吉田鋳造総合研究所
鋳造所長雑文録
2002/04/08◆ねえフラナガン、夢って実現するじゃないの?
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ランチェスターの法則って知ってますか?戦闘状態においては戦力疲弊に一定の法則があるということらしい。戦いが一騎撃ちならば単純に数の多いほうが勝つ。しかし、もし全体数で負けていても、ある時点・空間において相手数を上回ることが出来れば勝利に導くことが出来る。強者には強者の、弱者には弱者の戦略があるというわけ。例えは違うかもしれないけど、サッカーでも10人になった方が必ず負けるとは限らないでしょう?アイスホッケーだってショートハンドゴールは別段あり得ない話ではない。ビジネス書の類は苦手なのでほとんど読まないけど、このランチェスター法則ってのはコンビニの展開などのマーケッティング方面でもよく用いられるらしい。

triangle.gif

ある日、このランチェスター法則についての簡単な解説のようなものを読んでいた時に戦力の逐次投入という話が出てきた。上図を見ていただきたいのだけど、戦力OAを投入したあとに戦力ABを投入してもその実効的戦力はOBにしかならない。さらに戦力BCを投入しても実効的戦力はOCにしかならない。最初から一気に戦力OA+AB+BCを投入していればいいものを。この、兵力や経済力などの戦力を小出し垂れ流しで投入する方法は、兵法としては愚の骨頂として語られるもので、第2次大戦時に日本軍がガダルカナル島で採ったり、最近では日本政府が公的資金投入の際に採ったりと、どうやら日本人が得意とする方法らしい。要するに投入した戦力分の責任しか問われないからなんだろうけど、なんだかなあ。


で、「ひろひろ」。


時限ぷー状態の時に、ときどき夕方にパチンコ屋に出かけていたのだけど、結構調子が良くて現在勝ち分が2万円くらいあった。2万円あれば「ひろひろ」に2400円を投入しても8回はもつな、とか軽く考えていたのだが、実はこれこそ戦力の逐次投入ではないのか?!と考えた次第。おりしも35回と36回で合わせて3億5千万円ものキャリーオーバーが発生している。ここで勝負しないで何とする!どうせアブク銭なんだし、一気に勝負をかけようと決意した。

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ぼくが持っている「totoバラ買い理論」という本には、7200円分の「3ダブル2トリプル」を1200円で購入する方法が書かれている。これとマルチシートを組み合わせて、「4ダブル4トリプル」を21600円で購入した。買い目は左図の通り。


土曜日、ぼくは神戸に向う新快速の中で夢を見ていた。なんてったって21600円である。ハンパな投入額ではないのだ。キャリーオーバーと合わせて、おそらく1等配分の原資は7億か8億は行くだろう。的中が20本でもひとり3千万以上。地方都市なら新築のマンションだって買えるではないか。もし2等だったとしても100万は狙えるかもしれない。愛車マジェちゃんもだいぶ疲弊しているしなあ。万が一3等だったとしても10万くらいは取れそうだ。パソコンの買い替えぐらいは出来るだろう。恐ろしいことに、その時のぼくの中にはそれ以外の選択肢はまったく存在していなかった。

その日は神戸ユニバーにヴィッセル神戸vsジュビロ磐田を見に行く。神戸のホームだからとセントミーレン====ThisIsTheErrorMessege====のユニを着ていったが、90分で磐田が勝つことを何も疑っていなかったし、だからその夜に泊めてもらうことになっていた岡山の返し馬師匠マルホン氏にも19時過ぎには岡山駅に着けると断言していた。だって服部も鈴木秀人も戻ってきたしナナちゃん人形====ThisIsTheErrorMessege====だって復帰かもしれない。一方の神戸は代表ノスタルジアで固めつつも結果が出ているのはカズの親父だけ。シジクレイと偽シジクレイことバウル====ThisIsTheErrorMessege====がぜえぜえ言いながらクロスを弾き返しているだけじゃん。三宮で中華バイキングで腹をパンパンに満たし、新長田から地下鉄で総合運動公園へ。天気がどんどん悪くなっていき、席について20分と経たずに雨が降ってきた。そう言えばどこかで磐田は重馬場が苦手という話を聞いた。雨がこれ以上強くならなければよいが、まあ大丈夫だろう。

前半はまったりと0-0で終了。シジクレイと偽シジクレイがさして怖さのない磐田のクロスをことごとく跳ね返してしまう。あと、岡野。かつてはただの香車だったけど、いまの岡野は後戻りできる香車になっていた。磐田の選手がサイドでフリーになって、さあクロスを上げようという時にでりゃりゃあああああっと戻ってきてボールを奪ってしまう。いや奪うというのは正しくないな、自分達のボールには出来ないのだから。でも磐田の攻撃の芽を充分過ぎるほど摘んでいた。神戸の攻撃は畳障子が期待されている自分の役を忠実にこなしていたのでまったくと言っていいほど見どころはなかったから、90分で終わらないとしたら0-0のままだな、とは思っていた。飛行機マニアたろう君からメールが入り、山形は勝ち、サクラは新横とドロー。ほれみいっ!正義は必ず勝つことになっているのだよワトソン君。わくわく。

後半からナナちゃん登場。磐田サポもこれでひと安心といったところか。しかしどうも磐田の中盤がおかしい。相手を崩す動きが実に少ない。後半途中になって、一番あり得そうな結末は0-0で延長入りだとの確信がどんどん深まっていく。さらに追い討ちをかけるべく、たろう君からメールが届く。「べ」が鹿島に先制しただとおおおおおっ?!そりゃ確かに「べ」は上がり馬だしここんとこ鹿島のFWはロクに仕事してないけど、やっぱ「べ」が初めて体験する圧倒的アウェーだし、小村がケガで出れないって話だったし。そして、携帯にメールが届くたびにダルマ落としのダルマのようにぼくのテンションが一段ずつ落ちていく。ああ、なぜ、なぜ世の中は思い通りにいかないの。せっかくサクラのドローを当てたのに。そしてついにぼくの息の根を止めるメールがやって来た。

「清水0-4名古屋」

はい?この名古屋って、あの名古屋か?先週ぼくがこの目でそのDFのあまりのヘタレぶりを確認した、あの名古屋なのか?そして目の前の試合の後半戦が終了した。この時点で、ぼくが知り得たJ1すべての試合をはずして投了が確定。21600円分のひろひろが無価証券になった瞬間。試合は延長戦に入るけど、もうユニバに用はない。地下鉄に乗って新長田へ。そこから西に向かう電車の中で「神戸0-1磐田 91分福西」という、死者に鞭打ってさらにローソクを垂らすようなメールを受信した。91分だと?!なぜあと2分早くゴールを決められないのだ?!そのせいで、そのせいで、そのせいでぇーっ!

そしてぼくは岡山に向かう新幹線の中で、なかば放心状態になりながら、アニメ「聖戦士ダンバイン」の一節を思い出していた。トッド・ギネスと主人公ショウ・ザマの最後の会話。

「ショウ………」
「トッド!」
「………いい夢を、見させてもらったぜ………」
「これが、いい夢でたまるかよぉーっ!!」


hiro37.gif

翌日。1等的中者はゼロ!2等が1000万越え、3等も100万越えという恐るべき結果が報じられた。そしてぼくの手元には「鹿島-仙台」「清水-名古屋」「神戸-磐田」のみをはずした4等のひろひろマルチ券が残された。やい福西!テメーのせいで100万円がああああっ!お前100万円と言ったらなあ、タイムショックで全問正解しないと手に入らないんだぞわかってんのかあああっ!

しかし福西は悪くない。悪いのはぼくだ。そう、いくら戦力を集中投入しても投入場所を間違えたらなんの戦果もあげられないのだ。ひとはこれを「犬死に」と呼ぶ。どうしようもない話だぞ。はうう。


ついにキャリーオーバーが7憶を越えた。次回売上想定分と合わせると、1等的中が10人いても1億円の配分があることになる。もう一度、勝負だあああっ!金力善用の精神ですなわち生きる。これよ。既に手持ちのギャンブル・キャッシュフローは底をついているので、大勝負してはずすと経済破綻が足音を忍ばせて近づいてくることになるのだけど知ったことか。続報を待て!

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