cyic.co.uk 吉田鋳造総合研究所
鋳造所長雑文録
2002/12/12◆Christmas Time in Blue. その1
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天皇杯の1回戦====ThisIsTheErrorMessege====を観に奈良県に行った。こんな機会でもないと乗れない近鉄田原本線====ThisIsTheErrorMessege====を冷やかそうとJRで王寺まで行き、乗り継ぎ時間の間に昼飯を喰うべくKFCに入った。店内にはクリスマスに向けて予約受付中!のポップ広告。そしてBGMは、当然のように『あれ』である。
「ああ、またそういう時期になってしまったんだなあ」。少し憂鬱。

そもそも、日本中が「雨は夜更け過ぎに雪へと変わる」気候の地域なわけではないのだが。南の方なら雨は夜更けになっても雨のままだろうし、日本海側や東北以北なら雪は夜更け過ぎにドカ雪に変わるといったところではないか。それなのに、なぜあの歌は日本中で支持されるのだろう。Moonridersに『青空のマリー』という曲があるが、♪外は正月みたいな空♪、という歌詞に北陸出身の萌え萌えゲロ袋は、「俺は“正月みたいな空”という詞で絶対に青空は思い浮かべない」と言い切っていた。正月が青空なのは関東の特色で、北陸の正月はいまにも落ちて来そうなドロドロの曇り空なのだそうだ。

こんな風に『クリスマス・イブ』に対して文句を垂れたら、女性からは「寂しいのね。クリスマスの淡い思い出とか切ない思い出って、ないの?」と突っ込まれそうだが、ぼくにとってクリスマスの思い出とは、淡くも切なくもない。それはとてもとても現実的なものだ。1995年の12月24日。その日、ぼくは金沢競馬にいた。


実はサッカーにずぶずぶになる前は地方競馬巡りなんぞをしていた。現在、全国に地方競馬場は26あるが、ぼくはそのうちの19場でバクチを打った====ThisIsTheErrorMessege====ことがある。廃止になってしまった競馬場でのバクチ経験も3ヶ所====ThisIsTheErrorMessege====ある。佐賀競馬場に行った時は鳥栖駅から向かったのだが、駅前の小屋にはPJMフューチャーズ====ThisIsTheErrorMessege====の事務所があって、くすんだ虹色の旗が飾ってあった。記念に旗をもらっていこうか?と一瞬思ったが、荷物になるのが面倒なのでやめた。いまとなっては「吉田鋳造一生の不覚!」というような出来事だ。話を戻すと、1995年はもうサッカー観戦の泥沼に確実に片足を突っ込んでいたが、かつての趣味の延長で、とにかくその日は金沢にいたのだ。

金沢競馬の印象はほとんどない。寒かったこと、売店で日本酒を売っていなかったこと、馬券がほとんど当たらなかったこと。しかし、この日は特別な日でもあった。1995年12月24日は日曜日だった。ということは大晦日も日曜日なのだが、この日付でピン!と来る競馬ファンもいるだろう。そう、この日は有馬記念====ThisIsTheErrorMessege====の日でもあったのだ。
ぼくの買い目は決まっていた。マヤノトップガン=ジェニュイン=タイキブリザードのボックス。====ThisIsTheErrorMessege====各2000円投入するべく、ぼくは金沢に行っていて馬券を買えないので、買いに行くという知人に6000円を渡してあった。ところが。
Numberという雑誌に有馬記念プレビュー記事があったのだが、そこには「クリスマスイブがサンデー→サイレントナイトがサンデー→有馬記念はサンデーサイレンス産駒のジェニュインだ!」という、冷静に考えれば何が言いたいのかよくわからないこじつけが載っていて、ぼくはなぜかその言説に取り付かれてしまった。電話で知人に買い目の変更を伝えた。ジェニュインの単勝を2000円、あとはジェニュインからトップガンとブリザードに2000円ずつ。要するにNumberの記事と心中したわけだ。
金沢競馬からの帰りのクルマの中で、有馬の結果を知った。1着マヤノトップガン、2着タイキブリザード。30倍以上の配当がついたはずだ。ぼくは車中でアタマを抱えて「ああああああああああああああああああああああああああ(以下同文)」と呻き声を挙げ、その後しばらく呼吸が不安定になってしまった。ぜえぜえぜえ。クルマを運転する後輩が言った。「鋳造さん、空気が重いんですけど」

失意を抱えたまま「しらさぎ」に乗って岐阜に帰ってきた。夜の岐阜は雪が降っていた。降りしきる雪を見ながら、ぼくはようやく、競馬と『クリスマス・イブ』を結び付けることの愚かさに思い当たったのだった。

『♪きっと君は来なぁーいー……………』


約1週間後、ぼくは川崎競馬にいた。ぼくのまわりの観客が有馬記念の話をするたびに、あの時の呼吸不安がフィードバックされた。「俺のまわりで有馬の話はするなああああああっ!」もしかしたら実際に叫んでいたかもしれない。その時の川崎競馬は黒字で終わったが、有馬記念のトラウマクリスマスイブのトラウマとして、現在もぼくの中に居座っている。どうしようもない話だぞこのヤロ。

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