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【KOREA-08】 2008/12/18 済州総合運動場でFA杯準決勝を観る
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木曜日。どよーんとした済州島の朝。いかにも、寒そう。そうだ、朝飯はあわび粥だ。日本にも出店しているらしいチェーン店の『本粥』。こんどこそ例のガイドブックで行ってみよう。
あれ、どんどん住宅街になっていくぞ。そして地図の場所は……はい、普通の住宅街でした。もういい、もうお前には頼まん!ってなもんである。もう表紙も視たくないわっ。帰宅したら速攻で古雑誌処分籠に叩き込んでやろう。
そんなわけで、とにかく中心街へ行こう、なんか喰えるだろう。と東門から中央路へ。大阪は九条あたりで見かけるようなアーケード街もあったりして旅人的には面白かった。東門市場の道端では地元のおばちゃんが野菜を並べている。寒いのに、大変だ。
しかし、それにしても、ロッテリアもマクドナルドもバーガーキングも見あたらないのは、なぜ?なぜ?なぜだあああああっ!きすみんとっきすみんとっ。もう消耗しっぱなしのやられっぱなし。もういいっ!早めに会場へ行こう!と市内バスでバスターミナルへ向かった。試しにTマネーを使ってみると、950ウォン====ThisIsTheErrorMessege====でした。バス停で路線図をつぶさに確認したおかげで乗るバスは間違えてなかったけれど、押しボタンを早く押してしまい10分以上歩くことに。とほほ。どうもこの島では土地勘が正常に機能しないようだ。途中のコンビニでサンドウィッチとパンとお茶を買う。これで喰いっぱぐれはなくなったけど、なんだかなあ。

なぜ早めに会場と思われる場所に向かったかというと、いまだに韓国サッカー協会を信用してなかったから。選手が来ているんだから済州島でFA杯が行われるのは間違いない。けれど、もしかしたら西帰浦に突如変更になっているかも知れない。しかし、それは杞憂でした。ちゃんと、市外バスターミナルのすぐ南の総合運動場には、デカデカと歓迎ゲートが用意されてました。
よし、開始まで1時間以上もある。となれば、市外バスターミナルの見学だ。と、中に入ったぼくは呟かざるを得なかった。

『駅前桟橋……………』

その昔、尾道駅前にあった『駅前桟橋』にそっくりなのだ。中の雰囲気が。もう場末感バリバリ。ターミナルの隅っこにある売店では、婆ちゃんが疲れた感じでネタを暖めている。昔ながらの切符窓口に女の子が近づいて乗車券を出してもらっている。ツボに入りまくりの光景で、ぼくは写真を撮りまくってしまった。
おでん屋の隣にも食堂があったけど、反対側の隅っこの食堂には営業中の札が下がっている。ピビンパの文字を見つけて一安心。これならオーダー出来る。中では親父さんが新聞を読んでいたので、「비빔밥、하나。」これくらいは喋れる(笑)。親父さんは厨房にいる奥さんにオーダーを流して、新聞を読み続ける。出来上がりを運ぶのが彼の仕事のようだ。4,000ウォン、いたって普通のピビンパだったけど、しっかり腹もくちくなった。店を出てから、スンデクッパにすればよかったかなと、少し後悔。

さて、会場に向かおう。バスターミナルからは5分とかからない。とりあえず入場券売り場を探そう。と、開いているゲートを発見した。とりあえず入って…と階段を上がると、そこはG裏スタンドだった。もしかして、無料?!いやあのその、いくらド平日の昼間開催とはいえ、。準決勝なんですけどっ。G裏とバック全席を無料開放しているようなので、もしかしたらメインは有料席でそこではプログラムとか売ってるかも…と、とりあえず行ってみるけど、メインの入口すらわからずに撤退。すごすご。さっきのG裏では慶南FCサポのカップルかな?タイコでコール合わせをしている。バックのほぼ真ん中に席を確保した。

第1試合。慶南FC×高陽国民銀行。慶南ってことは慶尚南道なんだろうけど、具体的にはどこだ。それに、サポが出しているダンマクが、『ULTRA NUCLEAR』って原子力?というわけでこれも帰国後に調査したら、なるほど納得、しかし昌原がそういう街====ThisIsTheErrorMessege====だとは知らなかった。もう一方の高陽国民銀行は、大田サブで視て一目惚れしてしまった右の22番がいないのは、もしかして平日開催だもんで仕事で来れなかったとか?FWも13番でなく24番、でも背番号は白布を縫いつけて手書きではないか。しかもユニは13番のもののようだし、でもって、これも帰国して調べてみると韓国協会公式サイトでは24番ではなく13番が出ていることになっている。なんでなんでなんで?
試合は5-0で慶南の圧勝。FCソウルに全北と1部勢を倒してここまで来た国民銀行だけど、慶南のきっちり引いてカウンターにやられてしまいました。CKから2失点。後半は攻め上がるしかない国民銀行を慶南は高精度なカウンターで綺麗に粉砕してしまった。印象に残ったのは10番のインディオ。全盛期のラモスのような姿勢のドリブルからサイドに散らしたりスルーパス出したり、古き良き『司令塔』の雰囲気がプンプンする。試合が終わって、慶南サポの叫びからは「チャンピオンズリーグ!」====ThisIsTheErrorMessege====なる単語も聞かれた。彼らはヴェルディの「かもんきょんなむ!かーもんかーもん!」とか、フロンターレとかを使ってた。ちなみに、もし彼らがFA杯を制してACLに出てくるなら、日本勢はバランスを重視することと10番に気をつけることで何とかなりそうな感じではある。

第2試合。大邱FC×浦項スティーラーズ。試合開始前に大邱サポがバックスタンドに集まってくるけど、浦項側がど真ん中にデカ旗を飾り付けると第1試合で慶南が陣取ったG裏に移っていった。青のキャップのお嬢さんかわいかったぞ(笑)。一方の浦項サポは見事にバックスタンド中央を確保。なんか、道端でエサをついばむ小鳥をカラスが追い出したみたいで、大邱寄りの観戦を決意する。もちろん、青キャップのお嬢さんがG裏に行ってしまったことが最大理由ではある。コアサポの数はどっちもどっちなんだけど、ところが。
バックスタンドの真ん中には、第1試合にはいなかった警察の制服組と軍服組がカタまってどっかと座っている。軍服って、ユニじゃなくてホンモノのミリタリーウェアね。なんと、浦項サポは彼らに赤いビブスを着せ赤いチアスティックを持たせ、あげくには選手の番号入りフラッグまで振らせて物量応援を開始してしまう。それってありか?ありなのか?浦項の部隊が済州まで応援に来たとは考えにくいが、それにあなたたちにはKのクラブがあるでしょう。====ThisIsTheErrorMessege====とは思うけれど、あれはエリートのクラブであって、駐留部隊としては応援しにくいのかもしれない。しかし、あまりの露骨な物量作戦に、判官贔屓の鋳造はますます大邱寄りの観戦を決意する。まあ経緯はどうあれ、野郎どもが100人以上も声を揃えて「すぅーてぃろっすっ」と叫ばれては、大邱サポの不利はどうしようもない。

試合は浦項2-0大邱。つないで崩す浦項だけど、大邱の守りもちゃんとしててなんとかなっている。しかし、前半終了近くに攻め込まれた大邱DFが外にクリアしようとしたボールが運悪くエリア内ぎりぎりにいた味方DFの腕に当たってしまい、副審が律儀に旗を揚げたもんでPKとなる。きっちり決めた浦項が先制。
後半になると大邱の攻撃がチャンスを作り出すようになる。浦項は守備にまわった際に少々隙が多いようで、そこを大邱攻撃陣に衝かれるが、決め手を欠く大邱に助けられた感もある。大邱側G裏からは、女性サポの応援というか悲鳴というか絶叫が聞こえてくるようになる。浦項のCKになると「きゃああああっ」ではなく「ぎゃあああっ」という感じで、まさにジェットコースター。バックスタンドのぼくのすぐ前にもネクタイ姿のバリバリ大邱寄りのおじさまがいて、決定機を逃すとどかどか椅子を踏みつけて悔しがる。しかし、終了間際に浦項は右からのクロスを唯一上がっていたFWがバックヘッドで綺麗に流し込んで勝負あり。全体的な流れからも浦項の勝利は妥当だけど、慶南のカウンターがハマりやすい感じもある。決勝戦はどうなりますかね。====ThisIsTheErrorMessege====

さて、試合も終わったし、バスで空港に向かいますか。バス停で100番バスを待つ。どうにも気になるのは、系統時刻表に공항の文字がないこと。しかし、反対側のバス停を調べてみると、ちゃんと空港を経由して来ることになっている。よしよし、とやって来た100番バスに乗る。あれ、バス横腹の経由地欄では공항の文字がカッコつきになっている。まあいいや、と乗り込む。しばらく走ると、新済州のロータリーを過ぎてバスは南へ。明らかに空港からは離れていく。ここでぼくはすべてを理解した。

100番のバスは東方面行きは空港を経由するけど西方面行きは通らないんだ!

くそお、やられたぜ。ジェウォンの市街地で降りて逆方向の300番のバスに乗った。これはちゃんと空港を通る。いやあ、よかった。

ぼくは詳しく知らない世界なんだけど、済州島ってのは大長今なるドラマ====ThisIsTheErrorMessege====の舞台なんだそうだが、空港売店にはそれ系の土産物屋は見つけられなかった。職場などへのお土産を購入し、再び国内線で金浦に戻った。機内では爆睡してしまったので飲み物はもらえず。
この夜の宿は雲西駅近くのホテルなので、空港鉄路に乗って初めて途中駅で降りた。雲西駅前は原色系のネオンサインで溢れている、いかにもニュータウン的雰囲気。そういえばホテルの場所を正確には把握してなかったな、と思ったけれど記憶に従って歩いたらなんとか発見。しかし、部屋には風呂がなくシャワールームだけだったのはがっかりした。済州KALより高いのに。
まずはロッテマートに行こう。恥ずかしい話だが、日本にいる間にパンツを2枚破いてしまったので、どうせ買うなら韓国の方が安いだろうということで。3枚で2万ウォン強。それから晩飯だ。寒いので暖かいメニューで、ひとりで落ち着いて喰えて…と歩いていると参鶏湯屋を発見。やったあ!中に入ると、カップルもいるし呑んでる兄さんもいるし、仁川国際空港のスタッフジャンパーのグループもいる。よし、この客層なら“はずれ”はないな。参鶏湯1万ウォン。鶏レバー焼きまでついてて、こりゃいいや。店内の客のオーダーが捌けたところで、厨房の大将が客室に入ってきてテレビのチャンネルをいじる。呑んでた兄さんがテレビを視て「おっ」と言った。クラブ・ワールドカップ。当然だが、中継がある。2-0で曼聯がリード。
ぼくも宿に戻って視ることにした。途中のコンビニでビールのロング缶とペペロを買って、部屋に戻ってテレビを点けると3-1になっていた。試合が終わるとインタビューはカットされてスタジオの解説とコメンテーター。パク・チソンの名前だけは聞き取れた。この日に出番がなかったから決勝戦が楽しみだ!とか言っているのだろうか。疲れもあってそのまま沈没。


翌朝は、普通に起きてホテルの送迎車で送ってもらい、9時半のアシアナで帰国の途に。体調不良は継続しててこの日は頭痛がひどく、機内粗食もゆっくり食べきるのが精一杯。敦賀近辺で本州の上に入って南下、左の窓に雪をかぶった白山とその向こうに壁のような穂高連峰が見えた時、やっぱり安心してしまうんだよね。
ちなみに、帰宅して一眠りしたら頭痛はだいぶよくなった。やはり、わからない言葉の中で過ごしたのがストレスだったのかも知れない。

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