SolingenOhligs駅には既にWuppertalの行先を出した列車が停まっていた。とり急ぎWuppertalまでの切符を買って乗り込む。発車まで3分くらいあったので、ホーム掲示の時刻表を読むと、なんかおかしい。Wuppertalまで1時間以上かかっている。ここからは30分もあれば着くはずの距離なのに。落ち着いてもう一度読むと、これは違うぞ!Wuppertalまで直行せずに大回りするローカル普通列車ではないか!危ない危ない、早々に撤収。10分程度経つと快速列車====ThisIsTheErrorMessege====がやってくる。その方が到着は圧倒的に早い。
ホームで列車を待つ間に雨が降ってきた。かなり激しく、遠くに雷鳴まで聞こえてきてちょっと驚く。Wuppertal直行の快速列車は少し遅れてやって来た。どちらかというと旧式のELが牽く客車列車。
列車は、欧州の田園風景の中を北へ。雨も止み、そしてWuppertalの市内に入っていく。進行左手、線路の北側に鉄骨の構造物が見えて来た。正直に白状しよう。この時、ぼくの中で理性が制御していたある制限が解除された。アドレナリン全開放状態に突入する。
なんだこれはあああああああああああああああああ
Wuppertalの街は南北を山地に挟まれ、その間を流れるWupper河に沿って細長く展開している。そして、その河の上をずーっと占有しているのが鉄骨の建造物、モノレールの線路なのだ。ひどい、ひどすぎる。これはこの世の光景ではない。ぼくは終点のWuppertalOberbarmenに到着するまでひっくり返っていた。
Oberbarmen到着。駅構内に、キャッシュコーナーがある!これでようやくEUROを補充出来る。それから売店を探した。持参したフィルムが既に心もとない状態。しかしさすがにドイツの日曜日、ほとんどの店は開いていない。しかたない、中央駅まで戻ればなんとかなるだろう。
Oberbarmenはモノレールの終点でもある。切符は全線均一1ユーロ。エレベーターに乗ってホーム階へ。懸垂式モノレールなのだけど、湘南やら千葉やらで走っているモノレールとは根本的に違う。それは、電車のカタチをしたロープウェーが河の上に造られた重厚な鉄骨で組み上げられた高架線のレールにぶら下がって走るというイメージ。とにかく違うのがレールの形態で、Wuppertalのそれは本当にレールみたいなのだ。
途中、適当なところで一度降りてホームから撮影してみた。ホームで電車を待つ少年はDortmundのユニを着ていた。このあたりで一番強いクラブだからなあ。Wuppertalにもクラブはあるが、いずれもOberligaあたりでくすぶっている。少年の心をときめかすことはないのだろう。
キュン、キュンキュン!電車の接近を伝える、レールと車輪の摩擦音が聞こえる。そして、河の上空を電車が滑ってくる。申し訳ない、この時の興奮状態を伝える言葉をぼくは持っていない。帰国して半月、こうして原稿を打っている状態でも、思い出すだけで体内にアドレナリンが分泌されてくるのがわかる。いやあ、これは。