cyic.co.uk 吉田鋳造総合研究所
鋳造所長雑文録
2003/01/11◆生き延びるために。
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1月9日から10日にかけての日本の新聞報道には大いに感謝している。「高原・欧州デビュー、フル出場」とかの大見出しとともに飾られた大きな写真には、我らが日本のエース・高原が相手DFと競り合っているところ………という風にほとんどの日本人は解釈するのだろうけど、ぼくの眼にはそうは映らない。その写真は、我らがザンクト・パウリのDFが日本からやって来たFWと競り合っているところなのだ。おそらく、日本のメディアで「ザンクトパウリ」という単語がここまで使われたことは有史以来なかっただろう。
この練習試合は一応はダービーマッチであるからして、HSVのサイトでも結構大きく取り上げられていて、我がパウリをキチンとLocalRivalと評価してくれていた。ありがたいことである。HSV様におかれましては1部上位をキープし、後半戦次第では欧州杯出場枠も狙える好位置。かたや我がパウリは残留ラインと勝ち点8差をつけられた最下位である。確かに昨年のウィンターブレークも最下位だったが、その時は1部だったのだ。今年は2部である。2部の最下位なのである。

で、高原の移籍を追ったわけではないだろうけど、清水の戸田がサンダーランド====ThisIsTheErrorMessege====のテストだかを受けに離日していったとか。いやいや、よろしいことではないですかい?かの国ではtough and fairを求める。ぼくの持ってる戸田のイメージだと、あっという間にカードキャプターになってしまうような気もするけど、がんばって欲しい。


やはりW杯効果なのだろうか。あるいは欧州の選手が高くなりすぎたということなのだろうか。中国からもプレミアリーグに3人が進出し、うち2人は完全にレギュラーである。最近発売のサッカー週刊誌で、小野・中田・俊輔が★5つの活躍評価、孫継海と李鉄が★4つの評価だったけど寝言は寝て書けってんだ。今年の曼城において、継海とベルコビッチがいなかったらいったいどうなっていたことか。それと、このサッカー週刊誌では背景に絵地図を使っているのだけど、日本の選手が東京から、韓国の選手がソウルから飛び立ったように描いてあるのはいいのだけど、なぜ中国の選手は大連から飛び立ったことになっているのだろう。担当編集が北京の場所を知らなかったか、あるいは中国の首都が大連だと信じているかのどちらかしか考えられない。ベースボールマガジン社も人材には苦労しているようだ。

実は同じ日にNumberも買ってしまったのだけど、感銘を受けたのがスギヤマシゲキのいくつかの寄稿。かつてのシステム原理主義者のイメージはほとんどない。W杯前とはえらい違いだ。自らが心酔するシステム以外は「あえて言おう、カスであると!」というような芸風だったのに。そのシステムを採用した国がW杯でことごとく序盤で消えてしまっては。悪臭漂うとまで書いた国の戦いぶりが日本人の共感を呼び、退屈だあ退屈だあとブーたれた国が優勝してしまっては、アイデンティーの崩壊もしかたないか。したたかというか老獪というか、いやいや単純に生き延びたいだけだろう。カネコタツヒトの寄稿も、いまもう一度W杯をというよりは単純にネタがないだけという感じ。かつてNumberは、長嶋茂雄が上着を脱いだら背番号3が現れたというだけで週刊誌の別冊が出る状況を「この国には若者が見えない文化がある」と揶揄していたが、どうやら自らも進んで取り込まれていったようだ。自分で檻を作り、自分から中に入る動物たちのいる、動物園。


話がずれた。戸田である。サンダーランドはとてもとても寒いところらしい。もし移籍が決まったら、是非とも日清食品にはCMを作ってもらいたいものだ。凍てつく練習場で当たられ削られ、ピッチに倒れ込む戸田。「ああ………」とため息を漏らす彼のもとに、にっこり微笑んでどん兵衛を持った優香ちゃん登場!一気にうどんをすすって暖まった戸田は、「さあ、いっちょやったろうかいっ!」と再びピッチに飛び出していく………。第2弾として、ケビン・フィリップスに「これがJapanese Traditional Noodleだ」と勧めるバージョンまで作れたら完璧なんだけどな。

それより何より、パウリだよパウリ!まさかまさか、1年で2部を通過するという恐るべき事態ではないだろうな。それじゃあまるで自由落下ではないか。パウリにも中国代表のFW楊晨がいるというのに、何やってるんだ。やはり降格の際にトーマス・メグレをぶっこ抜かれたのは痛かったのだろうか。しかし、ぶっこ抜いていったのがバイエルンとかドルトムントとかならブーブー言いたくもなるが、ロストック====ThisIsTheErrorMessege====じゃあなあ。生きもの地球紀行じゃないけど「生き残るために必死なのです」という感じで、出かかった文句も呑み込まざるを得ない。
ぼくはこの雑文で生き延びることに汲々とするライターの皆様を揶揄したけど、ごめんなさいちょっと反省します。生き延びるために必死になることは悪いことでもなんでもない。だめなら淘汰されるだけだ。だからパウリよ、お願いだ、お願いだからブンデスリーガから淘汰されないでくれ。お願いだあああああ。

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