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オートバイ遍路:day.02
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ロングランの疲れと鼻炎薬の副作用の相乗効果で9時半に眠ってしまい、目が覚めたら5時半だった。ホテルの朝飯を食べ、6時半に出発。記憶を頼りに適当に県道を北上していたら、やがて「第1番・霊山寺」の標識が現れた。これで道に迷う心配はない。霊山寺着は7時3分。納経所が開くのは7時からで、だからまだそんなに遍路はいないだろうと思っていたのだがどうしてどうして。すでに本堂と大師堂の読経を終えた団体もいて、ちょっとびっくり。ぼくも本堂に向かう。

ここで簡単な遍路巡礼の手順。
1.まず水場で手を清める。
2.本堂に行く。
3.納め札を納め、賽銭を入れる。
4.ローソクと線香(3本)を奉納する。
5.読経(開経偈1回・般若心経====ThisIsTheErrorMessege====1回・御本尊真言====ThisIsTheErrorMessege====3回・光明真言3回・御宝号3回・回向文1回」)
6.大師堂に行く。
7.3~5を繰り返す(御本尊真言は読まない)。
8.納経所に行き、納経帳に記帳してもらう(¥300)。

霊山寺では水場が見あたらなかったので2から。本堂で線香を取り出そうとして箱の中身をぶちまけてしまう。いきなりトーシロ遍路がやりそうな粗相を。とほほ。ぼくの前でベテラン遍路とおぼしきご婦人の団体が般若心経を読み上げている。お経独特のリズム。彼女らがいなくなったところでぼくも読んでみるが、まだリズム感がつかめずにつっかえつっかえ。こりゃあ結構大変な作業だ。大師堂でもお勤めを済ませ、納経所で記帳してもらう。要するにスタンプラリーなのだが、一冊一冊毛筆で書いていくという部分で、あまり軽い気分で接することができない。ちなみに全部まわり終えた後の納経帳は家宝にするのが筋だとか。
1番から10番までは吉野川の北岸に並んでいるので一気に制圧できる。3番金泉寺あたりになるとぼくも読経のコツみたいなものもわかってきた。読経のリズムをつかんだのだ。「経は耳で読む」って、なるほどねえ。順調にルーチンをこなしても1寺院につき20分近くはかかるということもわかった。所要時間が読めるようになったのは大きい。マクって先に進むことにした。なぜなら団体さんのあとにつくと納経所で時間を喰うからだ。バイクで数分走って、参拝。これの繰り返し。地元のおじさんがぼくのバイクを見て「岐阜から来たの?!」と驚いていた。10番切幡寺は山の上にあって結構歩いたが、ここまででほぼ午前中が終わり。ここでは20代前半とおぼしきカップル遍路とすれ違った。なかなかいいんではないかい?宿でちょめちょめするとしても、将来を約束した仲なら不邪淫====ThisIsTheErrorMessege====にも該当しないしね。

ここから先は吉野川の南岸になる。「へんろ道」の標識====ThisIsTheErrorMessege====に従って走ると沈下橋====ThisIsTheErrorMessege====に出た。河川が物流に利用されていないからこその文化。流れが速すぎたのだろうか。サッカー観戦仲間が働いているスタンドがあるので、そこで給油。前もって連絡していなかったのでさすがにぼくの登場には驚いていた。缶入り紅茶を飲んでちょっと休憩。そろそろ昼飯の時間なので彼にうまい店はないかと尋ねると、うどん屋があるという。うどんねえ・・・徳島のうどんってあまり印象がない、というか隣の県のうどんが強烈すぎるのだが。すると彼はそんなぼくの心を見透かしたように、こういう。

知人「いやそれがですね、かなり本格的というか讃岐うどんに近いモンが喰えますよ」
鋳造「ほう」
知人「かまたま====ThisIsTheErrorMessege====がうまいですよ」
鋳造「なんと、かまたま!」
知人「場所がまたわかりにくい。鉄工所の中にあるんですけどね」

鋳造「なんとかーっ!」====ThisIsTheErrorMessege====

とは叫ばなかったが、しかし鉄工所の中のうどん屋なんてディープゾーン中讃でもそうはないぞ。国道192号を東に数キロ走ったところの交差点、この辺だな、と曲がると「手打うどん」の幟。しかしそれが立っているのは、間違いなく鉄工所の入口で、そこから覗き込むとそこは紛れもなく鉄工所で・・・お?奥の方にもう一本「うどん」の幟が。しかしこの風情は鉄工所の社員食堂としか思えないのだが。入って驚く。客が15人くらいいるのだ。メニューは、かまたま・ざる・かけ・しょうゆ。かけ¥200にかまたま¥250って、本当に讃岐の怪しいうどん屋そのまんまじゃないか!店のレベルがわからないので、とりあえずうまいと聞いたかまたまの小を頼む。出来上がるまで店内を見回す。ものすごく高い屋根。どう見ても鉄工所の建物を利用してるとしか思えない。営業時間は10時半から2時半、でも麺がなくなったら終わり。休みは木金。もう怪しさ炸裂状態だ。で、出てきたうどんをすする。東讃で屈指のうまさと聞いた長尾のたむらより明らかにうまい。S級とまではいかないがA級最上位ランクだ。このレベルのうどんが徳島県で喰えるとは!もちろんかまたま小だけで引き下がるわけにはいかず、かけの小を追加注文。だしのレベルはいまいちだったけど、うどんはまったくもってOK。いやいや恐ろしい店があるものだ。

十分腹も満足して11番藤井寺へ。ここから12番焼山寺へのルートが「遍路ころがし」と呼ばれる難所。クルマ利用の方は大きく迂回してください、と11番の納経所に張り紙がしてあったが、バイクなら行けるだろってんで強行突破をはかったものの、これが想像を絶する悪ルート。しかも11番=12番の短絡ルートなので対向車もやってくる。バイクで遍路しようと考えている皆さん、梨の木峠を越えるのはやめましょう。もちろんダートではないですが、ハンパな酷道ではありません。遍路は長いです。よけいなトコで疲れるのはよくない。ぼくの後を走ってきた相模ナンバーのおばさん遍路隊が「カーナビに騙されてひどい道を走らされた」と文句垂れていた。
ここで、2番だか3番だかで見かけた遍路の夫婦を見つけたので話をした。愛媛ナンバーのクルマでまわっている。息子さんと思われる写真を袋に入れて持ち歩いていた。カーキ色の制服に階級章。自衛隊員だ。事故で亡くされたのだろうかと思っていたのだが、なんと病院の診療ミスが原因====ThisIsTheErrorMessege====なのだそうだ。さぞ悔しいことだろう。このご夫婦は愛媛は大洲に住んでいて、今回は徳島県だけ打つ予定だそうだ。こういう区切り打ちをする遍路も結構多い。

13番大日寺に行く途中で寄り道。坂をだぁーっと駆け上がると、ありましたありました。徳島市球技場。====ThisIsTheErrorMessege====西濃運輸のJFL最終戦が行われたところ。しかし徳島市はなんでまたこんな山奥にサッカー場を作ったんだろうね。寄り道したおかげで、終盤は時間が押してしまい、15番国分寺を打ったところでタイムアップ。====ThisIsTheErrorMessege====夕方だったからかもしれないけど、ここはなんか荒れ寺っぽい印象。遍路が大勢寄るのだから経済的に苦しいわけでもなかろうに。今日1日で15寺をまわったのだけど、遍路に対する取り組みから寺の維持までいろいろな姿の寺院があって飽きない。

一度ホテルに戻ってから、晩飯だ。昼間の給油所の知人から聞き出していたのだ。ぼくが以前食べてカルチャーショックをうけた中華そば屋。広東というそうだ。知人から地図をもらい、その店に行ってみた。店の姿で「ここだ」と思い出した。で、出てきた中華そばは、まさにカルチャーショックを受けた時のまんま。肉はチャーシューではなくバラ肉。丼の真ん中に鎮座まします生卵。どう見ても味噌ラーメンにしか見えない色のまったり重い醤油スープ。徳島ラーメンも全国的に有名になり、味も洗練されてくるのだろうけど、こういう食文化も残っていた方が楽しいような気がする。徳島そごうの紀伊国屋書店に行って今日発売のサッカー雑誌を買おうとしたらまだ届いてなくて、地方の現実を見た思い。明日は室戸だから入手できるはずもない。金曜日に高知で手に入れられるだろうか。
ホテルに戻ってここまでの原稿を打った。ただ巡礼しただけの1日だった割には、書くことがたくさんあったような気がする。明日は今日よりは少し遅めの出発でいいだろう。

この日に訪ねた寺院一覧はこちら。

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