cyic.co.uk 吉田鋳造総合研究所
鋳造所長雑文録
2002/06/23◆長居の夜空にジャコビニ彗星が見えた
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夜のFMからニュースを流しながら
部屋のあかり消して窓辺に椅子をはこぶ
小さなオペラグラスずっとのぞいたけど
月をすべる雲と柿の木ゆれてただけ
72年10月9日
あなたの電話が少いことに慣れてく
わたしはひとりぼんやり待った
光る尾をひく流星群


結局、大阪長居には行かなかった。ぼくの予想に反して、チケット売買掲示板において全然値崩れの気配が起きないのだ。それに、金曜夜に仕事先の病院で当直見習い====ThisIsTheErrorMessege====をやってたもんで。見習いということで家に帰ることは出来たけど、土曜日は疲労でカラダが動かずに昼あたりまでうだうだしていた。

で、自宅でテキトーにスペインvs韓国を視ていた。この後味の悪さはなんなんだろう。もう、お隣さんではなんでもありのやったもん勝ちになってるんだろうか、なんて邪推も起きてしまう。もちろん、韓国がなんでもありのやったもん勝ちだけでここまで残ったなんて断ずるつもりはない。韓国戦を視ていつも思うのは相手チームのコンディションの悪さだ。あの雰囲気で試合するのって大変だろうとは思うけど、百戦錬磨の欧州の強者たちが、どうしてこんなに調子を落とすんだろう。

サッカーを観ることが愉しくなくなりつつある自分に気づく。お隣さんは勝ったらいいってモンだ!って調子なんだろうけど、これが全世界を巻き込むというワールドカップのサッカーの現実なんだろうか。夕方になったのでスーパーで安売りになった惣菜を買ってきて、ワインを呑みながらセネガルvsトルコ戦の中継を待った。
正直言って、不安はあった。日本が来る可能性もある試合だった。それがセネガルvsトルコ。地味である。客席が半分も埋まってなかったらどうしよう。この試合でも、昼の試合のような後味の悪さが残ったらどうしよう。お願いだから、日本で行われる試合では昼間の試合のようなことは起きないでくれ。サッカーを観る愉しさが伝わるものであってくれ。

試合会場の長居には、急性セネガル応援病急性トルコ応援病にかかった日本人が大勢いるようだった。45,000人近くが入ったらしい。試合も、準々決勝らしくない展開。守りあいにならない。セネガルDFは弱く、組織で見せ場を作るトルコ。しかしハカン・シュクールが大ブレーキ。まるで懐かしのデクノビッチ====ThisIsTheErrorMessege====を見ているようだ。キチンと守るトルコ相手に個人技で一点突破全面展開を仕掛けるセネガル。もちろん、サッカーのレベルが高いわけではないけど、両チームとも「俺たちはいま歴史を書き換えているんだ」という意気にあふれるという感じだった。
結局、試合は調子の出ないデクノビッチじゃないやハカン・シュクールに替わって入ったイルハンのゴールデンゴールでトルコの勝ち。イスタンブールはぶっ壊れていることだろう。イルハンは人気出ないかな、Fマリの奥にちょっと似てて結構イケメンのような気がするけど。ベジクタシュ====ThisIsTheErrorMessege====でしょ?給料そんなに高くないよね。日本に来たりしないかなあ。

ちなみにセネガル側は試合前に「日本人はリベンジを期待するからセネガルを応援するはずだ」と踏んでいたようだけど、それは日本人のメンタリティが読み切れてないかな。日本人は、自分達が応援する対象が負けた場合、勝った相手にはとことん上まで行ってほしいと願うひとが多い。そうなれば、負けた方も「相手がそこまで強かったんだから、しょうがないね」と諦めもつく。あと、トルコが実は世界屈指の親日国====ThisIsTheErrorMessege====であるというのも見逃してはいけなかったかも。


冒頭に載せたのは松任谷由美の「ジャコビニ彗星の日」。====ThisIsTheErrorMessege====かつてラジオで渋谷陽一が「日本一のラブソングだ」と褒めちぎっていた。主人公の女の子は失恋しつつあるという現状を変えるべく、星に願いをかけようとジャコビニ彗星を待つ。結果、「シベリアでも見えなかったよと弟が言う」つまり彗星は現れなかった。ロマンは消え去り、彼女は自分が失恋したという事実を対象化する。たしか、そんな歌詞だったはずだ。

この日、ぼくがセネガルvsトルコに投影したのも、まさにそんな感じだった。ぼくはサッカーを観るのが好きだ。ワールドカップの熱狂がどんなものなのかも現地で知った。それが、お隣さんで行われているような事態で終わってほしくない。サッカーを観るって、もっと愉しいものなんじゃないか。
そして、願いは叶った。セネガルvsトルコは1-0の決着だったけれど、愉しい試合だった。現地で観ていたらもっとずっと愉しめただろうけど、それはもういい。イルハンのGゴールの瞬間、もしかしたら長居の遙か上空に、いるはずのない彗星が流れていたのかもしれない。

ぼくは3位決定戦を観戦に大邱に行く。もしかしたら韓国が来るかもしれない。そうしたら、昼間のスペイン戦のような後味の悪い試合になるかも知れない。いや、これまでの状況から推すにそうなる可能性は高い。でも、ぼくはもう大丈夫だ。長居のセネガルvsトルコ戦で、TV画面の隅っこに流れる彗星を認めたからだ。認めたと思ったからだ。W杯が終わったあとも、ぼくはサッカーバカでい続けるだろう。もちろん、それ自体が「大丈夫なこと」なのかどうかは、わからない。

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