という感じ。♪冷えたビールがないなんて誰か5分で買って来いよ♪って、こんなのをビールのCMソングに作ってしまう連中もなかなか性格が悪い。


先日、当直勤務が終わったあとも仕事の都合でなかなか帰宅できなかった時に、「今日は自分にご苦労さんの意味を込めて、発泡酒じゃなくてビールにしよう」と言ったところ、同僚に「なんて寂しいご褒美だ」と嘲られた。いいんだいいんだ、どうせ酔っ払ったらビールも発泡酒も変わらないんだし、とビールを買って帰って呑んだ。もちろん発泡酒よりうまかった。けど、やっぱり普段は発泡酒なんだろうなあ。安いし。


今年は『あたいの夏休み』も『冷えたビールがないなんて』も一度も聴かなかった。だって、8月の一番暑い時期が暑くなかったから。病院のロビーでは夏の甲子園の中継を流していたけど、別世界の出来事のような気がしていた。もっとも東海地区はまだましで、東北北部は梅雨明けがないままに秋が来てしまったはず。つい先日行ったスーパーには既に秋刀魚が1匹100円で並び出していた。もう明後日から9月だぜ、どうなってるんだ。

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