cyic.co.uk 吉田鋳造総合研究所
鋳造所長雑文録
2002/01/26◆『幸運を呼ぶ』M君とその御子息。
▲home ▲index

「たつー」とかいうライターが神を見たとか嘯いているJ1参入決定戦のアビスパ福岡vs川崎フロンターレ戦。あの夜、福岡のサポはまだ決まったわけでもないのにまるで残留したかのような大騒ぎだった。優勝と残留とどっちが嬉しい?そんなの残留に決まっているじゃないか。少なくとも、ぼくとこのゲーム====ThisIsTheErrorMessege====このキャラ====ThisIsTheErrorMessege====萌え萌え男====ThisIsTheErrorMessege====の間では、そうなっている。だから、どうしても優勝争いより残留争いに注目してしまう。百歩譲って昇格争い。トップリーグの優勝争いにドキドキしたことは、サッカーを観始めてから記憶にない。


ぼくの会社の仲間にM君がいる。彼はサッカーが好きで、とにかくパルマが好きだった。Jリーグなんかどうでもいい、パルマさえ強ければ。彼が初めて日本のサッカーをLIVEで観たのは、長良川で行われた天皇杯の4回戦、ヴェルディ川崎vs本田技研じゃないか?あの日、M君は試合を観に来たのではない、酒を呑みに来たのだと宣言し、しかし本田技研が1点を返すと彼は狂喜乱舞し、翌年にはひとりで北信越リーグを観にいく人間になってしまうのだが、とにかく基準はパルマだった。彼は好きなチームが強いことで快感を覚える人間、つまり普通のサッカーファンだ。ぼくらとは違ったわけだ。

そのM君が2001-2002シーズンにおいて、断腸の思いでパルマとの愛情に終止符を打った。原因はもちろん、あの男====ThisIsTheErrorMessege====である。あの男が来たことで、胸を張ってパルマのファンである、と言えなくなってしまった、と彼は嘆いた。ミーハーに思われるのを嫌う男なのだ。今年は違うチームを応援すると彼は宣言した。

宣言した相手は、キエーヴォ・ヴェローナだった。そうかそうか、M君もようやく残留争いの倒錯した楽しみに参加する気になったのか。あれは楽しいぞお。特にシーズン終盤の盛り上がりは、たまらないものがある。ぼくとこのゲーム====ThisIsTheErrorMessege====このキャラ====ThisIsTheErrorMessege====萌え萌え男====ThisIsTheErrorMessege====は喜んだ。ところがどっこい。

このシーズンのキエーヴォの快進撃はなんなんだ?!聖書でもコーランでも経典でも持ってきてくれて構わない。ぼくは手を載せて宣誓しよう。M君が「今年はキエーヴォにつく」と宣言したのはシーズンが始まる前だったと。決して断じて、キエーヴォの快進撃でファンになったのではないのだ。

しかし、そんな彼は最近キエーヴォが心配だと言う。ひがみっぽいぼくとこのゲーム====ThisIsTheErrorMessege====このキャラ====ThisIsTheErrorMessege====萌え萌え男====ThisIsTheErrorMessege====どうせ首位から陥落したからだろうとか思っていた。しかし彼の心配は別のところにあった。「残留だ」とM君は言った。なあに言ってやがる、と思ったら彼は続けて言う。「来年の残留だ」

うぐぅ。それならぼくもわからないではない。昇格したての貧乏チームが快進撃。当然、シーズンが終われば安くていい選手は買い叩かれるだろう。もしキエーヴォが欧州行きの切符を手にするような成績を残してしまったら、翌年はボロボロの戦力で欧州戦と国内リーグ戦を戦わないといけない。今年のイプスウィッチ====ThisIsTheErrorMessege====と同じになってしまうかもしれない。

ところで、そんなM君に見限られたパルマは苦戦を強いられ、降格ラインをウロウロしている有り様。幸運の女神ってのは聴いたことがあるが、M君は“幸運の男神”なのか?要するにあげ chi んなのか?


実はM君は一児の父で、夏には2人目の子供が出来るそうだ。めでたい話である。
M君の子供は男の子で、もうじき3歳になる。将来はサッカー日本代表を背負って立つ事を約束されている。少なくともぼくらの間では、そうなっている。なぜなら。

4年前のフランス・ワールドカップ。サッカー好きの彼は、NHK−BSで放送されていたワールドカップの中継をひたすら見続けていた。もちろん昼間は会社で仕事をしている。1次リーグも終盤に入り、試合が立てこんでくる。彼の体力も限界が近づいていた。日本vsジャマイカが行われた日、彼は今日を乗り切ればという心境だったという。ところが、そんな彼の耳元で奥様が囁いたのだ。家庭運営を犠牲に出来ない彼は、海の向こうで行われている戦いに別れを告げ、体力の限界を振り絞って夜の闘いに挑まざるを得なかった。

数ヵ月後、夫婦は腕を組んで考えていた。彼女の胎内に生命を宿した日、それはどう考えてもあの夜しかあり得ないとの結論に2人は至った。日本代表が3連敗の屈辱にまみれ、しかし初めて得点を記録した「あの日」にきっかけを与えられたその生命は、まさにサッカー日本代表を救うために宿されたのだ。

ということにぼくらの間では、してある。もし、20年近くたって現実がその通りになったら、面白いじゃないか。だって、その子はセリエA昇格したてのキエーヴォを首位争いさせてしまうM君の遺伝子を継いでいるのだから。M君はこどもをサッカー場にデビューさせる日を楽しみにしているという。そして、出産のバタバタとワールドカップが重なるのは厳しいので、2人目は開幕前に出てきて欲しいと願っているそうだ。


なんか、いい話じゃない。

▲top