cyic.co.uk 吉田鋳造総合研究所
travelnotes : overseas
【KOREA-02】 1999/05/04 YMOで移動が完成される。
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ぼくと韓国の最初の接点を思い出していくと『NHK特集』にたどりつく。まだ小学生か中学生だった頃の関釜航路====ThisIsTheErrorMessege====特集だ。当時は密輸の相手国No1だった韓国。相次ぐ不法入国者、取り締まる入管。決して唄になることのないドラマがフェリーに乗って行ったり来たりしていた。

次の接点は高校時代だ。YMOの『SEOUL MUSIC』。この曲で、ぼくの韓国に対するイメージは固定された。伝導性のないエネルギーが息を潜めている国。ぼくにとって韓国という国は、通常の日本人観光客とは違う感覚器官で認識されていた。

いつか、韓国に関釜航路を使って行く。そして韓国で『SEOUL MUSIC』を聴く。そんな、十数年前に植え付けられた種が発芽する時が来た。フェリーターミナルから駅に向かって歩く。釜山市中区中央洞の午前9時。カセットを走らせる。

もう見慣れたはずのハングル、しかしそれは途端に非現実的な存在になりかわった。視覚と聴覚から得られた情報が正常な回路を通って認識されていないのがわかる。いまはいつで、ここはどこで、私はなぜこのような状況におかれているのか。都市の騒音がヘッドフォンの隙間から忍び込んで、戦車を直撃した砲弾のように意識の中を撥ね回っていく。

航空会社の支店前で、カセットを止めた。視覚と聴覚の混乱は瞬時に消え去った。聞こえてくるのは、ありきたりの街の騒音。さっきまで不気味な映像を送りつづけていた街の看板も、ただのハングルだ。読むこともできる。意味だってわかる。ここは韓国なんだ。

移動は完成された。

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