cyic.co.uk 吉田鋳造総合研究所
travelnotes : motorcycle
tour:松江大遠征
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冬になると寒い。かつて善通寺で雪に降られたり紀伊半島でアイスバーンに滑らされたりの経験のある鋳造は、今年の走り収めとして長大なサッカー遠征を計画。無謀にも松江までバイクで行くことを企てた。その方が安いんだもん。

金曜日の夕方に刈谷で用事を片付け、いよいよ出発。出来るだけ出費は抑えたいので名古屋都市高速の利用は控え、伊勢湾環状を西へ走る。大型トラックにトレーラーの群れ。工場の煙突。多少荒れた路面。どことなく埃っぽい世界。夕陽も煤けて見える。産業道路の風景。
途中、いくつかの道路工事で渋滞もあったけれど、それなりの時間で四日市を通過。ここからは東名阪道に入る。一気に流れがよくなる。そのまま名阪国道へ流れ込む。大型車や特大車がハザードを出しながらゆるゆると坂を登って行くのを勢いよく追い越す。ここにも産業道路の風景は続いていた。
上野を過ぎて都祁村の高原地帯に入ると、夜になったこともあるが急激に寒くなる。ツーリングジャケットの上にコートを着込む5枚体制で臨んでよかった。でも手袋は冬用ではないので指先が少々きつい。天理の坂をゆるゆると下りる手前の高峯PAで初の休憩。夜景は綺麗だけどPAの設備はイマイチだ。
坂を慎重に下りきってそのまま西名阪道に入る。気温が明らかに違う。暖かい。渋滞のサイン。料金所手前の渋滞をすり抜けでクリアーして、香芝SAで給油。さらに続く渋滞もすり抜けて、松原からは近畿道を北上。ここも料金所渋滞だ。インターが多いための人件費対策だとは思うけど、なんだかなあ、ではある。
吹田から中国道に入ってしまえば、あとは流れにまかせるだけ。7時半に西宮名塩SAで晩飯を喰う。ちょっと休憩もして、8時出発。福崎を過ぎたあたりから再び寒くなった。ここは勢いで走りきるしかない。目的の津山に着いたのは9時半過ぎだった。日本酒は翌朝に残りそうだったので震えながら街で缶ビールを買い、ホテルの部屋で呑んで寝てしまう。

土曜日。午前6時。津山の街はすごい霧だった。ホテルの窓を通して寒さがダイレクトに伝わってくるようだ。この中を再び西へ走るのだ。こりゃあ景気づけが必要だなあ、と思いながら朝のテレビをザッピングしていると、ゲロ袋オハユニ氏が洗濯などする時に景気づけに使う「サクラ大戦」のオープニングテーマ。はぁしぃれぇーこおそくのぉー・・・岡山ではこんな時間にやっているのか。少し元気をもらったところで、防寒準備を整えて出発。

院庄IC前のGSで再び給油。そして霧の中国道をさらに西に進む。新見市を過ぎたあたりでようやく少しずつ霧が晴れてきた。大佐SAで朝飯。和朝食。暖かい豚汁がありがたい。東城ICで降りて、国道を北に向かった。
流れにまかせて適当に走っていると、急に「←備後落合駅」の看板を発見した。なにせ初めて来るところ。このあたりの中心地なのだと思っていたのだが、知らないということは恐ろしい。駅前には商店の1つもなく、しかも駅は無人。列車も列車を待つ客もいないその風情はまさに廃線跡のそれだ。これじゃ大阪あたりでいくら稼いでもJR西日本は大変だろうなあ、と思う。木次線の列車が到着するまでここで休憩することにした。しばらくすると、高校生くらいの女の子がやってきて、携帯でメールを打ち始めた。国道沿いだから携帯も使える。周囲の風景と思いっきり乖離した映像。東城からの単行気動車が到着して、地元のおばさんが4人降りる。木次線の単行気動車も到着。マニアの姿はない。もう少し待てば三次からの列車も着くはずだけど、待たないで出発することにした。

芸備線に沿って庄原に向かう国道とわかれ、北へ。木次線の線路が見える。バスも走らないところに列車を維持するのはなぜだろう。すると、唐突に島根県との境が現れた。三井野原まで広島県だと思っていたので驚いた。県境を越えると、急に道がよくなったように思える。竹下登の権力おそるべしというところか。三井野原で分水嶺を越える。ここからは一気に坂を下る。エンジンブレーキのないスクーターにとってはかなり恐い箇所だ。名所の一つにもなっている奥出雲おろちループ橋を通過。すごい高低差だ。こんなとこ、ホントに鉄道を維持する必要があるのだろうか。出雲横田から三井野原までは日の丸自動車が路線バスを走らせているらしいが、日の丸って鳥取県の会社ではなかったっけ?
3段スイッチバックで有名な出雲坂根の駅は、水汲み場と化していた。延命水という湧き水も知られているのだ。この時も、ポリタンクをいくつも持ち込んでいるひとがいた。一杯飲んでみる。ちょっと暖かめで、確かにうまい。先程、備後落合で見た木次線の宍道ゆき単行気動車が戻ってきた。列車より先に出発。一気に走って亀嵩駅に着いた。
ここはそばが有名。駅そばではなく、駅にそば屋がくっついている。というか、そば屋が駅業務を委託されている。そば通らしき男性の先客が数名。ぼくも割子そばを頼む。量もそこそこあり、麺のコシも問題なし。そしてそば湯が絶品。2杯もらってしまう。先ほどの宍道ゆき気動車が女の子2名を乗せてそそくさと発車していった。ぼくも出発しようとすると、少ししたらトロッコ列車が来ますよと教えられる。せっかくなのでもう少し待つことにした。しばらくすると、そのトロッコ列車がやって来た。まさかプッシュだとは思わなかった。そば屋では私が着いた頃から持ち帰り用の器にそばを盛って準備していたのだが、それはこの列車のためだったのだ。停車時間に店員が2名、車内に入りそばを売る。結果としてダイヤを乱しているわけだが、観光列車でもあるのでJRは黙認する格好。見事にそばを売り切ってトロッコ列車は亀嵩を出発していった。松江までは広域農道なら1時間もあれば着きますよ、と言われ、ぼくも亀嵩を後にする。

しかしまあ広域農道の道のいいこと。マジで竹下登の権力おそるべし。ホントに1時間くらいで松江市内に入ってしまった。試合開始まで時間があるので、先に矢田の渡しに行ってみる。以前訪ねた時は昼間も動いていて軽トラックを載せることもあったのだが、いまは朝夕のみ、載せるのはバイクまで。普通の渡船になっていた。運営も観光渡船事業とかいう名前になっていて、私の恋焦がれる「渡船」とは少々違う方向に進んでいるような気がする。試合開始時間が近づいたので競技場へ。駐車場整理のお兄ちゃんに
「原付もこっちね」と案内されて少々傷つく。
島根県で全国レベルの試合が行われるのは天皇杯の1回戦くらいだ。湘南には前園がいるということもあってか観客は1800人ほど。集まった方ではないか。石見FCは教員が多いこともあって、バックスタンドでは高校生が大声援を送っている。試合の方は、特に書くこともない。湘南がダサダサで、石見の方もそこを突くだけの技術がない。結局4−0で湘南が勝つのだけれど、カネが取れる試合ではなかったな。

矢田の渡しが動いていないことはわかったので、試合が終わるとサクサクと東に移動した。途中のラーメン屋で遅い昼飯を喰い、一般道を鳥取に向かう。島根県安来市から鳥取県米子市へ。川があるわけでもトンネルがあるわけでもなく、市街地の真ん中に唐突に県境が現れて驚いた。大牟田・荒尾の四山交差点も相当なものだが、ここの県境もなかなかの唐突ぶりだ。米子市街地はバイパスで抜け、1区間だけ開通している山陰道を使う。右にデカデカと見える大山の風格。ここからは海沿いをただただ東に進むしかない。倉吉の市街地も北条バイパスでスルーし、羽合町で給油。だいぶ暗くなり、しかも寒くなってきた。ガッツで走り続けると、目的の浜村温泉に出た。駅前の案内所で公衆浴場の場所を尋ねる。昔ながらの街並みと細い道。街の隅にぼそっと公衆浴場が建っていた。入浴料は200円。まさに地元の人向けの風情。誰もいない湯船の湯はかなり熱く、出たり入ったりを繰り返しているうちに、地元のおじさん達もやってきた。隣の女湯では井戸端会議ならぬ風呂場会議が喧しい。いい加減のぼせてきたところで上がる。近所の親父さんが腰にバスタオルを巻いた姿のままで道を歩いて自分の家に帰っていく。観光地ずれしてなくて、なかなか好ましい雰囲気の温泉だった。
湯冷めしないようにきちんと防寒して、さらに西へ。鳥取空港の脇を過ぎ、千代川を上流に向かうと中心地だ。ホテルに着くと、さっそく歩いて鳥取温泉に行ってみた。市街中心部に涌く温泉として有名なのだが、なんか銭湯みたいな雰囲気でイマイチだった。マンチェスター・ユナイテッドとバイエルンのユニを飾っているスポーツバーを見つけ、ビールを呑みながら明日の行程をチェックする。やはりJ1最終決戦はテレビで観たいし、そろそろ疲れも意識できるくらい溜まってきたので、当初の予定にあった城崎温泉訪問はキャンセルすることにした。ホテルに戻って、NHKサタデースポーツで天皇杯の結果をチェックしたら寝てしまう。

日曜日。今日もいい天気である。まだ肌寒い鳥取の街を走り抜け、とりあえず鳥取砂丘へ。でも中に入ると靴の中が悲惨な状態になるのはわかっているので、駐車場で眺めるだけにした。そこから海岸線のくねくねを走り抜けて浜坂駅前を通過する。停まっているのは東京を昨夜出た寝台特急出雲だ。そして豊岡方面に普通列車が出ていく。あれに追いつけば、餘部鉄橋で列車を入れた写真が撮れるか?交通量が少ないのをいいことにちょっとがんばって走って、鉄橋の下に到着。ちょうど列車が発車するところだった。

いま来た道を少々戻って、浜坂から南へ。温泉町の湯村温泉に着いた。ここはかつてのNHKドラマ「夢千代日記」の舞台で、吉永小百合の像も建っている。見ていましたよこのドラマ。薬師湯に入った。有名な観光地だけあって、渋さはないが、まあまあってとこかな。ここで30分近く休憩して、さてあとはもう「お前はもはや帰るだけ」。がんばって走らないと。大型トラックとともに国道9号を走って、福知山の吉野家で遅い朝飯。綾部から周山街道に抜け、小浜市街のラーメン屋で今度は昼飯。今津から木ノ本まで行くのに少々手間取ってしまい、木ノ本から岐阜までは高速利用となった。自宅に着いたのは2時50分。無事にJ1決戦を自宅のTVで楽しむことが出来た。トータル走行1187km。晩飯にはにんにくを思いっきり効かせたペペロンチーノ・スパゲッティを食べたのだが、翌朝の出勤はちょっと難儀だった。

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